昔話から学ぶ=人を動かすとは
イソップ物語の「北風と太陽」のお話をご存じですか?
この物語にはいろんな教訓があると私は思います。
まずは「人を自分の思い通りに動かすことは そう簡単ではないこと」
そして「強さと弱さって 一体どんな基準があるのだろう」 大きくはこの2つ。
物語を原文に近い形で引用させていただき、解説をしたいと思います。
北風と太陽が、どちらが強いかで言い争っていました。
議論ばかりしていても決まらないので、それでは力試しをして旅人の着物を脱がせた方が勝ちと決めようという事になりました。
北風が、始めにやりました。
北風は思いきり強く、
「ビューッ!」
と、吹きつけました。
旅人は震えあがって、着物をしっかり押さえました。
そこで北風は、一段と力を入れて、
「ビュビューッ!」
と、吹きつけました。
すると旅人は、
「うーっ、寒い。これはたまらん。もう1枚着よう」
と、今まで着ていた着物の上に、もう1枚重ねて着てしまいました。
北風は、がっかりして、
「きみにまかせるよ」
と、太陽に言いました。
太陽はまず始めに、ポカポカと暖かく照らしました。
そして、旅人がさっき1枚よけいに着た上着を脱ぐのを見ると、今度はもっと暑い強い日差しを送りました。
ジリジリと照りつける暑さに、旅人はたまらなくなって着物を全部脱ぎ捨てると、近くの川へ水浴びに行きました。
力で着物をはぎ取ろうとした北風と 旅人自らの意思で脱ぎたくなるようにしむけた太陽 の戦いで
太陽 が勝利を得るストーリーです。
まさに企業マネジメント・人材育成にぴったりなストーリーだと思います。
トップダウンで上司の指示に従って、手足のように働くことが「会社員」。
そんな風に思う人は まだまだいるでしょうね。
今の企業経営を成功させるには、トップダウンとボトムアップをバランスよくすることが望まれています。特にサーヴァントリーダーシップは 部下やチームの成長に最も有効なマネジメントだと私も感じています。
とはいえ、ある程度はトップダウンは必要です。企業の方向性、業務の目的などを明確に伝えなければ 社員はどこに向かえばいいのかわからなくなります。
でも そこから先、どうやって目的を達成するのか、どうなれば一番良い結果を出すのか、それぞれの担当部分で「自ら考える」と 人は成長し、モチベーションや自信につながるのです。
上司に言われたことを言われたとおりに実行して成功しても、実はちっともうれしくない。自分でやった感が全然ないからです。
また上司に指示されたとおりに実行して 失敗すると 「上司のせい」と感じます。
これでは自分の行動に責任を持たない、やり遂げようという意思がなければ 失敗する方向に進みやすくなります。
人は自分で決めたことは 文句を言わないものです。そして何とかしようと努力することを惜しみません。
同じ働く行為をするのであれば、求められている結果に向かう道筋を自分で考えて、達成感と充実感を感じつつ、上司やチームとの信頼関係を保つ方法で 働き続けたいものです。
「力」でねじ伏せるのではなく、「本人の意思に働きかける」ことのほうが ずっと企業の成長、社員の成長、満足度に直結することを この物語では教えてくれているように感じます。
「北風と太陽」 というストーリーは 「強さ」と「弱さ」 について考えさせられます。
よく「あの人は強い(弱い)から・・・」と聞きますね。
私は、この手の問いかけには、可能な限り聞くようにしています。「強い(弱い)って どんな基準で?」 と。
たいていの人は 答えられません。
意味を説明できないのに 私見で判断をして 他者を決めつけるのは いかがなものだろう・・と思うのです。
他者の人格を判断したいのであれば、理由くらいはきちんと説明してもらいたいものです。
物語の中では「北風」は「力」でねじ伏せようとしています。 攻撃性をもって強さを印象づけようとしている、とも言えますが、「太陽」は違いました。無理やりではなく、結果=効果を相手主導に意識させた、という行動でしたね。
主語がない「強い」「弱い」の結論をここで決めることはできませんが、人を判断しきる行為をする人には 言葉にも責任が生じていますから、説明できる理由、主語を持っておくべきだと思います。
企業では、メンタル不調になって出社できなくなる人が出ると 上司の方がよくいいますね。「あいつは弱いから・・・」と。
最初から話も聞かず、相手を「弱い」と判断してしまう愚かさより、不調になる原因が自分の部署、チーム、働き方の中にないのか、を見つめてほしいと切に願うばかりです。
人を動かすには 相手の心を読んだ「太陽」のような行動をすることが効果がありそうですね。
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