理性の渦
他者から自分がどう評価されて、どう思われているのかを何よりも気にして生きている。
社会人になってから、自分が評価されることに優越感を覚えたのと同時に、裏で見下げられる人がいることを知った。そのカーストが、自分のモチベーションにつながっていたのは間違いなくて、人を見下げて、自分を上げることが何よりも気持ちが良いことを知ってしまった。
仕事も人間性も、周囲から求められる理想の理性や価値観が一番正しいと思い、それに応えるために時間と労力を使って自分の体裁を保ってきた。
おかげで、私は「何でも仕事を任せられる穏やかな優しい人」という完璧なレッテルをもらった。
けれど、40代を前にして、結婚出産を期に徐々に仕事のキャリアを落としていくにつれて、何も出来なくなっていく自分に愕然とする。
周りから求められる自分になりたいのに、そこに集中させる心と体、思考の余裕が無くなっていく。
家庭や子供を理由にしたくはない。
でも、自分のために時間が使えていたあの頃に比べて、不自由になっているのは事実だった。
あんなに評価されていた私が、今では職場のお荷物なの?
重苦しい日々が続く。疲れている自分を労る前に、評価されない悲しみが大きい。
自分は自分、他人は他人。
自分にとって一番大切なことはなに?
理性の渦から抜けて心を解放することって、こんなに難しいことなんだな。