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日本のトイレが我が家に教えてくれること
「アメリカのトイレには、ボタンが全然ついてないね」
日本からアメリカに戻ってきた翌日のことです。息子が、なにげなく夫につぶやいているのが聞こえました。
トイレのボタンとは、日本が世界に誇る温水便座についている、数々のスイッチのことです。おしり、ビデ、乾燥、音などと表示された、あれです。水温や強さを調節するボタンもあわせれば、一台の便座に10以上ものボタンがついていることもあります。
「日本のトイレが人間用なら、アメリカのトイレは動物用だね」
夫が真顔で答えました。「We're animals.」と畳みかけています。少し離れたところでその会話を聞いていたわたしは、また言っているなとクククと笑いました。
日本に住む皆さんは、もはや当たり前のものとして毎日目にしたり使ったりしているでしょうけれど、海外からみると、日本のトイレは、なにか特別な乗りものの操縦席のようです。
トイレという空間の清潔さと快適さに対する日本人のこだわりは、ぶっちぎりで抜きんでています。個室に入ったら、便座にはどこにも触れずに、ことが済みます。女性の場合は、どうしても便座に座らないといけないので、唯一そこが接触箇所になります。気になる人は、備え付けの消毒液でさっと一拭きすることになっています。
もう十分キレイなのに?もっとキレイにしちゃうのね!
わたしの感覚は、日本人のそれから年々乖離していきます。日本を離れるとは、こういうことです。
昨年、日本の先進的トイレに恐れをなして、なかなか用が足せなかった娘。
今年は、ものの数日で慣れてくれました。あのときは、このトイレ問題になんども頭を悩まされたので、悩みの種が減って喜ばしい限りでした。
トイレといえども、人間の許可なく勝手に下からシャワーを噴き出すことはできないし、ましてや人を呑みこむ能力など備わっていない。娘は、その事実を自信をもって理解したようです。
それどころか、「わたし、これがスキ」といって、音符マークのついた流水音のボタンを押して楽しむ余裕すらありました。たった一年でこんなに違うとは。成長を感じずにはいられません。
トイレを通じて、日本とアメリカの違いに気づき、祖国を離れて暮らす切なさを感じ、子どもの成長を知る。
たかがトイレ、されどトイレ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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《アメリカと日本の違いを見つけて書いています》
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