見出し画像

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(青柳碧人)・Netflixで映画化! 大ヒットシリーズ誕生秘話【著者×担当編集者】アフタートーク 第11回

▼前回はこちら


対談=青柳碧人(作家)× 秋元英之(双葉社)
聞き手・構成=円堂都司昭

二〇二三年七月十二日、光文社にて収録
撮影/白倉利恵

  昔話とミステリを融合した青柳碧人あおやぎあいと『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は、ミステリ愛好者以外にも広く読まれるヒット作となった。次いで西洋童話を題材にした『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』も発表され、それぞれ続編が書かれている。この人気シリーズは、どのように生まれたのか。

最初は単発企画だった

――このシリーズは、アンソロジーに収録された短編から始まったんですよね。

秋元英之あきもとひでゆき 僕が「小説推理」の編集長になる時期になにか企画をと思ったのが、『新鮮THEどんでん返し』(二〇一七年)でした。先行する『自薦THEどんでん返し』シリーズは、作者が既存の自作を推薦したものでしたが、もう少し新しい作家の書下ろしでやりたいと思いました。それで、同シリーズに関わっていたフリー編集者の関根亨せきねとおるさんに青柳さんを紹介してもらいました。

青柳碧人 市川憂人いちかわゆうとさんの『ジェリーフィッシュは凍らない』の鮎川哲也あゆかわてつや賞贈呈式(二〇一六年)が始まる三十分前に、そのホテルで秋元さんとお会いしたのが始まり。「どんでん返しがあれば、なんでもいいです」と、依頼されました。僕は、デビュー三年目くらいに、浦島太郎の龍宮城についてのトリックを思いついていたんです。自信があるトリックだったけど、シリーズものでもないから、なかなか書かせてもらえなかった。だから、「なんでもいい」なら、ここだと思いました。

――そうして「密室龍宮城」が、『新鮮THEどんでん返し』に収録された。

秋元 最初は単発企画でしたけど、原稿を読むと、めちゃくちゃ面白い。編集部で「すごい」と騒いだのを覚えています。「蛸は真っ赤になって怒り」なんて、普通は書けないことを恥ずかしげもなく書いていて、なんとも馬鹿馬鹿しい。それでいて、トリックが浦島太郎の時間をめぐる物語とバッチリ融合した本格ミステリになっている。アンソロジーは二〇一七年の12月に刊行しましたけど、ぜひシリーズ化して一冊出したい。「小説推理」二〇一七年六月号に「密室龍宮城」を掲載した時にはそう考えていて、昔話とミステリのかけあわせで青柳さんの単著を作らせていただきたいと、高田馬場の喫茶店でお話ししました。

青柳 やるならば、浦島太郎では密室をあつかったから、今度はアリバイとかダイイングメッセージとか、べつのトピックをべつの昔話とかけあわせれば本になるかなと思いました。でも、それは、実際に書けそうかどうかとは、べつの話ですからね。

秋元 その時は「うん。うーん」と唸ってから「はいはい」という感じでしたね。

青柳 これで終わるのはもったいない、僕の本として一冊作りたい気持ちはありました。それまで僕の短編は、同じ主人公の連作シリーズが多かったんですけど、一作ごとにべつの昔話を題材にすると形になる。縛りはあるけど、そのことにも興味はあって、お引き受けしました。でも、その時点では、ほかのネタはなにも考えていなかった。

秋元 「密室龍宮城」の次の「一寸法師の不在証明」が半年後の十二月号。以降も半年後、その次は三カ月後というペースでした。

青柳 最後は絶海の孤島で長めに書こう、昔話で孤島なら鬼ヶ島だろうと、最初の打ちあわせから考えていました。

――そうして『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(二〇一九年)がまとまりましたけど、収録作は、アリバイとかダイイングメッセージとか、まず書きたいミステリ的なテーマがあって、それにふさわしい昔話を選んだ形ですか。

