人生経験が豊富でないと良いストーリーは書けないのか？

A.ジャンルによっては経験がなくてもどうにかなりますが、ある程度の人生経験は必要です。

理由は、それなりに世の中を知ってないと、ストーリーにおかしな部分ができてしまいます。

昔、学生時代に描いた漫画とか、小説とか読み返すと
「いや、この部分おかしいだろ！」
とツッコミたくなるようなものがどんどん出てきます。
それは自分が若すぎて世の中を何も知らないがゆえにそういう事が起きてしまうからです。
…それはそれで別の意味で面白いこともあるのですが。

中学の同級生が先生に恋をしていて、その恋は残念ながら実らなかったので明らかにその子と先生をモデルにした小説を書いている人がいました。
ちなみに読んでみたら、内容は…
先生と生徒が恋をして、妊娠までして親が全く反対せずに「いい人で良かったね」って歓迎して、結婚してハッピーエンドという話で完全に妄想自己満足小説でした。
当時の私も経験が浅すぎて、「わー！よかったねー！」とか言ってました。なのでこれを読んでもどうとも思いませんでしたが、今思えばこの話は親が全く反対しないのはおかしすぎます…犯罪だろコレ！！
…経験が浅いとこういうおかしな現象が起きてしまいます。
でもこの子は小説家志願というわけじゃなかったので、失恋を創作に変えたということで、まだ大目に見てもいいと思いますが、この小説はあまりにも世の中を知らなさ過ぎてさすがに世間には出せないですね。
もう捨てたかもしれませんが、今この子がこの小説読み返したら恥ずかしがる事この上ないでしょう。
大半の人は成人してからようやくまともな話を書けるようになります。
ですが、むしろ学生時代に黒歴史を量産した方が有利だったりします。やはり継続するのは力になるので必要です。

恋愛系の作品は大体想像で書いているので、経験は正直言うと片想いだけで十分です。好きという感情さえ分かればいいです。いない歴＝年齢でも全然書けます。実際、プロでもそういう人はいます。
ただ、あまり恋愛が興味ない人だと、まずそういうのを好き好んで書かないか、もしくはあっさりとした描写になる傾向があります。
大事なのはそのジャンルに興味があるかですね。

例えばファンタジー作品なんかはほとんど想像で書いているので、逆に人生経験が邪魔して書けないということもあります。
異世界転生する作品を書くために異世界に行くことはできないし、わざわざ転生するために死にに行くのも無謀だし、モンスターと戦うシーンを描きたいために架空のモンスターと戦う事は出来ません。
しかし、ファンタジーなのに中にはまるで本当に実際に体験でもしたのかのようにリアルに描いている人もいます。
そこで大事なのは創造性を高める事。ファンタジーの場合は特に世界観が大事です。読者が思わず「ここに行ってみたい！」と思わせる世界を作ります。どんな世界にいるのか？どんな文化なのか？もしも自分が主人公だったらどうするか？とにかく細かいところまで設定を加えて、分析する必要があります。
架空のモンスターは大半は実在の生物をモデルにしているので、動物と触れ合ってヒントを得るということもできます。だからといって猛獣と戦う必要はありません。

だけど人生経験が豊富な人は、より深みがあり、味のある作品を書いている傾向はあると思います。
実際の所は分かりませんが、良いストーリーの作品を見ると、
「作者はきっとつらい経験をたくさんしてきたのだろう」
などという想像を思わずしてしまうことがありますし、そういう風に思う人も結構います。
事実は小説よりも奇なりというように、この辺においては実際に経験している人には敵わないと思います。
じゃあ、経験値が浅い人は安っぽい作品しか書けないのか？というとそうではないです。
そういう人でも他人の経験談を参考にすればあとは創造性を駆使して良い作品を作ること出来ます。なので、ネットでもいいから他人の経験談をどんどん調べたりするといいと思います。
自分が好きなものだけじゃなく、他のジャンルなどにもどんどん触れるのが大事です。
個人的におすすめなのは悩み相談をしている書き込みやその解決策のコラムなどを見たりするといいです。まるで自分がそれに悩んでいるかのように見てみるといいでしょう。

どんなに人生経験が豊富であっても、すべてを経験するには無理があります。
分からないことはやはり調べてみるしかないです。

しかし、本当に人生経験が豊富だからといって自分で人生経験が豊富というアピールをするのは良くないです。やっている人はすぐやめましょう。
自らそれを言う人は、経験自慢したいだけなので迂闊に近づくのはやめたほうがいいです。上から目線でものを言ったり、まともじゃない人が多いので警戒した方がいいです。正直、内容も大したことがない場合が多いです。
まともじゃない事ばかりするからある意味普通の人が経験したことない事をしているって事なんです。
それは自慢するためじゃなく、人を助けるために使うべきです。
本当に人生経験が豊富な人は自分でそんなうざいアピールなんかしません。
むしろまだ経験は足りないと思っているくらいです。

ただ、同級生のように自己満足だけで書いてしまうと
「で、結局この作品は何を伝えたいの？何がしたいの？」
と思ってしまう部分もあります。
特に同人誌や二次創作はほぼこれに当てはまる傾向があります。
勿論面白い作品はあるのですが…
描きたい時に描く。これも大事なのですが、良い作品を作るのであれば、世界観やメッセージ性をきちんと考えておく必要があります。
人気を出したいなら、この作品を誰にどのように役立てたいか、誰に何を与えたいのか、何を伝えたいのか。
この辺をしっかりしておくと良いと思います。