岩槻「大手門」「岩槻城址公園」「コーヒーとお菓子のお店 CHILL」「岩槻人形博物館」「いわつき温泉ジャンボ」「彩の実」
久しぶりの遠出。埼玉県の岩槻に行ってきた。
急に岩槻に行ったのは「この着せ替え人形は恋をする」という漫画を読んだからだ。
元々はアニメで見て内容は知っていたのだが、先日に漫画の無料公開期間があって、冒頭の何巻かを読んだら気持ちが昂ってしまい岩槻に行きたくなってしまった。
ちなみに漫画の内容は「雛人形の顔を作る「頭師」を目指して修業中の男子高校生」が主人公のラブコメで、舞台となっているのが人形作りで有名な岩槻というわけだ。
岩槻は勝手に田舎だと思っていたのだが駅も立派だし、駅周りも居酒屋やらコンビニやらが沢山あって結構都会的な印象だった。
ランチを食べる店の候補はいくつかあったのだが、B級グルメの豆腐ラーメンへの思いが捨てられず、駅から20分ほど歩いて岩槻城址公園に向かった。
この公園の市民会館の中にあるのが「大手門」と呼ばれるレストランで、B級グルメ埼玉と呼ばれる大会で2回優勝している豆腐ラーメンを提供する店だ。
こんな立地の悪いところに誰が食べに行くんだと思っていたのだが、行ってみると大行列だった。
そもそも岩槻では私のように徒歩で移動している人間は少数派なのだろう。
まるで役所の食堂みたいな質素な空間で新鮮味があった。
並んではいたが客捌きがスムーズで、番号札を渡されて料理を待っていると豆腐ラーメンと餃子のセットが提供された。
豆腐ラーメンは麻婆麺みたいなものかと思っていたのだが、昔ながらの醤油ラーメンをベースに餡がかかっており、とろみのあるスープが美味しい独創的なものだった。
餃子も大きくて餡がたっぷりだ。にんにく入りとしょうが入りがあり、しょうが入りのものを選んだのだが美味しかった。
昼しか営業していない店だがビールをかっ喰らいたくなる味付けだ。
腹いっぱいになったしB級グルメを食べると観光客らしいことをした気分になれてよかった。
その後は公園を少し散歩した。紅葉に期待していったが葉はほとんど色づいていなかった。
しかし私の好きな鴨が身近に歩いていてよかった。鳥は愛嬌があって可愛らしく思えるし、鴨は表情が優しく見えて特に好ましく感じた。
公園で写真を撮り合う夫婦を見て、私もあんな生き方がしたかったと思った。
独り身の自由を満喫できるのは嬉しいが、老人になって語り合う仲間もいないのでは少し寂しく感じるだろうと想像できた。
別に今からでも軌道修正は可能だろうが、これから誰かと交際し結婚と考えると面倒になってしまった。
公園には「幸せ家族十カ条」なんて大層な看板があったが、これを「何が十カ条だ」と斜に構えて見てしまうあたり私の心はとっくに歪んでしまったのだろう。
そんなことを思いながら公園を後にすると、岩槻駅の方に戻って「コーヒーとお菓子のお店 CHILL」に入った。
コーヒーとお菓子は私の大好きな組み合わせだしHPを見たらこだわりがありそうだったので目をつけていた喫茶店だった。
メニュー表から極ブレンドと紫のモンブランを注文した。
別の客もモンブランを注文しようとしていたが、私の注文が最後だったようでモンブランがなくなった旨を伝えられていた。
少し悪いことをしたような気持ちになったが、東京から遠路遥々埼玉までやってきた私がちょっとした幸運に預かっても罰は当たらないだろう。
提供されたモンブランは見た目も可愛らしく、コーヒーカップもこだわりが見てとれるものだった。
このコーヒーは今まで飲んだ中でもダントツで美味しいもので、メニュー表には「敢えて冷まして香りや味の変化を楽しむように」と言ったことが書かれていたが、冷めるまで待てないほどに美味しかった。
モンブランも絶品だったしコーヒーと合うものだった。
帰り際に店主から「コーヒーの味は好みだったか」聞かれたので素直に美味しかった旨を伝えたら、豆のこだわりを説明してくれた上で小冊子までくれた。
店のコーヒーのこだわりを冊子に書いて客に渡すぐらいだから、恐ろしいほどのこだわりを持っているのだろう。
店主の勢いに圧倒されながらも冊子を受け取りお礼を伝えて店を出た。
この後は「岩槻人形博物館」に向かった。
岩槻の名物とも言える人形を展示した博物館だ。
Googleマップの口コミで展示数が少ないとか、歴史的なことが書かれいないなどと酷評されていたのであまり期待していなかったのだがよかった。
