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【読書】アガサ・クリスティー②

アガサ・クリスティーを少しずつ読み進め、5冊ずつ感想を紹介していくシリーズ、第2回目。

第1回目はこちらから↓


6.ABC殺人事件


シンプルで古典的な連続殺人事件である。アンドーヴァーでアッシャー夫人が、ベクスヒルでベティ・バーナードが、というように、頭文字がAの町でAから始まる人物が、次に頭文字がBの町でBから始まる人物が、順に殺害される。


このような連続殺人事件の場合、
・愉快犯
・被害者に実は何らかのつながりがある
・被害者の中の一人がターゲットで、残りの被害者はカモフラージュのために殺害されている

のどれかだろうか、と考えながら読み進めた。


最後のポアロの説明は鮮やかで、疑問が一つ一つ解決されていくのが気持ち良かった。


7.火曜クラブ


ミス・マープルのデビュー作。私は『黒後家蜘蛛の会』(アイザック・アシモフ著)など、皆で集まって事件を検討するお話が、自分も参加している気分になれて好きなので、『火曜クラブ』も楽しんで読めた。


ミス・マープルのような観察力、洞察力に憧れる。最近は、遠出が難しい中、インターネットなどで繋がってはいるものの、ミス・マープルのように狭い世界で過ごすことも少なくない。このお話を読んで、身近なところでも学べることは多いはず、という気持ちになった。


8.もの言えぬ証人


遺言書、遺産相続、誰もが怪しく、個性的な親族。アガサ・クリスティーの定番という感じがするが、どの作品も面白い。本書も例外ではない。


この作品で特徴的なのは、屋敷にいる犬のボブの存在と、ミス・アランデルは自然死と診断されており、事件が存在するのか否かわからないことである。


「◯◯という行為は女性の思いつき」などのポアロの分析は、本当かな、と感じるところもあるが、人の性格や心理と行為を結びつけて論じるのは興味深かった。


9.パディントン発4時50分


「解決編」部分は短く、意外とあっさりした結末だな、という感じがしたが、「汽車内での殺人事件」というだけでなく、様々な要素が詰まっていて、過程がとても面白い。


ミス・マープルが協力をお願いするルーシーは、オックスフォード大学の数学科を優秀な成績で卒業した頭の良い女性で、家事労働の世界で大活躍をしている。綺麗で、タフで、どのような問題も上手く対処できるのだ。


死体の身元がなかなか判明せず、事件解決までの道のりが長く思われる中で、周囲がルーシーに首ったけなのが、この作品の良いスパイスになっている。


10.五匹の子豚


『アガサ・クリスティー完全攻略』(霜月蒼著)で絶賛されており、以前から気になっていた作品。題名から内容が想像できないこともあって、期待値が非常に高い状態で読み始めたのだが、それでも期待を裏切らない、素敵な作品だった。


昔の事件がテーマであること、関係者それぞれに当たるところから、私は『ユージニア』(恩田陸著)を思い出した。

同じ出来事も、人によって見方が異なることは、当たり前でもあるのだが、興味深く、かつ、何だか恐ろしい。


手記の中では故意に隠している、ということももちろんあるが、そうでなくても、その人の置かれた立場や性格などによって、見方は大きく変わってくるのだなと思う。


日常で私が経験している様々な出来事も、職場の隣の人であったり、家族、友人であったりには全く違って感じられていると考えると、なんだか少し怖くなる。


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今回もイギリスの画像。ハリー・ポッターのロケ地としても有名なオックスフォード大学。

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