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【エッセイ】幼少期と流行の話。

親譲りの真面目さで、子供の時から読書ばかりしている。

かの有名な『坊ちゃん』みたいな書き出しになってしまったが、これがのちのちに影響を及ぼすなんて、当時の私は思ってもいなかった。

読書が好きだ。


小さい頃から絵本の読み聞かせをしてもらっていたおかげで、小学生の頃にはすっかり活字魔に成長していた。

当時よく読んでいたのは、『黒魔女さんが通る!!』とか、『若おかみは小学生!』とか『パスワード』とか。あとは『怪盗レッド』とか『ドリトル先生』とか。もちろん他にもいろいろ読んだけれど、青い鳥文庫と角川つばさ文庫に支えられた小学生時代でした。このあたりのタイトルでピンとくる人は多分同年代じゃないかなと思う。好きだったな〜。いつからか読まなくなっていったけど、思い出したら急に読みたくなってきた。

(『黒魔女さんが通る!!』を例として出したかったんだけど、感嘆符が何個ついてたか覚えてなかったから検索してみたら、チョコちゃんはいつの間にか6年生になってたし、2023年7月には本編が完結したらしく驚いた。時の流れって恐ろしい。)

小学校の図書室だけでは飽き足らず、毎週図書館に行って上限ギリギリまで本を借りて、ひたすら読みあさる日々。

今でもいちばん好きな本、『モモ』に出会ったのも小学生のときだったし、『ハリー・ポッター』シリーズを読破したのもそのころだった。

——話がそれた。

いかにも充実した毎日のようにも見えるけれど、そんな子ども時代を送ったことを、実は少しだけ後悔している。

世代の流行


本ばかり読み漁っていた結果。

「小学生のときにさ、こんなドラマやってたよね」とか。「中学生のとき、こんな歌が流行ってたよね」とか。特に小中学生のころの「世代の流行」が一切わからない大人に育ってしまった。本当に同じ時代を生きていたか不安になるくらい、友人たちと自分たちの世代の流行に関する話ができない。

思い返せば、我が家は流行に鈍感なほうではあった。

忘れもしない、小学1年生の頃の誕生日。
そのころ仲の良かった友達のほとんどが持っていたDSが欲しいとずっと前から伝えていたはずだったのに、当日プレゼントとして渡されたのは、絵本が2冊。
すごく絵がキレイな絵本だったからあれはあれで嬉しかったけど。それはちょっと違うじゃん。私もみんなとDSで遊んでみたかった。「星のカービィ」とか「リズム天国」とかやってみたかったよ。

ちなみに、あんなに欲しかったDS、今ではもう生産終了しているらしい。まじか。

同じ時代を過ごすということ


おかげさまで文章を読んだり書いたりするのはとっても好きで得意になったけれど。

小中学生時代に流行ったものについての話題には全くついていけなくなった。

ところが、高校生になると、ひとつだけ流行についていける話題ができた。それが、音楽。
私が音楽の流行についていけるようになった原因は2つ。

ひとつはスマホを持ち始めたこと。SpotifyとYouTubeには大変お世話になっています。気軽に音楽が聴ける環境が作り出されたことで、音楽への接触頻度があからさまに増えた。

そしてもうひとつは、高校時代、部活の同期たちがカラオケ好きだったこと。彼らに連れ回されたおかげで、実は私は当時流行っていた曲の大体は知っているし、(上手さはおいておいて曲数としては)かなり歌える。

未だに高校時代の同期たちとカラオケにくると、並ぶ曲は『ピースサイン(米津玄師)』に『マリーゴールド(あいみょん)』、『pretender(Official 髭男dism)』。自分が高校時代に流行った曲たちは、今も現役だ。
「あのときこの曲流行ってたよね〜」と思い出話に花を咲かせながら友人たちと過ごす時間は、穏やかで優しくて、ここにいていいと感じられる。

そして、私は今も、読書と音楽だけは流行に取り残されないように必死についていこうとしている。
もしかしたら、優しい思い出に縋りつきたいだけかもしれないけれど。

それでも、私にとっては、同じ時代を生きる人たちと居心地のいい空間を作るために必要なことなんだ。


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