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【読書】アガサ・クリスティー②
アガサ・クリスティーを少しずつ読み進め、5冊ずつ感想を紹介していくシリーズ、第2回目。
第1回目はこちらから↓
6.ABC殺人事件
『ABC殺人事件』アガサ・クリスティー#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) April 24, 2021
ポアロに挑戦状が届き、頭文字がAの町でAから始まる人物が殺害された。現場にはABC鉄道案内があった。
一連の事件の裏側に何があるのか考えながら読んだ。事件を止められず苦戦しているように見えたポアロが、最後に鮮やかな説明を披露するのが良かった。
シンプルで古典的な連続殺人事件である。アンドーヴァーでアッシャー夫人が、ベクスヒルでベティ・バーナードが、というように、頭文字がAの町でAから始まる人物が、次に頭文字がBの町でBから始まる人物が、順に殺害される。
このような連続殺人事件の場合、
・愉快犯
・被害者に実は何らかのつながりがある
・被害者の中の一人がターゲットで、残りの被害者はカモフラージュのために殺害されている
のどれかだろうか、と考えながら読み進めた。
最後のポアロの説明は鮮やかで、疑問が一つ一つ解決されていくのが気持ち良かった。
7.火曜クラブ
『火曜クラブ』アガサ・クリスティー#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) May 2, 2021
マープルの家に集まった6人は、それぞれ自分だけが答えを知っている事件について話し、真相を論じる。
村からほとんど出たことのないマープルが、村の似た事例を参考に必ず真実に辿り着くのが圧巻だ。自分も参加しているようなくつろいだ気分で楽しめた。
ミス・マープルのデビュー作。私は『黒後家蜘蛛の会』(アイザック・アシモフ著)など、皆で集まって事件を検討するお話が、自分も参加している気分になれて好きなので、『火曜クラブ』も楽しんで読めた。
ミス・マープルのような観察力、洞察力に憧れる。最近は、遠出が難しい中、インターネットなどで繋がってはいるものの、ミス・マープルのように狭い世界で過ごすことも少なくない。このお話を読んで、身近なところでも学べることは多いはず、という気持ちになった。
8.もの言えぬ証人
『もの言えぬ証人』アガサ・クリスティー#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) May 22, 2021
ミス・アランデルは、遺産を親族ではなく付き添い婦に残した。ポアロは、彼女が生前に書いた手紙を後に受け取り、死の真相を探る。
性格の異なる登場人物たちがポアロに話す内容が、次第に繋がるのが面白かった。屋敷の愛犬ボブも可愛らしくて好きだ。
遺言書、遺産相続、誰もが怪しく、個性的な親族。アガサ・クリスティーの定番という感じがするが、どの作品も面白い。本書も例外ではない。
この作品で特徴的なのは、屋敷にいる犬のボブの存在と、ミス・アランデルは自然死と診断されており、事件が存在するのか否かわからないことである。
「◯◯という行為は女性の思いつき」などのポアロの分析は、本当かな、と感じるところもあるが、人の性格や心理と行為を結びつけて論じるのは興味深かった。
9.パディントン発4時50分
『パディントン発4時50分』アガサ・クリスティー#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) May 27, 2021
ミセス・マギリカディは、並行して走る汽車内での殺人を目撃した。ミス・マープルは、超優秀なルーシーの協力を得て、死体を探す。
いわゆる「解決編」部分が非常に短く、過程を充分に楽しめた。ルーシーに首ったけの周囲の描写が面白かった。
「解決編」部分は短く、意外とあっさりした結末だな、という感じがしたが、「汽車内での殺人事件」というだけでなく、様々な要素が詰まっていて、過程がとても面白い。
ミス・マープルが協力をお願いするルーシーは、オックスフォード大学の数学科を優秀な成績で卒業した頭の良い女性で、家事労働の世界で大活躍をしている。綺麗で、タフで、どのような問題も上手く対処できるのだ。
死体の身元がなかなか判明せず、事件解決までの道のりが長く思われる中で、周囲がルーシーに首ったけなのが、この作品の良いスパイスになっている。
10.五匹の子豚
『五匹の子豚』アガサ・クリスティー#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) May 31, 2021
ポアロは、16年前に母が父を毒殺した罪に問われたカーラの依頼で、関係者5人に当時に関する手記を書かせ、真実を探る。
同じ出来事も各人で見方が異なったり、故意に隠された事実があったり、シンプルな事件とユニークな構成、全体の不穏さが絶妙だった。
『アガサ・クリスティー完全攻略』(霜月蒼著)で絶賛されており、以前から気になっていた作品。題名から内容が想像できないこともあって、期待値が非常に高い状態で読み始めたのだが、それでも期待を裏切らない、素敵な作品だった。
昔の事件がテーマであること、関係者それぞれに当たるところから、私は『ユージニア』(恩田陸著)を思い出した。
同じ出来事も、人によって見方が異なることは、当たり前でもあるのだが、興味深く、かつ、何だか恐ろしい。
手記の中では故意に隠している、ということももちろんあるが、そうでなくても、その人の置かれた立場や性格などによって、見方は大きく変わってくるのだなと思う。
日常で私が経験している様々な出来事も、職場の隣の人であったり、家族、友人であったりには全く違って感じられていると考えると、なんだか少し怖くなる。
★見出し画像紹介
今回もイギリスの画像。ハリー・ポッターのロケ地としても有名なオックスフォード大学。
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