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表現の自由が暴力に屈したら終わり ~フランス歴史教師殺害事件について~

少し前の事件ですが、思うところがあったのでコメントしたいと思います。


フランスの歴史教師が授業でシャルリー・エブド紙のムハンマド風刺画を使ったことをうけ、激怒したイスラム過激派の男により惨殺されました。そしてフランスで大規模デモがおこりました。


その後、マレーシアの元首相マハティールが「イスラム教徒にはフランス人を裁く権利がある(見出しは殺すとなってますが...)」とTwitterに投稿して炎上、フランス政府の猛攻攻撃を受け、その後削除しました。


歴史教師サミュエル・パティさんの葬儀は国葬となり、 マクロン大統領まで参列し「われわれは風刺画をやめない。」と言及して波紋が広がっています。


この問題を政治化する行為は、対立が対立を呼び、褒められたものではないと思います。ですが大枠でフランスの立場に賛成です。正直、無意味なデモにもうんざりすることが多い方ですが、このデモについては支持したいです。


表現の自由にもちろんTPOは必要です。あまりにも礼節を欠く場合、場所によっては制限されるべきです。ですが暴力や国家権力によって裁かれるべきではありません。表現の自由が暴力の恐怖に屈したら終わりです。教育も芸術も終わりです。それくらい "表現の自由 (Freedom of Speec)"は人類がその歴史の中で獲得した最も大切な概念だと思っています。


なぜこんなことを書くかというと。。。本当に今更なんですが、最近愛知トリエンナーレの問題になった作品を見ました。驚愕してました。これしきであそこまで炎上していたのかと。


アート作品としては正直あまりおもしろいとは思いません。ですが、アートの世界においてあれは過激でもなんでもなく、むしろおとなしい方で、あれに不敬だと憤る行為は滑稽でしかありません。100歩譲って公金を使うなというのはわかります。ですが津田大介さんはその後、公金を使わずに「表現の不自由展」をやり遂げました。


「Anarchy in the U.K.」や清志郎さんの「君が代」が今の時代なら炎上してのかどうかわかりませんが、昔の方が何も言われなかった。時代は逆行してるのでしょうか?


歴史上、為政者や権力者を批判する作品などいくらでもあります。中国ですらあります。あれしきのことに目くじら立てるのはコミケ発祥の地、日本らしくないと思っています。そして日本も "表現の自由の侵害" に対しては国を揚げて怒ってほしい。


プロフィール : 田中 潤
音楽家、プロデューサー、アーティスト…etc
2003年にドリーミュージックよりメジャーデビュー、2008から作編曲家としてRhytm Zone(AVEX)に所属。2014年頃独立。
作編曲で Smap, May J., 三代目JSB, 倖田來未、土岐麻子、信近エリ、堀込泰行、宮崎薫 、moumoon…etc に携わり、CM音楽や企業向け音楽も多数。

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