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発達障害の人がノート一冊を使って、ネガティブな気持ちを和らげる方法

発達障害があると、感情のコントロールが難しい

発達障害の人は感情のコントロールが概して苦手な傾向にあります。

その原因は様々でしょうが、ASDなら、白黒思考のせいで、物事を極端に感じやすく、友人から言われたちょっとした一言に傷つきやすいと言えます。

ADHDも、障害特性として、衝動性が高く、人間関係でカチンと来ることが定型発達の人より多いと言えるでしょう。

また、ASD・ADHDに共通する「感覚の過敏性」も、気持ちや感情のコントロールにマイナスの影響を与えているはずです。

そこで、一冊のノートを使うことで、怒りや悲しみといったネガティブな気持ちや感情をコントロールする方法を解説したいと思います。

ノート一冊を使って、ネガティブな感情を和らげる方法

まずノートに日付を書き、<出来事><感情と自動思考><適応的な思考>の3つの項目を設けます。

次に、その日起こった出来事を<出来事>の欄に、その出来事により起こったネガティブな感情を<感情と自動思考>の欄に書き出します(この際、出来事に対する感情の激しさも、例えば、10段階[1を最小、10を最大とする]でメモしておくと、あとで役立ちます)。

さらに、自分に生じたネガティブな感情の原因が、「精神疾患の持っている人が陥りやすい以下の自動思考」のうち、どれに該当するのかを調べて、その自動思考も書き出します。

<自動思考の一覧>
強引な一般化:たった1つの悪い出来事から、物事全体が悪いと考える
白黒思考:物事を0か100かのように二極化して解釈する
べき思考:義務感(~すべき)や後悔(~べきでなかった)に捕らわれる
拡大解釈と過小評価:短所を過大に考え、長所を過小に評価する
感情的決めつけ:根拠なしに、感情的に考えて、結論を下す
自己関連づけ:良くないことが起こると、勝手に自分と関連付ける

具体的には、まず<出来事>として、例えば、「今日、職場の廊下ですれ違いざまに、同僚のAさんにあいさつしたら、無視された」などと書きます。

次に、<感情と自動思考>に、「せっかくあいさつしたのに無視するなんてひどい」とか「Aさんは性格が悪いに違いない、腹が立つ」などと、素直にその時に感じたことを書き出します。

さらに、自分の感情の言語化が、上記の自動思考のどれに当たるのか、考えて、記入します。この例だと、「感情的決めつけ」でしょう。また、「白黒思考」の傾向もありそうです。上記のどれにも当てはまらないのなら、どういう思考パターンなのか、自分なりに分析してメモしておきましょう。

最後に、<適応的な思考>に、<感情と自動思考>を冷静に振り返った認識を書き込みます。先程のAさんの例で言えば、「Aさんは、何か考え事をしていたのかもしれない」「Aさんは、こちらのあいさつに気づいていなかった可能性がある」など、です。あくまで、中立・客観的な可能性を書きます

以上で終了です。これまでの流れをまとめると、

①<出来事>・<感情と自動思考>・<適応的な思考>の欄を設ける。
②<出来事>にその日の出来事を書き込む。
③<感情と自動思考>に、出来事に対するありのままの感情とその数値化、感情に対応する自動思考(「不合理な信念」と呼ばれる)を書き出す。
④<適応的な思考>に、できるだけ冷静な視点で他の可能性を書き出す。

となります。最後に、自分の書いた内容をじっくり見返します。すると、不思議なことに、書く前より、いくぶん心が落ち着いていることに気づかれると思います。

あとは、この方法を習慣にして、継続していくだけです。
ポイントは、書き溜めたノートをしっかり見直すことです

そうすることで、自分の良くない思考パターンが掴めて、それ以降に活かしたり、「ああ、この時は、怒りの感情を7も感じていたのか。それなら、今度の出来事は大したことはないな」などと、冷静に事態を見渡すことができるようになるはずです。

このように、書き溜めたノートは財産になります。皆さんが一冊のノートを使い切る頃には、以前より、はるかに感情の和らいだ自分を発見できることを願っています。

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