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流浪の食微録

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知られざる美味の探求と出逢いを求めて彷徨う、ロンリー・ミニマリストの食紀行。
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2021年8月の記事一覧

回転寿司とカウンター寿司の不文律。

回転寿司とカウンター寿司の不文律。

「回転寿司トリトン 豊平店」

2021年8月15日(日)

体調の快癒とともに、空腹はこれまでと異なる食欲ベクトルに向かっていった。

その根拠は、回転寿司に出向いたことにある。

午前11時30分になろうとしていた。
国道36号線に沿う広々とした敷地には多くの車が駐車していた。
久方ぶりの来店なのだが、その人気は待ち時間と店内の行列が物語っていた。
一瞬躊躇したがスタッフに1名であることを告げ

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野趣あふれる肉盛りそばの躍動。

野趣あふれる肉盛りそばの躍動。

「おにそば豊平店」

2021年8月20日(金)

『リスケ』…この不可思議で理不尽な響きは何だろう?

極めて現代的な言葉の中に、どこか日本的意味合いが隠れているような気がしてならなかった。
別段ランチスケジュールなど決めたこともないが、『リスケ』に対応すべく午前の戸外を闊歩した。

まだ午前11時であった。
頭上の太陽は、すこぶる快活でありながら不快な湿気は微塵もなく、
豊平川にかかる橋に時折

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爽快な鮮魚が踊る、刺身定食の愉悦。

爽快な鮮魚が踊る、刺身定食の愉悦。

「大衆酒場さぶろう すすきの店」

2021年8月19日(木)

晩夏の白んだ空。

暑熱を冷ましつつある陽の余韻。
数日振りの好天はすっかり秋に衣替えしたかのようで、
どことなく寂しく、どことなく憂いを纏う。
この夏の狂おしいほどの異様な暑さの反動かもしれないが、振り返れば名残惜しい。

この状況下で何を食べよう?
ひと気が疎らになって久しい通りに、ランチメニューの看板が寂しげに佇立していた。

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Remenber Hiroshima〜あなごめしの極上。

Remenber Hiroshima〜あなごめしの極上。

「あなごめし うえの 広島三越店」
2021年5月4日(火・みどりの日)

あの日の記憶が埃にまみれ、埋もれていることに抗じよう。

あの日、永遠にまで届きそうな爽快な青空が広がっていた。
5月にしては強烈な日差しに感じたが、きっとこの地としては当たり前なのだろう。
午前中に味わったお好み焼きが腹の奥底にまだ埋もれていた。
ひとまず未知なる街を無造作に歩き続けた。
別段、目的地があったわけではない

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海の贅と絶妙の赤酢が絡まる、生ちらし定食の極み。

海の贅と絶妙の赤酢が絡まる、生ちらし定食の極み。

「和処 さゝ木」
2021年8月6日(金)

体に多様な変調を来した春が過ぎ、
そこからの未知なる体験と不安が過ぎ去った。
克服による安寧の回復は、当然なほどに貪欲なほどの食欲を取り戻した。

強烈過ぎる日差しを頭上から浴びて、その店へと汗を振り絞って急いだ。
5つの輪の空虚な熱狂、あるいは狂熱の空虚を尻目に、地下へと伸びるその店へ静かに足を延ばした。

地下街というには寂しい店が連なる中で、すで

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