[UFC] 魅津希の勝利とフィジエフの負傷
先週末に行われたFight Nightで日本人ファイターの魅津希が3年ぶりの復帰戦を行い、見事に勝利を収めた。
3年という長いブランクを経験しながらも魅津希は粘り強いテイクダウンディフェンスを見せながら、有効打でポイントを稼ぎ見事に判定勝利を掴み取ることに成功している。
多くの場合、試合の期間が長く空いてしまうと試合勘が鈍る上に緊張やプレッシャーで動きが固くなりやすくなってしまう。
3年というとても長いブランクを経ての試合は、その影響をより大きなものとすることは間違いないと思うので、そこで勝利を手繰り寄せるというのは非常に難しいことだろう。
しかし今回魅津希は大きなミスを犯すことなく試合を進めており、普段のトレーニングでの積み重ねとその強度が垣間見えるようだった。
UFCの舞台で勝利を掴んでいる平良達郎・中村倫也と同じように日本人UFCファイターがまた勝利を挙げることに成功したというのはとても嬉しいニュースである。
これから上を目指して一つずつ勝利を重ねていく姿を見てみたい。
フィジエフがまさかの負傷
猛者だらけのライト級でランキング入りしているラファエル・フィジエフとマテウス・ガムロットの対決はまさかの幕切れを迎えた。
前戦でジャスティン・ゲイジーと激戦を繰り広げたフィジエフは総合力が高い上に、パワーもスピードもある非常に優れたファイター。
対するガムロットはKSWで王者に輝き、UFCに移籍してからも高い勝率を維持し、寝ても立っても戦えるフィジエフ同様に総合力の高いファイターである。
特にスクランブルの展開で上手を取ることに優れ、上の取り合いを制することが出来るという強みを持っている。
しかし組み勝負で優位を取れない状態でスタンド勝負に持ち込まれると、力強さで劣ってしまう部分が見受けられるようになり、ベニール・ダリウシュとの戦いではタックルを切られ続けスタンドで漬けられるような状態に追い込まれていた。
スタンドもグラウンドもどちらも非常に強力な実力を持つイスラム・マカチェフがベルトを持つライト級で王座を狙うのであれば、ガムロットのスタンドでのパワーアップは必須だろうと思われる。
そんなガムロットがフィジエフと激突すれば、最終的にガムロットがフィジエフに削られていくことになるのではないかと思っていた。
実際にスタンドで牽制し合う展開から動きを見せるようになるとガムロットはタックルを仕掛けていくようになったが、フィジエフは完全に寝かされることはなく倒れてもすぐに立ち上がりコントロールを許さなかった。
自分の展開に上手く持ち込み切れないガムロットに対してスタンドで攻勢を強めていくフィジエフがここから優勢を築いていくように見えた。
しかし、そんな最中に繰り出されたスタンド攻撃でフィジエフはアクシデントに見舞われてしまい、負傷によるTKO負けを喫することになってしまった。
結果的にガムロットはここで連勝を記録することになったので、この先上を目指せるような相手と試合を組まれる可能性もあるだろう。
しかし、今回のフィジエフとの戦いを見てもガムロットの立ち回りに大きな変化は感じられなかったので、このまま上位ランカーとぶつかると跳ね返されてしまうことになる可能性が高いのではないかと感じた。
今回の試合は結局2Rで終わってしまったので、長い時間両者のパフォーマンスを見ることが出来たわけではないけれど、ガムロットの試合作りと悪い流れへの入り方はこれまでの試合のものとよく似ていたように感じたので、上位陣撃破へ繋がる明るい材料が増えたようには思えなかった。
ただガムロットのジャブは良いリズムを作っていたように見えたので、そこからKO出来る可能性のあるストレート系の打撃を打ち込める頻度が上がればガムロットの強みであるレスリングや柔術もより活きてくると思うので、そうなれば一気にパワーアップすることもあるかもしれない。
上のランカーを倒せるポテンシャルを持つが惜しくも怪我に泣いたフィジエフの今後と、ここで勝ちを拾って引き続き王座への道を歩み進めるガムロットの今後、どちらも非常に気になるところ。
マカチェフとオリベイラで再び王座が争われるライト級はこれからどのような動きを見せていくのだろうか。
魅力の褪せないライト級の盛り上がりは注目を引き続けている。
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