青柳 一冊目は、そうでした。

――秋元さんの方から「この昔話はどうですか」みたいな提案はなかったんですか。

秋元 僕はただ、いただく原稿を面白い面白いと読んでいただけで、全部お任せでした。

青柳 例えば、アリバイものにしようとした時、僕は『名探偵モンク』シリーズが好きなんですけど、あれには宇宙へ行っていたというアリバイが出てくる。それに対し、昔話ならではのアリバイを考えた時、鬼の腹の中にいたという「一寸法師の不在証明」が思い浮かんだ。でも、トリックありきで書いたのは、最初の「密室龍宮城」だけで、「花咲かじいさん」を題材にした「花咲か死者伝言」なんかは、犯人を決めないで書き始めました。

――最初の本で特に苦労した作品は。

青柳 「つるの倒叙返し」のつじつまあわせです。ああいうことを書くのは初めてで苦労しました。叙述トリックは得意ではないんですが、みんな好きだから、知らない人にも紹介したいという感じで書いたところがあります。だから、自分はネタを知っていて読み返すので、初めて読む人に驚きが伝わるかどうか、不安でした。

――「つるの倒叙返し」もそうですが「一寸法師の不在証明」、「絶海の鬼ヶ島」など、シリーズ一冊目は、どの短編もミステリ用語的なフレーズを入れて題されている。

青柳 一作ごとにミステリのテーマをタイトルに入れて、「倒叙」も無理矢理入れました。「鶴の恩返し」って、「私が機を織っている間に絶対覗かないでくださいね」というのが、一つのクライマックスでしょう。「つるの倒叙返し」では、そういわれた側が「覗かないけど、その部屋の奥の襖の中は絶対見るなよ」といい返すシーンを書きたかったんです。

秋元 そういうところが、青柳さんだと思うんです。襖の中とか鬼の腹の中とか、普通の人は気にならないですもの。

青柳 覗き禁止を告げた瞬間、つるの方が立場が上になるじゃないですか。その常識があるから「いいけど、お前も覗くなよ」と返されて逆転する。

――昔から童話のパロディとか、童話を題材にしたミステリはありましたけど、このシリーズは独特なノリがありますよね。

青柳 僕はその種の先行作品をあまり知らないですけど、小林泰三こばやしやすみさんの『アリス殺し』のシリーズなどは好きで読んでいます。

――森川智喜もりかわともきさんが『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』など、童話を題材にした本格ミステリを発表していますが、いわゆる特殊設定ミステリで。

青柳 ルールが、いろいろ決められているやつですよね。

――そうしたものに比べると、青柳さんのシリーズは、とぼけた味わいがあるというか。

青柳 森川君などは、本格ミステリを書きたいわけでしょう。僕はどちらかというと、ミステリ要素のある昔話を書きたいというスタンスです。そこは違うかもしれない。

秋元 先行作品云々とか本格ミステリがどうこうではなく、もともとの昔話の世界観があって、そこで事件を起こすから入りやすいし、面白い。小学生からの読者ハガキが多かったり、幅広い年齢層に届いています。

青柳 僕も本格ミステリ作家クラブの一員なので本格は読んでいるし、そのテイストは入れているつもりです。一般の方に響いたと同時にミステリ読者の反応もよかった。

青柳「覗き見禁止を告げた瞬間、つるの方が立場が上になるじゃないですか」


タイトルはカレンダーのメモから

――『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は、双葉社の公式サイトによると「むか死」シリーズと呼ぶそうですね。

青柳 そう呼んだのは、僕ではないですけど。

秋元 タイトルが長いので社内連絡用に「むか死」と誰かが呼び始めたんです。

――本のタイトルやデザインもヒットの一因だと思いますが、書籍化についてはどのようにとりくんだのですか。

秋元 本格ミステリとしてのテーマやトリックが、一般の方にどこまで通じるか、少し危惧がありました。本格として打ち出すと、そのジャンルを好きな方だけが手にとるのではないか。正直、「密室龍宮城」もトリックが難しいかなと思ったんです。なので、本屋さんで立ち読みを始めた時にインパクトがある出だしというか、「あ、面白い」と思ってもらえる難しくないところからの編み直しをしました。収録を雑誌への発表順ではなく、組み換えたんです。

