1976年8月15日、夏の日の思い出(07)
学校中にうわさはすぐに広まった。
去年、1年生の時に夏休みが終わって間もなくして違うクラスの女の子が妊娠したといううわさは、本当にあっというと間に広まった。
そして、その相手が誰かということも一緒に広まった。
彼女は、元男子バレーボール部のマネージャー見習い。相手は、元男子バレーボール部の3年生のエース。
何で彼女が妊娠したと言うことがあっと言う間に広まったか不思議だったんだが、その彼女が妊娠したら相手はすぐにわかるようなものだった。
元々、彼女は女子に人気があった3年生のバレーボール部のエースに近づくためにマネージャー見習いとして男子バレーボール部に入部した。
そして、中体連で敗退して、3年生が引退したのと同時に彼女も退部した。
それからふたりが一緒にいるところよく見かけるようになった。
そんな感じだったから、彼女は同性の女の子たちからあまり評判はよくなかった。
それから、その相手の3年生に対してはまんまと1年生の女子に手玉に取られたとも囁かれた。
夏休みの終わりが近づいたころに妊娠していることがわかって、彼女本人は産みたかったが中絶することになった。
お互いの親たちがかなりもめたと言うことは少しして明るみになった。
彼女の親は、「娘を妊娠させてどう責任をとってくれる」って感じ。そして、相手の親「お宅の娘に誑かせれて付き合うようになって、受験や今後のことでも迷惑だった。むしろこちらが被害者」なんて言うこと言ったらしくて、責任の擦り合いをして、最終的には、中絶して、彼女に慰謝料を支払い。彼女は二度と近づけさせないと言うとになったらしい。
それからは、相手が本心か親に言わされかわからないが「汚点だ」なんてことを言ったものだから、彼女は彼を追い込むために自分自身でうわさを広めたということがあとでわかった。
その後、彼女は普通に学校へ来ていたが彼の方はさらに尾ひれのついたうわさが広がり登校しなくなり、さらに引きこもるようになった。
しばらくは、彼女に対しても腫れ物を扱うかのようだったがしばらくすると周りの生徒たちも何もなかったように振る舞うようになった。
彼の方はと言うと高校受験をせず、不登校のまま卒業して今も引きこもっている。
その相手の男子と言うのは近所に住む2つ年上の幼なじみ。
彼は独り子で、教育熱心の母親も期待をしていたのがこんな感じになってしまったことで息子も母親もおかしくなってしまった。
この家庭自体がおかしくなってしまった。
今、彼の母親も人目を避けるようになり、あまり外出しなくなった。
このことで僕は性交をしたら、妊娠する可能性があること。そして、責任を持って母子ともに養うことが出来ないといけないと思うようになった。
それと女性は対応の取り違えることでどんな報復を受けるかわからないとも思った。
こんな感じで雪に去年起きたこととその顛末を話した。
だから、性交してもし妊娠しても今の中学生の僕は責任を持って養うことが出来るかどうかわからないと正直に言った。
僕は、雪の方を見るとうつむいて僕の話しを聞いていた。
雪は理解してくれただろうか。
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