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ギリシャのイースターは必見!

イースターは春分が過ぎてから最初の満月の後に来る日曜日に祝われ、イエス・キリストの復活を記念するものです。 ギリシャ語では「パシャ」と呼ばれるイースターは、春を起点として考えた場合に1年の最初の祝日となります。 ギリシャ正教会では信者は偉大な瞬間への準備を整えるために40日間の断食をすることが要求されます。その期間は赤い血を持った動物からの食物はいっさい口にできません。

イースター週間はひとつ前の日曜日に始まります。それはパームサンデー(棕櫚[しゅろ]の日曜日)と呼ばれ、イエス・キリストがロバに乗ってイエルサレムに凱旋してきたことを祝います。 弟子たちへの最後の教示、彼らとの最後の晩餐、逮捕と連行、と続き、十字架への磔を頂点にし、死と葬列、そして聖金曜日の棺(ひつぎ)! 子供時代からたくさんの優しい想い出が私の心によみがえります。 たいがい小さな教会の形に彫られた木製の「棺」を若い少女たちが生花で入念に飾り付け、刺繍されたキリスト像である「イエスの遺骸」を「葬列」において運ぶのも伝統です。

女の子たちはまる一夜を教会で過ごし、ライラックやすみれを編んでいきます。男の子たちは少女たちのそばにいて、なんでも頼まれれば手を貸そうと待機したものです。 でも男の子たちにとってもっと大切なことは、花が足りないとき出かけていって人々の庭を襲撃することです。 この「庭の襲撃」はこれまた古くからある伝統で、人々はそれが起こるのを知っていますし、「花泥棒」たちが仕事をしやすいように庭の門を開けたままにしておきさえします。 門にメッセージを付けておくこともあります。「花だけを切って下さいね。根っこから抜いていかないで下さい」。若い連中はともすると焦りすぎてそんな蛮行をやらかすのです。

聖金曜日は、教会の悲しげな鐘の音によって死せるキリストを悼む日です。 朝のミサとキリストの体を十字架から下ろす「アポカシロシスApokathilosis」と呼ばれる儀式のあと、美しく飾られた棺が教会の真ん中に据えられます。 人々はできる限りたくさんの教会を回って列に並び、敬意を表します。夜には棺は葬列のため通りに持ち出され、灯りをともしたろうそくを持った信者がそれについて歩きます。 空気はお香と蜜蝋の芳香に混ざった春の花の香りに満ち、ろうそくの灯りは空の星々と競い合うかのようです。

そして土曜の夜12時の鐘が鳴ると、国中のあらゆる教会という教会で司祭たちが「よき知らせ」を告げます。 「キリストが蘇られた!」誰もが歓喜し、お互いに"愛のキス"を交わしながらその嬉しいメッセージを繰り返します。生は死にうち勝ちました。赤く染められた卵が出てきます。 赤は歓喜と幸福の色であり、卵は新しい命の誕生を象徴しています。司祭が宣言するとすぐ、クラッカーや花火が賑やかな音を立て、鳴り響く教会の鐘の音の伴奏をするのです。 夜の12時を過ぎてから供される祝いの晩餐に続いて、串焼きの子羊肉が出されます。焼いた肉の匂いが国中を隅々まで覆い、祝祭は翌日まで続きます。 家々は皆、開け放たれ、通りすがりの人も祝宴に加わるよう招かれます。これは友愛の日であり、なんびとたりともそこから締め出されるようなことはないのです。

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