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カツオに学ぶ人の動かし方

知らない人はいないであろう『サザエさん』

物語の中心となる磯野家の長男であるカツオ。

彼は、小学生とは思えない頭の回転の速さを見せることが多い。

特に彼は人を動かすことが上手いのだ。

今回は、カツオを例に上手な人の動かし方を解説していく。


その場の状況を利用する

まずは以下の話の流れを見て欲しい。

ケーキが突然消えた為、サザエは誰が犯人かと怒っている。

その様な状況でワカメがカツオに話しかける場面だ。

ワカメ「ケーキ食べたのお兄ちゃんでしょ。お姉ちゃん怒ってるわよ」

カツオ「なんでいつも僕を疑うんだ。何かあればすぐ僕を疑う」

ワカメ「ごめんねお兄ちゃん」

カツオ「いや、僕はひどく傷ついた。ワカメなんてもう知らない」

ワカメ「なんでも言うこと一つ聞くから許して?」

カツオ「じゃあ僕がケーキを食べた事は黙っててくれ」

これは見事な人の動かし方だろう。

結局犯人はカツオでありながら、それを隠し通す仲間を見つけてしまった。

この状況ではワカメもカツオが犯人だとは言い辛いだろう。

このカツオが行った会話の運びは実に良く出来ている。

このカツオの会話術の優れている点は、状況を利用したところである。

相手を動かしたいと考えた場合、誘導してやろうなどという気持ちを持つのは賢明ではない。

むしろ、相手の話の流れに乗りながら上手く軌道修正することが一番相手の抵抗感が少なく、こちらの労力も少ない。

この様な会話術は、精神科医のミルトン・エリクソンも行っている。

彼は、催眠術の天才であり、彼が催眠術をかけられなかった人物はいないという。

なぜ、彼にそんなことが出来たのか。

それは、相手の発言や状況を利用したからである。

相手の流れに合わせる事で、相手はなんの疑いもなくこちらの話についてくるのである。

カツオも疑われたという状況をうまく利用し、ケーキ泥棒という完全犯罪を成し遂げたのだ。

相手の発言を利用した人の動かし方

私がソーシャルワーカーとして病院で働いていたある日のことだ。

エレベーター前で患者と看護師が揉めている。

どうやら、今はエレベーターで下に行ってはいけない時間帯にも関わらず、患者は下に降りようとした様だ。

それを看護師が行かせない様に説得しているため、双方が揉めているのだ。

ちなみに患者は認知症を患っており、判断力の低下や今が何時かということを認識する力も衰えていた。

下に行くなと押さえ込む看護師に患者は猛反発しながらエレベーターに乗っている。

なんとか看護師もエレベーターの扉を押さえているが、限界も近いだろう。

たまたま通りかかった私は患者へこう告げた。

私「○○さんは下に行きたいんですよね?」

患者「ああ、そうだよ」

私「これは上に行くエレベーターですから一度降りませんか?」

患者「そうなのかい?じゃあ降りるわ」

患者は何の抵抗もなくエレベーターを降りた。

これが相手の発言を利用するという事である。

相手が「下に降りたい」と話をしているのであれば、その発言を利用する。

今回の場合は、「下に降りたいのであれば、このエレベーターに乗らない方がよい」というメッセージを相手へ届けたことになる。

私が届けたかったメッセージはエレベーターに乗らないで欲しいという事だが、そのまま伝えたのでは相手が抵抗する。

自分の行動を否定されたことになるからだ。

しかし、相手の発言を利用するのであれば、あくまで相手の価値観に沿った話し合いが出来る。

そして、相手は自分の価値観の中だからこそ、その誘導は否定できないのである。

今後、誰か動かしたい場面があれば、今目の前にある状況をどう使えば相手が動くかを考えてみてはどうだろうか?

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