 うちの会社では、小説を刊行する際、基本的に営業部もゲラを読むんですが、この作品を読んでもらったところ、やっぱり反応がよくて「頑張ろうよ、売ろうよ」となって、書店営業、取次営業、宣伝部、編集でチームを立ち上げて会議をすることになりました。タイトルやカバー、帯など提案することが多くなるから、その頃、青柳さんのところへお話しに行きました。普段は編集者と作家の間で「こんな感じでどうですか」と進めることが、チームになると意見をいう人間が増える。青柳さんが「え?」と思うこともあるかもしれない。そういう経験が私にあったので、あらかじめお話しして意思疎通を図ろうと思いました。

――青柳さんには、『浜村渚の計算ノート』などすでに人気シリーズがありましたけど、それまでとは違う感じがありましたか。

青柳 ありました。『むかしむかし』は僕も書いていて面白かったし、今まで読んでくれていなかった人にも届くかなと思いました。だから、力を入れてくれるといわれ嬉しかった。

秋元 その後、営業部が懇意にしているミステリ好きの書店員さんに加え、一般の方に届けるための意見をうかがいたくて、青春ものなどが好きな書店員さんにも入ってもらって会議をしました。その全体会議で話しあったのが、タイトルとカバー。タイトルに関して、会議では出てくる案がやはりミステリっぽかったり、あるいは御伽草子を意識して「新説・御伽なんちゃら」とか、出席する誰もが「違うな」というものばかり。一~二時間経っても決まらなくて困っていた時、事前に青柳さんからいただいていた候補のなかにあったんです、『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が。みんないっせいに「それだよ」、「なぜ早くいわないんだ」となりまして。

青柳 もし続編をやるなら、この書き出しはどうかと、使い終わったカレンダーにメモしていたんです。僕はそういうアイデアの類を仕事場のドアに貼っていて、そのフレーズを候補としてメールで送っていたんです。

秋元 次に装画をどうしようとなった時、僕は正直、五月女そおとめケイ子さんのお名前は知らなかったんですけど、絵は知っていてそれをイメージしていた。すでにミステリの装画を描いている方ではなく、脱力したオフビートな感じでと、名前は出てこないけど説明して、「いるんですよ、エッセイを書いている方で」と話したら、若い方が会議に持ちこんだパソコンで検索して「この方ですか」と見せられたのが、五月女ケイ子さんだった。

青柳 五月女さんの絵はテレビでよく見ていたし、名前も覚えていたので、いいかもしれないと思いました。ミステリの本って、うちに送られてくるものも黒がすごく多い、でも、この本はピンク。しかも、四月刊で桜の季節に並んだ。まあ、僕の本は、あまり黒がないんですけど。

秋元 そのへんは作家としてのキャラクターでしょう。で、五月女さんの装画でカバーをデザインするのは、この面白さを共有できる小川恵子おがわけいこさんだ、絶対、彼女しかいないと思ってお願いしました。ただ、表紙の題字をどうするか、最後まで決められなくて入稿が遅れ、印刷会社から「もう待てません。本当に入れてください」といわれた時でも三パターンくらいで迷っていた。それが金曜日で出張の日でしたが、「申し訳ないけど明日返事します」といいつつ、結局、出張から帰る途中の月曜に返事をしました。僕の注文が抽象的だったから、小川さんには苦労をおかけしましたし、「秋元さんのいってることがよくわからないんですけど」みたいなやりとりがありました。

秋元「タイトルの会議は難航しました。1 ~ 2 時間経っても決まらなくて」


――発売されヒットしたわけですが、反響を実感する出来事はありましたか。

秋元 発売の翌週、青柳さんと書店回りをしていて五反田駅にいた時、僕の携帯に「重版です」と知らせがきたんです。それから神保町の洋食屋「ランチョン」で……。

青柳 でっかいエビフライを食べて。

秋元 もうどんどん食べちゃってください、みたいな感じで。

青柳 その後、御茶ノ水まで歩く坂で「続編、どうしますか」という話をして、次は西洋編で一人の名探偵役が他の童話を旅しながら解決するのがいいと思うと話したんです。

秋元 明治大学の前あたりの坂でした。

昔ばなしと本格ミステリが融合した「むか死」 シリーズは累計50万部超えの大ヒットに!


