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時には「まぁ、いっか」と言える子育てを

私には娘と息子がいる。歳の差は2歳。

だから、息子が生まれたとき娘は言葉をしゃべりだし、ちょこまかと動き回って手のかかる時期だった。

私は性格的に結構マジメな方で、2歳になる娘に生活のルールを教えたりきちんとしつけないとと思う事が多かった。

特に他の子ができているのに娘がなかなか出来てないと、「わたしがきちんと教えてないからだ」と親として劣等感を感じたりしていた。

だからとにかくちゃんとしつけたかった。それは親がしないといけない事だと思ってたから。

だけど、なかなか思うようにいかなかった。弟が生まれてからは特にだ。

私の夫は転勤族だし実家はとても遠かった。もちろん私は新しい土地に行って仕事もしていなかったから友達もいない。

夫が休みの時は夫が協力してくれるけど、平日は「ちょっとこの間だけ赤ちゃんをみてもらえる?」なんて頼れる人はそばにいなかった。
全て自分でしなくてはいけない。

「でも、もっと大変なお母さんもいるよね。私が頑張れば出来るはず。」
そう思っていた。

でも実際は
「よし、今日はせめてこれとこれをして、ここを片づけて」と考えていても上手くできない。
家事も子育てもちゃんとしたいのに、何だか中途半端な気がして次第にストレスが溜まってきた。

私はだんだん疲れてきた。子供が泣いたりすると自分の心拍が上がるのが分かった。
私は笑顔が少なくなり、子供をあやしながらぼーっと一点を見つめることも増えた。

「このままじゃ、鬱になるかも…。せめて話を誰かに聞いてもらいたい。」

夫や親にはたまに聞いてもらえたけどあんまり言うと心配かけるし、仕事で疲れて帰ってきてるのに愚痴ばかりじゃ悪いと思った。
友達にも、私の自由な時間が出来るのは深夜になるので電話できなかった。

そう思った時たまに行く地域の「子供センター」を思い出した。子供たちを遊ばせておく部屋のすぐ隣に確か「相談室」という部屋があった。

正直こういうところで相談するのは初めてだし、「子育てできない親って思われるかも…。」などという妙なプライドもあって少しためらったが、もう自分ひとりじゃどうにもならないと思い勇気を出して相談することにした。

子供を遊びに連れて行ったその日、スタッフの人に話を聞いてもらいたいという事を伝えたらいきなりにもかかわらずすぐに時間を作ってくれて、その間子供たちはほかのスタッフさんがみてくれた。

話を聞いてくれたのは昔幼稚園の園長をしていたことがあるという女性だった。

彼女は私の話を一度も遮ることなく頷きながら一生懸命聞いてくれた。

「親だからきちんとしつけないと。けどなかなかできなくてそれがストレスになって…。」

私が話し終わると、センターの人が少し考えてから言った。

「…あのね、私思うんですけど、

しつけなんて二の次でいいですよ。
まずはお母さんとお子さんの精神が安定することが大切です。

しつけはそこから始めればいいですから。」

私の目からうろこが落ちた瞬間だった。

具体的にこの解決策はこれ、こういう時はこうしたらいい、などのようなアドバイスをされるかと思っていたが違った。

この人は「親だからこうしなきゃいけない」という私の根本の考え方が自分自身を苦しめていると気付いたのだろう。

だからこんな言葉をかけてくれたんだと思った。

親だから教育しないと、何歳までにこれが出来るように娘をしつけないと。
自分たちを型にはめてばかりで、出来ないと焦ってイライラして、明らかにできなくて苦しんでるのに全く自分たちの気持ちを考えていなかった。考えていたのは出来るか出来ないかの結果だけ。

この言葉は今でも私の子育ての基準になっている。

同じ年の子供、その親、家庭によって環境が違うし、性格も違う。
それによって出来る事と出来ない事が違ってくる。

それから私は自分の子供をほかの子と比べるのはやめて、「3歳までにおむつ取りたかったけど、ま、いっか」
弟の事で手が離せないときは「今娘と遊んであげれないな〜、洗濯物も片づけたいんだけどなぁ、ま、いっか」と

出来ない自分も認めることにした。

子供と親の精神が安定出来て頑張れる目標を探った。

「今日はこれが出来たんだから良しとしよう。」

そう考えることでだいぶ気持ちが落ち着いた。
特に出来ないときは「ま、いっか」と口にだすと本当にそんな気持ちになった。

出来ない自分を認めるのは苦しい時もあるが、認めることによって結局心に余裕が持てていつの間にか出来るようになる時もある。

まだまだ子育て途中だから、子供たちと自分(もちろん夫も)の様子を考えながら笑顔で出来る子育てを続けていけたらと思う。

そしてあの時話を聞いてくださったセンターの方に心から感謝します。



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