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[ボクシング] 井上尚弥がTKO勝利を収め、タイトル防衛成功!

4団体統一王者の井上尚弥がルイス・ネリを6回TKOで下してタイトルの防衛に成功した。

評判こそは良くないがタイトルに挑むだけの実力は十分に備えている挑戦者のネリは、大番狂せを起こす要素を孕んだ危険な相手だった。

そんなネリは初回に大きな衝撃を世界に与えた。

“井上尚弥のダウン”

これは試合を見ていた全ての人間を驚かせたに違いない。

過去に番狂せを記録している東京ドームであるということもあって、肝を冷やした人は多かったのではないかと思う。

まるで歴史的な番狂せが初回に生まれるという劇的で最悪な結果が音を立てて近づいてきているようだった。

しかし、歴史に名を刻んだ王者はそんな簡単には終わらない。

勝負を付けようと前進するネリから上手く逃れると、初回をしっかり凌いでチャンスをものにさせなかった。

そして落ち着きを取り戻した井上は、2Rから徐々に調子を上げていき、ネリのパンチを外しながら強打をヒットさせるいつもの頼もしさを見せ、2Rの途中にはネリからダウンを奪い返すことにも成功している。

またフルトン戦で見せていた煽りを入れて、ネリを挑発するという不敵さを見せながら打ち合いを誘う井上は、大観衆を沸かせて見せ場を作る働きまで見せていた。

それ以降はネリと井上尚弥の間にある差が浮き彫りとなっていく展開となり、5回にもう一つダウンを奪うと、次のラウンドで打ち合いを制した井上尚弥が強打をヒットさせてネリをマットに沈めてしまった。

振り返ってみれば、井上尚弥の凄まじさが改めて知らしめられた試合になっていた。

ただその中には、タイトルを奪うための「挑戦」とはまた違う、タイトルを守る「防衛」の舞台で強さを発揮する難しさが表れたいたようにも感じる。

今回の試合の立ち上がりを見ていると、井上尚弥のジャブや相手のパンチに対する反応などに固さが感じられる上に、動きにらしさが感じられない部分があったので、それを考えると彼がこれから戦っていく中で何よりも大きな敵となってくるのは「抱えているベルトの重さ」になってくるのかもしれない。

このネリ戦で見られた衝撃のダウンは、これからの挑戦者に「倒せる」イメージを掴む材料を与えることになったと思うので、井上尚弥の圧力に怯まずに金星を狙うハードな挑戦者が増えることになるだろう。

ただ、初のダウンを経験しながらそれも冷静に対処し、その後キッチリとペースを戻してフィニッシュ勝利を収めるというのは、井上尚弥のさらなる可能性を示したことにもなるので、そういう意味では新たな脅威を与える要素になっているという側面もある。

また、今回のダウンは井上尚弥の中に良い経験として吸収され、新たな局面に対する学習として昇華されたのではないかと思うので、これによってモンスターはさらなる進化を遂げることになったのではないかと思う。

東京ドームという最大の舞台で強敵であるルイス・ネリをクリアした井上尚弥は、次戦にサム・グッドマン(18-0)を迎えて、9月に防衛戦を行う見込みとなっている。

新たな経験を獲得したことで逞しさを増した井上尚弥は、その幹をさらに太くすることになったと思うので、次戦では改めて4団体統一王者の強さと脅威が発揮されることになるのではないかと思っている。

歴史に残る偉大な日本人ボクサーの試合をリアルタイムで観ることが出来る喜びを噛み締めながら、次の戦いを楽しみに待ちたい。





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