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【01.渡辺さんの見え方は】

 vol.023渡辺さんの未公開分インタビュー、今回まずは渡辺さんの見え方について、ご本人の言葉で説明していただきました。

 ロービジョンといっても、その見え方は本当にさまざまで、人によって全く違うといっていいでしょう。さらに実際の見え方は本人にしかわからずあくまで主観的なものなので、いくら詳しく聞いたところで、他の人がその通りにイメージすることはできません。それでもご本人の口から説明していただければ、その様子から「あ、多分今はこんな感じで見えているんだな」と想像することはできますし、いろいろな見え方があることを知っておけば、他のロービジョンの方と接点があったときに、想像力を働かせる手助けにはなります。


g:見え方についてですが、見えにくさの状態というのは基本的に変わらないものなんですか?

渡辺:変わっていないと思います。 小さい頃はそんなに自覚がなかったので、本当に変わっていないかと言ったらわからないんですけ。ただ、視力自体は目を使えば使うほど落ちてはしまいます。 でもそれは他の方と同じ感じだと思います。

g:で、見え方としては中心部の視野が欠損している、という理解でいいですか。

渡辺:そうです。モヤモヤモヤっとしているんですけど、それは私の脳内で白い壁を見ていたら白く補正されるし、青空を見てたら青くなるので、 形がはっきりわからないんです。

g:ポンと黒く抜けている訳ではなく、風景に溶け込んでいるような感じですか。

渡辺:そうです。今は大澤さんの顔が見えない状態でそこは背景に馴染んで、首から下だけある状態で見えています。

g:なるほど。で、中心視野は欠損していても、周辺視野はあって見えていると。色の見え方はどうですか?

渡辺:原色は割とはっきりわかります。でも他の人が見える感覚と比べたらどうかわかりませんけど。 あとは例えば洋服屋さんで、グレーとピンクグレーと薄い茶色があった時に区別しづらいです。

g:彩度が低いという感じですかね?

渡辺:そうなんですかね?

g:RETISSA NEOVIEWER(※)を通して見ると、はっきり見える感覚はあるんですよね?

渡辺:コントラストが上がって見えるというか。色が鮮明に見えます。

g:ではやはり彩度があがって、クリアに見えている、という感じのようですね。

渡辺: そうです。すごくクリアになります。色も濃く感じます。


渡辺さんが使用している網膜投影カメラキット『DSC-HX99 RNV kit』。

※カメラキットについての情報はこちらから


g:裸眼時の視力自体はどのくらいですか?

渡辺:視力は矯正視力で0.04くらいです。あと暗順応に弱いので、暗い所では目が慣れづらいですね。あとは乱視もあるんですけど、眼鏡をかけてもちょっとはっきり見えるとか疲れづらくする程度です。皆さんが眼鏡をかけたら見え方に支障なく生活できると思いますけど、私の見え方はそんなに矯正されないから。

g:一応眼鏡は持っているんですね。とはいえ眼鏡がなければ生活できない、というわけではないから、使う場面は限られると。

渡辺:はい。眼鏡があったらQOLがやや上がるぐらいのレベルですね。あってもなくても生活できます。

g:極端には変わらないけど、何か少しでもはっきり見たいな、という時に眼鏡をかけると。

渡辺:そうですね。美術館や博物館でちょっとはっきり見たいとか、そういう時には眼鏡を使います。けど欠損しいてる所は見えないし、完璧に見えるようにはならないので。あとは眼鏡をかけた方が目が疲れづらくはあるので、仕事中にも眼鏡をかけたりはしています。


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今回はここまで。
次回は渡辺さんが楽しんでいる、さまざまなチャレンジについて。

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