【極超短編小説】裏:輝きの中へ君は行く。そして僕は夢を見る⑩
アパートの横に車が止まった。その排気音で彼女がやって来たのが分かった。
2階の僕の部屋から下を覗いた。車の横に立った彼女はこちらを見上げて、笑顔で手を振った。今まで見たことがない笑顔だった。
なぜだろうか、僕は彼女のその笑顔が、しっくりとこなかった。彼女の感情が僕の中に染み込んでこない感じがした。知らずに僕自身が拒んだのか?
僕は無意識に俯いて、彼女から顔を背けた。彼女に僕の中を見られたくなかったのだと思う。僕は部屋のドアを抜けて階下へ急いだ。彼女の笑顔を間近で見て、