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よるの家出

 最近、毎晩よるに外を歩いている。

 大体18時くらいに家を出て、遅くとも22時までには帰ってくる。さんぽにしては少し長いかもしれない。行く場所は毎回バラバラで、交通機関を使わないこととご飯を食べないことがルール。でも本当に疲れて歩けなくなっちゃったら怖いから、沿線を歩くことが多い。ただ歩くだけの日もあるし、パソコンを持って出かけてベンチで作業する日もある。ラジオで野球中継を聞く日もある。神社とかお寺を目指して歩くことが多いかも。

 話は変わるけど、私は親不孝者で、母親が苦手。母は私にとても尽くしてくれているから、それを裏切っているのは心苦しい。ただ「普通」という名の理想をあまりにも押し付けてくるのが、どうしても耐えられない。いい大学を出て、いい会社に入って、結婚して、子供を産む。これくらいならまだ良いんだけど、中高は運動部に入って、良い大学に入るために成績をキープして、大学ではサークルに入って、お洒落をして、授業はちゃんと受けて成績をキープして、バイトをして、友達をたくさん作って、彼氏も作って、アウトドアな趣味を見つけて、夏は友達と海外旅行に出かけて、門限までに必ず帰ってきて、外に泊まりに行く時は一週間以上前に連絡して、、、と挙げたらキリがない。でも母はそのことに無自覚で、「こんなに理解がある母親いないでしょ?」と度々同意を求めてくる。

 わかっている、贅沢な話だ。実家住まいで大学の学費も払ってもらって、別に「東大以外大学とは認めない」みたいな無茶を言ってくるわけでもない。ただ母の理想を叶えるのは針の穴を通すようなことで、うまくいかないところがあるたびに「どうしてそうしないの?私だったらそうするのに」と言われてしまうのが、苦しくて仕方ないのだ。

 だから私はその「普通」から逃れようとして、よるに家出をする。家出っていってもたったの数時間だけど。外の空気が吸えるし、良い運動になるし、案外気持ちがいいのだ。きっとすれ違う人たちは私が家出をしてるなんて気付いていない。だからこれは私と、これを読んでくれた貴方との秘密です。

 追記:最近の投稿はヘッダーを自分で作ってます。今日のはお気に入り。

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