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子どもの遠足に親がついていくシステムがすばらしい

アメリカの小学校では、子どもの遠足に親がついて行くことができます。今日は娘の遠足の日で、わたしも子どもたちに紛れて一緒に行ってきました。このシステムが素晴らしいので、ちょっと聞いていただけますか。

ついて行くといっても、勝手についていっていいわけではもちろんありません。ボランティアとして行くのです。こういう付き添いのことを、英語ではchaperoneといいます。

先生の仕事を親が協力して補助するのが主眼ですが、親にとってもメリットがあります。子どもの学校生活での様子を近くで見ることができ、なにより、子どもにとっての楽しい思い出の一ページに参加することができます。

遠足だけに限らず、通常時においても、子どもの学校生活をより充実したものにするために積極的に貢献したいというマインドの親が大多数です。この意識は、日本よりもアメリカの方が強いように感じます。そして、実際にボランティアとして時間と労力を割いている人も結構な割合にのぼります。平日の昼間ですから、フルタイムで仕事をしている人にとっては時間を作るのが容易ではない場合も多々あると思います。それでも、ひとたびボランティアが募集されると、あっという間に枠が埋まります。アメリカでも、ママさんの方が比較的融通がきく場合が多いですが、ママさんだけでなく、パパさんたちも常に3割から4割くらいはいる印象です。

中でも、遠足の付き添いボランティアは大人気で、いつも定員以上の希望が寄せられます。先生が、特定の人に偏ることがないように配慮しながら、毎回のボランティアを選んでいます。今回が娘の今年度3回目の遠足だったのですが、わたしは毎回ボランティアを希望し続け、今回やっと初当選しました。

今日の遠足の行先は、学校から30分くらいのところにある動物園でした。象やキリンのような大きな動物はいなくて、ヤギ、ヒツジ、馬など、農場にいそうな動物が中心の小規模な動物園です。囲いの中に入って触ったり、手からエサをあげたりできるふれあい型の施設。敷地内には大きめの公園や長い滑り台もあり、5、6歳児には一日たっぷり遊べそうな場所でした。

娘のクラスは20人強ですが、なんと10人もの親がボランティアとして参加しました。ちょっと日本では考えられませんよね。

ボランティアは、遠足の間、自分の子どもを含む2~3人の子どもを割り当てられ、責任をもって引率します。学校から動物園までの移動はスクールバスですが、バスの乗り降りから動物園での行動、集合場所に集まってまた学校に戻ってくるまで、割り当てられたグループの子どもたちの面倒を一手に引き受けます。

動物園に到着した後は、小グループに分かれて行動するので、クラスみんなで一緒に過ごす時間は行き帰りくらいに限定されるという側面はあります。ですが、その分かなり融通のきく遠足になります。親は、グループ内の子どもたちの希望に沿って柔軟に動き回ることができるし、お昼ご飯を食べる時間も状況に応じて決められます。集合する時間と場所だけを告げられて、あとはご自由にどうぞというスタイルです。

自由の国、アメリカって感じです。

子どもたちも、遠足に自分の親が一緒に来るのはとても嬉しいことのようです。娘も、今日はわたしの手をずっと握って終始ご機嫌でした。ママがボランティアにくると、ちょっと鼻が高くなるとういか、なんだか誇らしげに見えます。そういう意味でまだかわいい時期です。

そして、ボランティアが大量に来ることで助かるのは先生たちです。先生たちは、一人でクラス全体を束ねる大仕事などしなくてよくて、全体を見渡して問題がないことを確認しておけばよいのです。必要な連絡さえ親たちに伝えておけば、あとはゆったり構えていられます。

合理的。ウィン・ウィン。子どもも親も先生も、みんなハッピーです。

わたしが子どもの頃は、どうだっただろうかとふと思いを巡らせてみました。最近の日本の状況はわかりませんが、少なくとも当時は、遠足でも担任の先生が一人でクラス全体をみていたように思います。低学年のときは、補助の先生がいたのかもしれませんが、覚えがありません。遠足に行った先で、興奮してエネルギーみなぎる5、6歳児20数人を一人で束ねるなど、とてもではありませんが、考えただけでめまいがしそうな重労働です。親のボランティアなしで、逆にどうやって成り立たせていたのでしょうか。

子どもと親と先生が、三方丸く収まるどころか、三方大喜びのこのシステムがとても素晴らしい


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