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お花畑に閉じ込められたロボット
夜型人間であることは明らかなのに
夜は寝るものだと信じて疑わないから
自分に対して疑心暗鬼して結局嫌いになってしまう
良い子が寝てる時間はわたしが元気な時間
真夜中が活動時間のわたしは
大した大人じゃない
思い通りにいかなかったらすぐキレるし
未だに王子様はいると思っている
初めてもらった指輪は氷でできていた
初めてもらった誕生日プレゼントだった
初めてもらった愛はカイロだった
もらえるものは
愛に飢えていたわたしが夢で出会った人のことを好きになる話
スーパーで野菜を一緒に買うって
そこそこ深い関係じゃないと出来ないと思うんだ
だからわたしは1人で買っている
後ろを誰かが通りかかる
「チャーハンに玉ねぎは絶対入れなきゃだめだよ」
知らない声が聞こえてきて
なんの抵抗もなくカゴにひとつ玉ねぎを入れる
季節なんて関係なくスーパーの中は寒くて
とても冷凍食品のコーナーには近づけなかった
その日の夜はやけに暑かったのに
ちゃんとパジャマを着るわた
ちょ、あばら折れるって!
わたしはいつの間にか、あなたの隣にいた
察するにわたしとあなたは大人だ
誰とも付き合わないと決めたのに
あなたとは付き合えるらしい
新型が出てもボロが目立ってもまだ可愛がるんだ
中古に出してもクリーニング代取られるだろうし
そう言ってあなたは運転席で苦笑する
その隣でわたしもまた愛想笑いをする
できれば、ずっとその時間が続いて欲しいと
小さく痛む胸にそっと祈る
ふざけた声で出発だとあなたが笑っ
アリアドネは糸を切った
花屋、先生、指揮者
プリキュアにカメラマン
僕にはたくさん夢があった
本当にたくさんあった
ただでさえ小さい手で
ありったけの夢を大切に
そっと包み込んで笑っていた
僕の血が冷たくなったのはいつからだろう
いつの間にか夢なんてものなくなって
心はいつでもスッと冷えている
自分は特別な人間だ
その思い込みが解けたかのように
ただの使い捨てのおもちゃが
総武線の線路沿いで笑っていた
ゲンガーになりたい女の子の話
六畳半の蒸し暑い部屋で
わたしは自分の価値を決める文章を打つ
ただ無心に、思い浮かんだことをひたすらと
わたしはタイピングマシーン
機械にできない仕事をしなさいと言われても
いまこの瞬間が機械みたいなもんだからさ
今更ニンゲン様になんてなれないよ
特技も学も美貌もない、ただ生きているだけ
描いていた夢ってなんだっけ
それに気づいてしまった頃から
夢にまで愛想尽かされたようだ
わたしはもぬけの殻
青い陽炎は白昼夢を見るか
また、会った 夢の中で
土砂降りの雨 ずぶ濡れの私
静かに車が目の前に止まる
運転席には知らない大人がいる
どこか懐かしいのはなぜだろう
何も言わずにタオルを差し出される
テールライトに照らされる君の横顔
切れ長の目 白い肌 大きな口
真っ黒な長髪にはゆるいパーマ
ダボダボした灰色のパーカー
キュン、て音がどこからか聞こえる
思い出せない 霧の向こうの君
確かにその手を握ったことがあるのに
髪を