私は無知で馬鹿なので、歴史の話よりも人形を作る工程が坦々と書かれている方がわかりやすく思えた。
作ってる途中の人形は最中みたいで美味しそうに思えた。
他に人がいなかったのでタッチパネルを操作すると見られる動画も全て見た。
その後にうるさい家族連れが入ってきて、子供が靴を脱いだり騒ぎ倒すので父親が怒るのだが、父親が殴ったり蹴りをいれていたので驚いた。
それで子供が泣かないのにも、更に驚いた。
この家庭ではこれが当然なのかもしれないし、子供は今は気づかないが成長してから親の暴力を思い出してトラウマになるのかもしれない。
そんなことを考えつつも関係のない家族のことなので、早く出ていってくれないかなと思いながら会場を回った。
特別展は「岡本玉水」という人形師の個展だった。
全然知らない人だったのだが、個展を見る限りでは立派な人形を作ったり、人形文化を広めた人物のようだ。
当時は小冊子に人形を付けて販売することで人形文化の発展にも貢献していたらしく、失礼ながら同人誌に特典を付けて販売しているアニメオタクのようだと思ってしまった(批判ではない)。
しっかりと文章を読んで回ると1時間半が経ち閉館の時間になってしまった。
確かに展示は少なかったが面白かったし、特別展の内容も含めて楽しめた。
ただ文字は一切読まず展示を眺めるだけの人は30分もかからないと思うので、物足りなく感じるだろう。
博物館を出ると「いわつき温泉ジャンボ」というビル銭湯に向かった。
岩槻に行ったのは漫画に刺激を受けたのがきっかけで間違いないのだが、更にこの昭和の香り漂う銭湯があることを知り、是非行ってみたいと思ったのだ。
私が見てきたレトロ銭湯の中でも、かなり貫禄のある入り口で見ているだけでわくわくした。
3Fはビジネスホテルとなっていたので、以前はホテルの宿泊客が銭湯を利用して賑わったのかもしれない。
2階の受付に行きお金を払うと番台のおばちゃんが「そういえば19時までだけど平気かい?」とのことだ。
驚愕だが19時に銭湯は閉まってしまうというのだ。時刻は既に17時半だったので慌てて風呂に入った。
決して広い銭湯ではないが、ぬる湯に該当する34度ぐらいの薬湯に、メインのお湯は座り湯、バイブラと設備も充実していて必要十分だった。
サウナは昔ながらのカラッと乾いたタイプのものだったが結構熱めだ。
水風呂も20度とヌルめだったが2分半ぐらいしっかりと浸かるとトロみがきて、見事に整った。
やはり1時間強では時間が足りず薬湯にもっと長く浸かっていたいと思えた。
18時50分ぐらいにはご主人が風呂場の片付けに入ってきたので名残惜しいが退出することにした。
外に出ると近くの「マツモトキヨシ」でノンアルコールビールを買った。
本当はアルコールが飲みたかったが数日前から蕁麻疹が出たり不調が続いていたので、ノンアルコールビールで我慢した。
それでも缶を片手に街を歩いていると、なんだかお酒を飲んでいるような気持ちになれてよかった。
最後は「彩の実」という蕎麦屋に行こうか迷っており、念のため閉店時間を確認しようと電話をかけたら蕎麦がなくなり次第の閉店とのことだった。
「来るなら蕎麦を取っておきましょうか?」とのことだったので、せっかくならとお願いして蕎麦屋に向かうことにした。
ランチがメインなのか夜は私以外には誰もおらず広いお座敷を貸し切りで使うことができた。
注文した「天せいろ(1200円)」は、すごい天ぷらの量だった。蕎麦も比較的多めで全体的にボリュームがあった。
ただ天ぷらに付ける塩が2種類提供された上に、天ぷらのバリエーションがあり最後まで飽きずに食べることができた。
最初はこんな量を食べ切れるかなと思っていたのだが、いざ食べ終わってみると食べたりないような気持ちになった。
それぐらいには美味しかったので、わざわざ行ってよかった。
店を出ると少し街を散歩して帰った。
最近は遠出を控えていたのだが久しぶりの遠出は良い息抜きになった。
自宅から離れて知らない街をフラフラするような、こういう時間が私には必要なのだと改めて感じた。
自宅は好きだが、同時に趣味に集中する場所でもあり、自分にとっては職場のような少し疲れる場所でもあった。
そのため定期的にこうやって、自宅から遠く離れた場所で食事をしたり、意味のない散歩をしようと思った。
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