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書くことと私

「書くこと」の意味ってなんだろう?

自分を見つめ直し、生い立ちを振り返りながら、「書くこと」の意味について考えてみた。

物語が好きだった幼少期


幼少期は、物語が大好きだった。

少年が恐竜と一緒に世界を旅するお話、
魔法使いになって、森の動物たちと楽しくおしゃべりするお話、
勇猛果敢な主人公が、冒険に繰り出し、試練を乗り越えていくお話。

紙と鉛筆だけで、空想上の動物たちと世界中を飛び回ることができる、
そんな物語の世界に心が満たされた。

小学校3年生の頃、小さなメモ帳に書いたおとぎ話が
私の「書くこと」の最初の始まりだった。

図書館にある本を読み漁り、もう読みたい本がなくなった頃、
私もお話を書いてみようと思い立った。

物語を考えていると、だんだんと絵を描きたくなった。
人を描き、お城を描き、文字の装飾も考えるようになった。

書くことを仕事にすべきか悩んだ中学時代

中学生のとき、一晩で書き上げたエッセイが
市の新聞社のコンクールで入賞した。

「ありのままの自分」というタイトルで、目の前の勉強・部活の日々の中で将来を見失いそうになりながらも、船をこぐ旅人のように夢を追いかけたい、そんな思いをつづったように思う。

書くことは、もともと好きだったけど、勉強やスポーツのように注目されることがあるなんて初めてのことで、思いがけなかった。

でも、あるときから、書くことへの関心が薄れていった。

それは、おそらく、職業について考え始めた頃。

私は、将来どんな仕事につくか悩んでいた。
本当は、漫画やイラスト、文章を書く仕事につきたかったけど、食べることができる漫画家さん、作家さんは一握りだ。

どんなに豊かに自分の思いを描いても、行動しなければ、前に進めない。

おとぎ話の主人公は、現実には絶対に存在しない。

病気を治したり、不平等を変えることはできない。

物語の世界にいることで、もしかしたら、私は現実から目をそらしているのではないか。
そう思うようになった。

だから、現実に直結する職業につこうと思った。

医師を目指すようになった高校時代


中学3年の夏休みの頃だったと思う。

私は、部活から帰り、クーラーの冷えた居間でジュースを飲みながら、
何気なくつけたテレビで、国境なき医師団のドキュメンタリーで見た。

北朝鮮に派遣されたドクターが、貧困と病気に苦しむ子どもたちを手当てし、現状を多くの人に知ってほしいと話している番組だったと思う。

私にとって、そのような仕事があることが衝撃的で、現実と向き合う姿が鮮明に頭に焼き付いた。

そして、医師になって、国際保健の現場で働きたいと思った。

しかし、高校1年生の最初の模試は、全てE判定。
中学で少し勉強ができたくらいでは、医学部に入ることは絶望的だった。

でも、私には医学部に入りたい理由があった。
医師になることが目的ではない。
医師になって、現実世界と向き合い、その上で、私の目で見て感じたことを、多くの人に伝えたい。

高校3年になったときには、医師になることは私の使命になっていた。

大学受験は、自分で自分を追い立てる日々だった。
10分が惜しい、1分が惜しい。
遠足のバスの移動中も、英単語を覚えていた。
お弁当と食べる時間がもったいなくて、お昼はおにぎり一個にしてもらった。
成績がのびなくて、部活をやめたいと顧問に泣きついた。

けれども、相変わらず、模試の判定はEのままだった。

はたからみても、異様な形相だったに違いない。

高校3年生になって、進路指導の先生に、
「医学もいいけど、薬はどうだ?」と言われるも、きっぱりと断った。
医師でないと意味がないのだ。

今思うと、そんなに自分を追い詰めなくても、と思うけれど、
当時は、1秒でも気を緩めると、夢への道が閉ざされるような感覚で、必死で綱を渡り続けていた。

浪人時代を乗り越えて

現役では、惨敗。でも、あきらめたくなった。
浪人したけれど、成績は変わらず、これでだめだったら、看護学科に入って、卒業して、もう一度、医学部を受けようと本気で考えていた。

結局、私は、推薦で地元の医学部に入った。
幸運だったとしか思えない。

浪人中のことは、あまり覚えていないけれど、
受験の結果を見たとき、1人で泣いたことだけは覚えている。

医師になった今、たった1つ後悔している事


人生に後悔はない、と言いたい。

中学のときのエッセイでも、「明日死んでも後悔しない毎日を生きたい」と書いた。そして、そのままずっと走り続けてきた。

けれど、1つだけ後悔していることがある。

それは、「絵を描くこと」を封印してしまったこと。
大学受験のため、受かるまでは絵を描かないと自分に言い聞かせた。

大学に入ってから今でも、少しずつ絵を描いてはいるけれど、「絵を封印した」という呪縛が、いまだに私の奥底からぬぐえずにいる。

あのとき、もっと絵を描いていれば、もっと上手くなっていたのに、そんなモヤモヤが出てきては、絵が好きという気持ちを曇らせてしまう。

絵を描く道は、私が閉ざしてしまった。
あの道に進んでいたら、どうなっていただろう。

そんな思いが、ふと頭をよぎる。

だから、もしこれを読んでいる10代、20代の若者がいたら、決して、好きなことをやめないでほしいと伝えたい。


まだうまくは伝えられないけれど、書くこと、それは私にとって、自分と向き合う事そのもの。考えることそのものである。

今からでも遅くはない。

呪縛はまだ解けてはいないけれど、
この道を進んでいこう。

「書くこと」と「描くこと」が大好きだから。

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自己紹介の記事はこちら。

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大学時代のイラストはこちら。


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