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【中国のエコロジー】世界のCO2排出量はコロナ前と変わらない水準に戻る。中国もそろそろ本気で排出量削減に取り組むかが焦点。

徐々に行動規制が緩和される中、世界のCO2排出量はコロナ前並みに戻っています。環境意識の高まりを受けて、中国がいかに本気になるかがポイントです。

1. 足元のCO2排出量


2020年12月度のCO2排出量(グローバルベース)は昨年を超える水準であったとの衝撃的な報道。多くの国が行動規制下にある一方、中国での経済活動の本格化が大きく寄与した形になっています。

CO2排出量削減においては、米国・中国・インドが特に重要なプレイヤーです。米国が、バイデン政権下で明確な環境政策へのシフト、パリ協定への復帰を名言していることから、順調に経済成長(及びCO2排出)を続ける中国の環境対策が重要性を増しています。

欧州圏では非常に環境意識が高いことに加え、ロックダウンなど厳格な行動規制にさらされていることから、中国に対する反感は市民の間で、将来的に高まる可能性があります。

2. 中国の環境政策


世界的には環境政策の目標として、パリ協定の遵守に加えて、足元では「2050年までにカーボン・ニュートラルを達成すること」が強く意識されています。

一方、中国の公式目標は2030年までにCO2排出量のピークアウト、2060年までにカーボン・ニュートラルの達成です。今や世界第二の経済大国になった中国にとっては、かなり消極的な内容となっています。

米国が環境政策の強化を打ち出す中、国際社会の中国に対する風当たりも強く、今後、中国は前倒しで目標の遂行を求められると見込まれます。

目先、注目されているイベントは、3月5日から1週間に亘って開催される全人代です。2021-2025年までの5ヵ年計画が議論されますが、グリーン・テクノロジーなど重点分野の強化についても対象とされるでしょう。一方、化石燃料を国家エネルギー戦略の中枢におく方針に変更はなく、当面はのらりくらりと化石燃料の削減に取り組んでいくと考えています。

3. 投資の視点

今や、環境技術・産業は、ただのイデオロギーだけでなく、経済分野としても重要性を増しています。中国は、自国の優先政策(産業構造転換、中間所得層の拡充など)に注力するものの、マイペースに環境政策を推進していくと見込まれるため、環境分野では、フォロワー(≠先駆者)として位置づけに留まるでしょう。

投資家としては、世界的なビジネストレンドになりつつある環境産業への洞察の重要性が増しています。当方のノートの中でも言及していますが、環境技術、カーボン・ニュートラルの主力は、洋上風力発電と考えられます。同分野は既にかなりの過熱感がありますが、世界的な発電キャパシティーは小規模で、ビジネス・サイクルはまだ始まったばかりと見られます。

また、産業トレンドとともに国際社会での協調姿勢が注目されます。今年11月には、イギリスのグラスゴーでCOP26が開催されますが、従来とは異なり、CO2削減に向けて、より野心的な協約が合意されやすい地合いになっており、年末にかけては注目が集まっていくと考えています。

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英国紳士

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