――そこが『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(二〇二〇年)の出発点だった。なぜ、赤ずきんを選んだんですか。

青柳 旅だから一人かなと、助手がいるようには想像しなかったんです。あと、「おばあさんの口はどうしてそんなに大きいの?」みたいな有名なフレーズもあるし、名探偵の決め台詞をいわせるなら赤ずきんだと思いました。女の子の方が、書いていて楽しいし。なぜ連作にしたかというと、ヨーロッパの童話は舞台がほとんど森なんです。山や海、雪国の話もある日本昔話ほど風景が変わらない。それなら同じ世界を旅して、いろいろな事件に遭遇する方がいい。

秋元 僕は、青柳さんから出てくるものを面白がるばかりで、自分からお話しできることは恥ずかしいくらいないんです。

西洋の童話をモチーフにした「赤ずきん」シリーズ。
Netflixで福田雄一監督による映画も配信中だ。


修羅場覚悟の提案

――いわゆるダメだしのようなことは、なかったんですか。

秋元 単行本のゲラ作業では、やはりあります。「むか死」シリーズは短編なのでその中で完結していればいいですけど、「赤ずきん」は連作だから全体の整合性とか、通してキャラクターがブレていないかは考えます。僕は打ちあわせにあたって、手帳にメモしているんですが、それをめくり返すと「赤ずきんは死体を隠すような人間なのか」とある。そうするにしても、他人から説得されてでなければ違うと思ったんですよ。そういう疑問は、お話ししています。弊社は、僕が「小説推理」で原稿を受けとり、単行本と文庫まで担当するという体制です。とはいえ、連載後に通して読まないと、細かくは覚えていない。

青柳 僕もそうです。

――通して読むと、あれ? みたいなことも。

青柳 そうそう。作家さんによっては最後まで考えて連載を始めるけど、僕はやりながら考えるから。実は、『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』の連載中の四話「乗っ取られた長靴を履いた猫」は……。

秋元 雑誌には掲載しましたけど、単行本には収録していません。手帳には当時、「なぜ?」、「不自然」とメモしている。連作でほかの章の童話はグリムだけど、これだけアンデルセンなんです。青柳さんから両方の童話の世界観を描きたいと聞かされていたのですが、納得できない部分があった。連作の最後にはマッチ売りの少女エレンという強烈なキャラと赤ずきんが対決して、えらく面白くなるんです。でも、四話があることで世界観が明確に立ち上がらない。とはいえ、いらないと伝えるには勇気がいる。一度、ゲラにして書き直していただいたうえでの感想がそれでしたから、「最初にいってよ」と怒られるかもしれない。謝るしかないと思って、市ケ谷の喫茶店でこの話は全ボツにしませんかと、修羅場覚悟で切り出しました。

青柳 僕も書きながら、なんか、つじつまがあわないなと感じていました。だから全ボツを提案された時、モヤモヤがなくなってパッと開ける感じがしました。切って正解でした。その打ちあわせの直前に『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が、本屋大賞10位になったと連絡がありました。僕は、『むかしむかし』に比べると『赤ずきん』の方が一般的で、それぞれ好きな読者が違うのかなという感じがあるんですけど、どうでしょう。『むかしむかし』はミステリ作家の方からの反応もよくて、特に大山誠一郎おおやませいいちろうさんは「面白かったですよ」といってくれて、続編のテーマを相談したら「多重殺人とか、できるかわからないけど時刻表とか」と答えてくれた。

