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産業医を探して・・・2年間

業種に関係なく、従業員が50人以上の企業では、産業医を専任しなければならない、という法律があります。(労働安全衛生法)
社員数が増えると更に産業医の数は増えていきます。

産業医の役割は、企業で働く人の健康管理、職場の環境が働く人にとって健康的で、衛生的で、ケガや事故が起こらないようになっているかをチェックして、改善点があれば、企業に改善を指示することです。

今はストレスチェックも義務化されているので、社員のストレスチェックの結果により、医師の面談が必要な人は産業医との面談で、心身の健康状態を改善に向かう助言をしてもらうことができるとても大事な制度です。

昔は 従業員の健康診断の契約をしている病院の院長を自動的に産業医として登録することが慣例でした。
はっきり言って、法令順守のためだけの「書面」だけの契約に年間〇十万円。昔といっても たった20年ちょっと前の話です。

その頃ちょうど私は、うつ病で退職する社員が続出する状況を改善させるために、メンタルヘルスケアを独自で開始していました。当然なんの知識もない私ですから、まずは産業医の先生に相談して、社員面談をお願いしようと病院に電話。
すると、先生は全く電話に出てくれることもなく、訪問費用は別途かかる、と法外な金額を要求してきたのです。

びっくりして言葉もありませんでしたが、そういう書面だけの産業医契約も当時は現実にあったのでした。

そこで、社内の改善活動は自分で様々な研修に参加したり、勉強して実施していきましたが、同時に産業医を探す旅も 始まったのです。

まずは どんな産業医の先生を探したいのか、しっかり事前に要望をまとめました。繰り返し、繰り返し更新しながら。

産業医の役割は 本当に大きいです。仕事内容の変更や休職など大きな決断を鶴の一声で変えさせることができるのです。
企業にも社員にも 尽力していただける先生にサポートしてもらえるとかなりスムーズに社員のケアや組織を変革させることができます。
だからこそ、本気で探す必要がある、と実感したのです。

もし、これから産業医を探そうとしている企業の方がいらっしゃったら、参考にしてもらえたらうれしいです。

①なに科の先生が必要なのか、決めておく
そのころの産業医は 主に内科の先生がほとんどでした。勿論内科の先生でもメンタルヘルスを診る方もいらっしゃいますが、その頃はまだ「僕は内科だから、メンタルヘルスはね~・・・」という先生が多かったのです。
でも これからうちの企業ではメンタルヘルスの問題が 更に増えていくと思ったため、精神科の先生に絞ることにしたのです。
逆に精神科の先生で 体の健康面はみられるの?と心配される方もいるかもしれません。それについては全然問題ありません。
産業医の登録をした医師は労働者の健康管理の知識を厚生労働省で定める要件を備えているので、基本的にどの科の先生でも大丈夫ですよ。

②どんなタイプの先生がいいのか、ある程度決めておく
知識や経験が豊富な先生は山ほどいます。でも私は、何でも相談できて、わからないことを一緒に考えてくれて、働きやすい会社を作る目的を一緒に伴走してくれる先生に来てほしかった。ですから、経験豊富なベテランの先生より、まだ若手でも熱心で 私の話を聴いてくれる先生に来ていただくことにしました。
紹介者の営業担当と一緒に面談を1回実施し、そこで気に入らなかったら「チェンジOK」というルールもありました!(笑)
幸いチェンジをする必要もなく、1回の面談で決定となりましたけれど。

自分の会社の課題、未来に向けて組織をよりよくしていくために必要な力を貸してくれる先生のタイプを想像しておく必要があります。
その前には、会社の課題を分析していなければならないですね。

③いよいよ先生を探す旅にでる
私の場合は結果的に2年かかりました。。。本当に長い道のりで・・・まるで営業活動のように 当時は探す方法もわからなかったので、まずは近隣の病院周り。足で探していました。挫折しそうになったことも何度も・・
でもその時 私には「社員を守りたい」という強い思いがあったから、乗り越えられたのでした。

収穫ゼロ!
そもそも精神科の個人クリニックで産業医の資格を持った先生がほとんどいなかったのです。
その後、様々な職場のメンタルヘルスのセミナーに参加する度に、産業医の先生を紹介してもらえないか、とあちこちで質問。それでもやはり精神科の先生は見つからず。。。 
とうとう最後 産業医を派遣してくれる企業を紹介していただいたのです。
ここまで2年間。。長い道のりでした。

結果的に 紹介会社にしてよかったこと
・複数の先生が登録されているので希望のタイプを選べる
・事前に要望を紹介会社から産業医にも伝えてもらえる

どうしてもお医者さんはかなりの目上の人になります。会社の一事務担当が あれこれ要望を伝えにくいところがありますから、それを事前に紹介会社の営業の方にしっかり伝えて、その要望に見合った先生を選任してくれることは、会社の健康管理、メンタルヘルスケアには、協力な推進力を発揮するのです。なぜなら、同じことを言うとしても「医師の指示」は絶対。最強のカードなのですね。

だから、会社が抱えている問題に一緒に取り組んでくれる先生を 自動的ではなく、しっかり先生を選んでいきましょう。
そして 一緒に働く社員と組織、両者の「真の健康」と組織力向上、企業の成長に躍進できる企業風土を作っていきたいですね。
 


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