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読書感想 小泉八雲 雪女

病院の待ち時間に青空文庫で読みました。
田辺隆次さん訳です。

「耳なし芳一」と並んで有名なこちらの作品、今更ですがはじめて読みました。こういうお話だったのか……。ザ!日本昔ばなし〜!ですね。

木こりを生業としている茂作と年季奉公人である18歳の少年巳之吉は、ある大層寒い晩、仕事帰りに大吹雪にあいます。河を渡れないので家に帰れず、船渡り守の小屋で一晩を過ごすことになります。

夜中、巳之吉は白装束に身を包む美しい女が小屋にいるのを発見します。その女は身をかがめて茂作に白い息を吹きかけています。
そして女は巳之吉にも同じ事をしようとしますが、「あなたは美少年ね、巳之吉さん、もう私はあなたを害しはしません」
と言います。
しかし今日見たことをもし口外したら、私はあなたを殺しますと言って女は去っていきます。
茂吉は亡くなってしまいます。

巳之吉はのちに、お雪と名乗る美しい女性と出会い夫婦になります。そして十人の子供をもうけます。
しかしそのお雪こそ、かつて自分を殺そうとした雪女だったのです。

 「雪女」はもちろん人ならざるものですが、母性(のようなもの)が備わっているバケモノですね。
老人はあっけなく殺すけれども、若い美少年は見逃したりするし。
10人子供を産むなんて、健康な女性だってキッツイことバケモノのくせに難なくやってるし。
さらに、うっかり雪女と出会ったことを話してしまった巳之吉を子供達のために殺さないのですよ。

流れとして、巳之吉は殺されてしまうような結末を予想してしまいますが、自分が産んだ子供達に不憫な思いをさせるのは、化け物とはいえ耐えられなかったのかしら。もしくは巳之吉に愛情があったのか……。

女性は最後の最後まで「女」だけは捨てられない生き物らしいですね。
私も悲しいかな女なので、一生女の皮をかぶって生きていかなくてはいけません。



どれだけ価値観が多様化した世の中になっても、結局「女性の幸せ」は好きな男性に愛されることかもしれないですね。もちろんそれが全てではありませんが。
どうしても女性のほうが男性に比べて物理的幸せに対して受動的な傾向になってしまうと思うのです。

時々、「俺は海賊王になる!!」
みたいに能動的行動をしてみたい気がするのですが、それも大変だよね。
やっぱり私は女に生まれて良かったのでしょう。

いつものことですが全然雪女の感想じゃなくなっててすみません……


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