読書感想 芥川龍之介 庭
またしても芥川龍之介です。
いかんせん大好きなものでつい……。
こちらの作品、なんと言いますか……寂しさ漂うお話なのですが、寂しいだけのお話ではないんですね。
ストーリーとしては、なんでもない話なんです。それなのにとても胸を打つ「何か」があります。(それは芥川龍之介の作品の多くに言えることだと思うのですが)
その「何か」は一体なんなのだろう?
鋭く的確な心理描写、心情描写なのでしょうか……。
読み終わったあとに、「はぁ〜」とため息が出るイメージです。このため息の正体は一体なんなのだろう?
私はいつもそう思います。
旧家が没落していき、それと同時にかつては見事であった庭も荒廃していきます。
一家には不幸が続き、隠居、当主、当主の妻が亡くなります。
当主(長男)の弟二人(次男、三男)が家に戻ってくるのですが、
次男もやがて亡くなります。
三男は事業に失敗し、大阪に行ってしまいます。旧家は取り壊されて汽車の停車場となってしまいます。
(書いてて思ったけどめっちゃ暗いお話ですね……)
当主の弟(次男)は亡くなる前に、当主の一人息子と二人で庭をかつてのように立派なものに戻すべく、庭いじりに勤しみます。
しかし…次男は病気が進行し目的を果たせないまま亡くなるんですね。
当主の息子は画家になります。
不断の制作に疲れたとき、彼の心の中にはおじがあらわれて、こう言うのです。
「お前はまだ子供の頃おれの仕事を手伝ってくれた。今度はおれに手伝わせてくれ」
他人の何気ない一言やちょっとした行動に、すごく救われることってありますよね。
相手は恐らく何も意識していないものであったとしても。
その逆もしかり。
目の前の人が辛そうにしてたら、なるべく話をきいてあげよう。
目の前の人が苦しそうにしていたら、なるべく優しい言葉を掛けてあげよう。
ひととして当たり前のことを、当たり前に出来る人間になりたいです。
「庭」を読んだからというわけではないのですが、改めてそんなことを思いました。
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