秋元 電車の時刻表はなくても、駕籠が定期的にくるとか。

青柳 時刻表トリックと法廷ものは考えたんです。

秋元 法廷もの、いいじゃないですか。広場に村人みんなが参加して、作兵衛さくべえが証言したり、おとめ婆さんが「これがわしの意見じゃ」とかいう。

青柳 それ、なんの昔話ですか。

秋元 いや、わかんないけど(笑)。

――その後、『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』(二〇二一年)、『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』(二〇二二年)と、それぞれ続編が出ましたけど、二冊ともお任せな感じでしたか。

秋元 そうです。最初の『赤ずきん』が出る前の二〇一九年十一月には、大阪の梅田の紀伊國屋書店さんでイベントを開いて、どんな昔話のミステリが読みたいですかとお客さんに書いてもらった。もう『むかしむかし』続編をやるぞというテンションだったんです。

青柳 アンケートでは具体的な回答もあって「笠地蔵」×『アクロイド殺し』とか。どうやってやるんだよ(笑)。

――二作目の『赤ずきん』でピノキオを赤ずきんの相棒にしたきっかけは。

青柳 あまり頭がよろしくなくて愛らしい相棒がいいと思って、ピノキオが浮かびました。嘘をつくと鼻が伸びる特徴を使いたいのと、人形だから体がバラバラになってもいいわけで、バラバラになった体を集めるのが面白いと思いました。だから「赤ずきん、ピノキオ集めの旅に出る」とタイトルを考えたんですが、「死体」シリーズと呼ぶ人もいるし、タイトルには「死体」を入れたいらしくて今のフレーズになりました。

――ここへきて、いろいろ動きがあって、『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』はすでにコミック化されているのに加え、福田雄一ふくだゆういち監督、橋本環奈はしもとかんな主演で映像化され、Netflixで九月十四日から配信されます。

青柳 シンデレラが登場する第一章「ガラスの靴の共犯者」が原作です。

――八月八日には「むか死」シリーズ最終巻『むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。』が、発売されます。

青柳 みんなが知っている昔話が、もうそれほどないので。

秋元 青柳さんと二冊目にとりかかる前くらいに、よい状態で終わらせましょうと話していました。そうなると長くは続かない。

――設定をいちいち説明するより、ああ、あの昔話ねと、すぐ思い浮かぶのがいいところですからね。

秋元 三冊目はすごいですよ。ひとつの昔話にべつの昔話も入れて読み応えはバッチリだし、最後は大スペクタクルで終わります。

――新刊には「こぶとりじいさん」、「耳なし芳一」、「舌切雀」、「三年寝太郎」、「金太郎」が入っているんですよね。

青柳 「笠地蔵」、「雪女」、「姥捨山」も入れて、残った昔話を全部詰めたみたいな感じ。あと、安楽椅子探偵をやりたくて、「三年安楽椅子太郎」という話を書きました。「赤ずきん」シリーズの方はシーズン3を連載中で、今度は「アラビアンナイト」の世界に赤ずきんが連れて行かれます。

秋元 このシリーズで初めて小学生からお葉書をもらいまして、返事を書いたんです。そうしたら、お母さんから「娘が本を大事に飾っています」と返信がありました。

青柳 小学生から手紙がくるって、ミステリではあまりないですよね。一冊目の『むかしむかし』を刊行したあと、高知の小学生の男の子が「今まで本を読んだことがなかったけれど、この本でビブリオバトルに出ました」とお便りをくれました。その子は優勝して、高知の新聞にも載ったんです。

秋元 僕は二十年ほど編集をやっていますけど、このシリーズでは嬉しい経験をさせてもらいました。

「むか死」シリーズの最新刊
『むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。』

(おわり)

《ジャーロ No.90 2023 SEPTEMBER 掲載》



■ ■ ■

★2024年は(ほぼ!)毎日投稿【光文社 文芸編集部公式note】
ミステリーはもちろん、読書の楽しみが深まる記事を配信いたします。
お気軽にフォローしてみてください!

この記事が参加している募集

推薦図書

いただいたサポートは、新しい記事作りのために使用させていただきます!