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経営に生かしたい先人の知恵

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2024年9月の記事一覧

経営に活かしたい先人の知恵…その44

経営に活かしたい先人の知恵…その44

◆組織を危うくする腐ったリンゴ◆
 経営学者・ドラッカーは、リーダーにとって最良のテキストは、クセノポン(古代ギリシア・アテナイの軍人、著述家)の著書「アナバシス―敵中横断6000キロ」と「キュロスの教育」だと指摘している。私は2冊とも目を通したが、確かに経営に活かせる記述が多くあった。本稿では、チームプレーについてのキュロス(アケメネス朝ペルシアの建国者、紀元前600年頃~紀元前530年)の教え

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経営に活かしたい先人の知恵…その43

経営に活かしたい先人の知恵…その43

◆コミュニケーションを考える◆
 お釈迦様は、相手が理解できる言葉を使って法を説かれた。農業に従事している人には、農業を話題にするなど、相手の認知能力に合わせて説法されたが、これは「対機説法」と呼ばれている。

 この「対機説法」にコミュニケーションの真髄があると私は考えているが、同様の考えを持っていたのが、経営学者のドラッカー氏だ。次のような言葉を残している。「プラトンの『パイドン』によれば、ソ

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経営に活かしたい先人の知恵…その42

経営に活かしたい先人の知恵…その42

◆ものごとに必ず見られる利害両面◆
『孫子』に「知恵の働く者は、必ず利害の両面を合わせ考える。利益になることを考える時には、害の面も合わせ考えるから、その仕事は順調に進む。害になることを考える場合にも、利益の面を合わせ考えるから、その心配ごとも解消するのである」とある。

 ものごとには、メリットがあれば必ずデメリットもある。決断する際に、利益の面ばかりに目を奪われていると、落とし穴に嵌りかねない

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経営に活かしたい先人の知恵…その41

経営に活かしたい先人の知恵…その41

◆なぜ子孫の代で衰退するのか◆
 経営の世界をフィールドワークにして40年超になるが、改めて痛感しているのが、組織を持続することの難しさだ。一代で企業を立ち上げ、名を成した経営者は数多くいるが、終わりを全うできなかった経営者もまた多い。首尾よく事業承継できたとしても、その後衰退する企業も目立つ。

 持続的に成長できず、終わりを全うできない組織が多いのは、昨今の日本に限った話ではない。二代目、三代

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経営に活かしたい先人の知恵…その40

経営に活かしたい先人の知恵…その40

◆過去の業績を現在の地位で報いてはならない◆

 後継社長を対象にした勉強会『元気塾』を20年近く主宰しているが、メンバー共通の悩みの一つに、先代社長時代に幹部として会社を支えてくれた人材の処遇がある。過去の功労者にどう対処すればいいのか。私はその答えを『貞観政要』の中に見出し、アドバイスしている。

 中国・唐の二代目皇帝太宗は、名君として知られているが、統治後10年余り経つと、幹部クラスの規律

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