アメリカにいると身につくスキル
クリスマスが日に日に近づいてくる。
プレゼントの準備も大詰めの段階に入っている。
我が家では、プレゼントを買うのは夫の役目である。アマゾンでせっせとポチって、宅配がどんどん届く。
プレゼントは子どもたち宛てだけではない。夫とわたしの分もあるし、義母や、義兄ファミリー全員分なので、ざっと10人分。しかも、一人一個とは限らない。
この時期、アメリカ人はめちゃくちゃ買い物をする。ブラックフライデーやサイバーマンデーあたりから、買い物期間がずっと続いているのだ。
このプレゼント大量購入の陰で、どの家でも、新たな業務が発生している。
それは、プレゼントを一つずつ包装紙で包むという仕事である。
アメリカでは、プレゼントの包装は自前でするのが基本だ。
お店でなにかを買ったとき、ラッピングまでしてくれるお店は少ない。それどころか、買ったものは、なにかに包んだり袋に入れたりせずに、はい、とそのまま手渡されるのが普通だ。ビニール袋は有料だし、紙袋は店によってまちまちだけど、有料にしている店が多い。だから、客がなにも言わなければ、そのまま渡される。
だから、プレゼントを準備するときは、お店で買うだけでなく、自宅で包装紙に包むところまでがセットだ。
そして、我が家では、この包装の部分がもれなくわたしの担当になっている。
さして手先が器用でもないわたしが、なぜ我が家のラッピング専門スタッフになっているかというと、日本が包装大国だからだ。
想像してみてほしい。
こんなことが平然と行われている国からきたわたしなら、アメリカでの人並み以上に包装スキルがあるに違いない。それが夫の見立てだった。いや、ただ自分がやりたくなかっただけかもしれない。
いずれにしても、アメリカに来てから、毎年プレゼントをラッピングする作業をコツコツと続けてきた。クリスマスだけではない。家族の誕生日プレゼントや、子どもの友達の誕生日パーティに持参するプレゼントも含まれる。だから、プレゼント包装は季節の仕事ではなくて、年間通してのライフワークといってもいい。
なんでもそうだけど、数をこなしていると、技が向上する。
いまや、日本のデパートのラッピング専門スタッフにも負けない自信がある。折り目がきちんと角に合うように包むのはもちろん、リボンをきゅっきゅっと引っ張りながら、くるくるんと先を巻く技術も身につけた。そんなのたいして難しくないという声が聞こえてきそうだが、渡米前のわたしと比べればたいした進歩である。
そしていま、そのスキルを活かして、また大量のプレゼントを包装している。
(おしまい)
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