もしもカバー

【桃太郎ES】桃 媼(82歳 国立大学編入)

これまでがんばったこと(=学生時代がんばったこと)
ある日、私は桃を拾った。それまで見たことのない巨大な桃だ。帰って夫に相談すると夫はその桃を売ってお金に変えようという。私は強く反対した。なぜならその桃が期待する価格で売れる確証もなかったし、調査による需要予測をしている時間はなく、村の現状を鑑みるに需要は見込めないと判断したためだ。しかし議論は平行線を辿るばかりだった。その間にも桃はどんどんと色を変化させその品質はピークを迎えることが見えてきた。このままではどちらも失うことになると考えた私は妥協案を提示することにした。それは桃を頂点から半分に切り、取り分を半分ずつ分けるというやり方だ。そうすればお互いの期待値の半分は確実に得ることができるし、売れなかった場合、まずくて食べられなかった場合のリスクを低減できる。この体験から物事の判断基準には価値の可視化をベースに、取るべき選択肢のシナリオを作ることで将来予測を現実的なものにすることを学んだ。(399字)


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私はいかなる状況にも柔軟に対応し、自身で判断することができると自負している。半分ずつ桃の取り分を分けるという方法に合意したあとのことである。包丁を頂点から半分に切り落とそうとしたその瞬間、中から男の子が顔を覗かせた。全くの予想外のことに夫は取り乱し、わたしも最初は驚きを隠せなかったが、すぐさまその状況を受け入れようと努めた。瞬時にいくつかの選択肢が頭をよぎった。しかし、当時還暦を過ぎていたが、育てたいと思った。なぜなら子どもたちを育て上げた後の生活は単調そのものであったし、人生において遅すぎることは何もない、いつでも自分の意思次第で未来を切り拓くことが出来るという信念を持っていたためだ。そしてその子は今成人して社会に飛び立とうとしている。時に感情的な判断は苦難を伴うが、やはり私はあのときの直観は正しかったと思っているし、仕事をする中でもその突破力を強みにしていきたいと思う。(392字)

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