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私の環境研究ことはじめ #1中国史の視点からGENの活動を見つめて(インターン生 小林杏佳)2/2

村松弘一さん(GEN世話人、淑徳大学人文学部教授)

 今回インタビューに答えていただいたのは、淑徳大学の村松教授。大学時代から中国史の研究を続け、2001年のツアー参加を経て現在もGENの活動に携わってくださっています。インタビューでは教授の研究分野である中国史との出会いと、GENの一員として活動に携わるようになった経緯について詳しくお聞きすることができました。

■   GENの世話人として
―GENとの出会いは?
 博士課程の時、立教大学上田信教授の授業の最後に、自分が携わっている活動団体の中にGENの緑化活動の話を耳にしたのがきっかけです。中国史を勉強していると、その地に足を踏み入れて活動する大変さが分かるので、現地に行って植林活動を行っていると聞いたときはかない驚いたのを覚えています。その後、当時盛んだった関東ブランチの月例会に参加するようになり、GENのツアーには2001年に初めて参加しました。

―初めてのツアーはいかがでしたか?
 当時は活動内容が何もわからなかったので、当時事務局長だった高見邦雄さん、技術顧問の遠田宏先生の歴史的背景の説明などを聞きながら、事務局スタッフの東川さん、太田さんと一緒に植林活動を行いました。小学校にも訪問し、子供たちと綱引きなどをして交流を図ったり、農村に行って食事をしたりすることもありました。

―数かずの活動団体の中でGENの魅力は何ですか?
 植林は一つの目的ですが、活動団体として大切なのは日本と中国という異なる文化圏の中で人とネットワークをつなげていくことです。それをGENは重要視できているといます。さらに、日本人が主体なのではなく、あくまで中国人が主体となって活動を行っていることも特徴です。内モンゴルで行っているツアーなどでは、常駐している日本人がどんどん人を受け入れ、毎週ツアーを開催することで資金を回しています。中国側が持続的に活動を行えているという意味で、緑化活動を引き渡せたことには非常に大きな意味があると思います。あとはやはり、GENの事務局の方がたが魅力的な方だからですかね。関東ブランチなどでいろんな方とつながれるのはうれしいですし、そこで聞いたお話は私の今の研究にも大いに役立っています。

―中国で緑化活動をしていく上で大変なことはありますか?
 日本と中国は隣り合わせの国ですが、日中戦争に起因する深いわだかまりがあります。特に、1990年代は環境活動団体も少なく、交流も今ほど盛んではなかった為、中国と日本の国交を樹立するという面で、非常に緑化活動を行うのが難しい状況にあったと思います。現在は1990年代ほどの緊張はなくなったものの、政治の問題など国内の情勢も含めて継続的な交流が難しいことに変わりはありません。それでも、人と人のつながりは国どうしの拒絶を超えられると思います。

―現在のGENの取り組みの課題は何ですか?
 代表をはじめ、皆さんが力を入れている部分だと思いますが、若い世代へどうやって継承していくかが難しいです。今度、淑徳大学の学生2名が訪中団に参加しますが、大同にも寄ると聞きました。私はその学生たちに前もってGENの活動内容について話すつもりです。こういった小さなところから、徐々にGENの活動を若い世代に知ってもらい参加してもらえれば嬉しいです。また、他の国での緑化活動に励んでいる人々とも交流する機会が増えて、さらに団体の認知が広まれば良いなと思います。今の学生に、人生経験の中でボランティア活動はとても意味のあるものだということを知ってほしいです。

―GENの活動の今後の展望を教えてください。
 あくまで理想の話ですが、植林活動の先に中国の貧困問題解決の糸口がみえるといいなと思います。黄土高原が砂漠化し、深刻な環境問題を引き起こしていることは事実ですが、その影響は貧困問題にも及んでいます。人びとの生活の安全と豊かさが保証されて良い未来がおとずれるように、植林活動をはじめとした中国との交流に引き続き尽力していければと思います。

■ 今回のインタビューを通して
 まず、初回のインタビューを引き受けてくださった村松教授、ありがとうございました。インターン生としてまだまだGENの活動を知っていく段階のわたしにとって、村松教授からお聞きしたお話はどれも新鮮な内容ばかりでした。私が生まれる前、GENが中国でどのように植林活動を広めていったのかという直接的な出来事から、教授が巡った中国の様子や現在の歴史研究などの興味深い話題まで、様ざまなことを知ることができた貴重な機会でした。具体的に行動を起こすことの難しさを感じつつも、教授の考える将来のGENの活動のように、植林活動やそれを広める動きが黄土高原のさらに大きな環境問題、社会問題の解決に繋がっていくといいなと感じました。

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私の環境研究ことはじめ #1中国史の視点からGENの活動を見つめて(インターン生 小林杏佳)1/2|緑の地球ネットワーク (note.com)


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