まさきかつのりMD.PhD.@総合アレルギー診療

優れた科学的学術論文であっても単体のままでは社会的インパクトを持ち難い。 エビデンス…

まさきかつのりMD.PhD.@総合アレルギー診療

優れた科学的学術論文であっても単体のままでは社会的インパクトを持ち難い。 エビデンスは"魅力的なストーリー"の中で引用され、展開され、語られることで初めて人の行動を変える。 ストーリーを伴ったエビデンス、そしてエビデンスを伴ったストーリーを創出したい。 都内大学病院勤務医。

最近の記事

聴診器

医学生や研修医に聴診所見を伝えることはなかなか難しい。 「所見を共有できる聴診器があったらなぁ」と思い、調べるとそのような聴診器があるではないか! 早速、Littmann Classic Ⅱ S.E. Teaching Stethoscopeを購入した。 1つのチェストピースからのびたチューブが黒・赤2本のチューブに分かれてそれぞれ1組のイヤーピースがついており、聴診所見を他者と直接共有できる。 副雑音や正常肺胞呼吸音の減弱・左右差のみならず、聴取可能な部位が限局される胸

    • アレルギージャーナルレビュー Feb 2022

      最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。 <一般誌(NEJM、Lancet、JAMA、BMJ)とその関連誌> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35213105/ 中等症・重症喘息を有する黒人およびラテン系成人において,通常のケアに加え,吸入ステロイドとその使用に関する1回限りの指導を行うことで重度の喘息増悪が減少した。 N Engl J Med. 2022 Feb 26 https://pubmed.ncbi

      • アレルギージャーナルレビュー Jan 2022

        最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。 コロナが猛威をふるっていますが、くれぐれも皆様ご自愛ください。 <一般誌(NEJM、Lancet、JAMA、BMJ)とその関連誌> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35020986/ 重症喘息へのバイオ製剤解説。glucocorticoid-sparingが目的の1つ。経口ステロイドをできるだけ温存してバイオを。 N Engl J Med. 2022 Jan 13 h

        • 年内最後のジャーナルレビュー

          最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。 年の暮れは何かと御多用とは存じますが、何卒お気をつけて年末をお過ごしください。 <Major一般誌(NEJM、Lancet、JAMA、BMJ)とその関連誌> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34879449/ 小児のコントロール不良中等症・重症喘息患児を対象にデュピルマブの有効性をみた研究:デュピルマブ群はプラセボ群に比べて喘息増悪が少なく(リスク59.3%減,95%CI,

          ジャーナル別に分けてみました

          分野が被っていて1つに絞りきれない論文が多いので(そのような論文を選んでいるのですが)、分野別ではなくジャーナル別に仕分けました。 <JACI, JACI in Practice from AAAAI(米国アレルギー学会)> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33819508/ 舌下免疫療法(SLIT)と皮下免疫療法(SCIT)の作用機序の研究:SCITとSLITの2年間の治療期間中と治療中止後1年間のチモシー花粉特異的抗体反応を比較したと

          NEJMやJACIに掲載されている研究はさすがに質が高いですね。

          <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34706171/ 中等症・重症喘息に対するイテペキマブ(抗IL-33抗体)and/or デュピルマブのプラセボ対照試験:イテペキマブ、デュピルマブの単剤療法では1秒量は増加したが併用療法では増加せず。イテペキマブは喘息コントロールとQOLを改善し好酸球数を減らした N Engl J Med. 2021 Oct 28 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34706

          NEJMやJACIに掲載されている研究はさすがに質が高いですね。

          アレルギーの治療もリウマチ・膠原病のようになっていくのでしょうか。

          新たな抗体医薬が出ると、その効果の有無から逆に病態の推察が深まりますね。 <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34625142/ JAK阻害薬は関節リウマチやアトピー性皮膚炎などの疾患で臨床効果が確認された。喘息では前臨床試験で気道炎症や過敏症が改善されるというデータがあり、JAK阻害薬が喘息の抗炎症治療の新たな時代を切り開く可能性がある J Allergy Clin Immunol. 2021 Oct https://pu

          アレルギーの治療もリウマチ・膠原病のようになっていくのでしょうか。

          久々のリアル学会

          思ったより現地参加者も多く、楽しいです。 ハイブリッド開催ですので、足を運べない日にはウェブで聴きながら 公式Twitter:https://twitter.com/jsa70tweet やハッシュタグ #jsa70 を追いかけたり、発信したりしてもいいですね。 今回は抗体医薬4報、アレルゲン免疫療法1報、食物アレルギー1報、薬物アレルギー・過敏症1報、気管支喘息3報、その他1報です。 <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3460

          アスピリン減感作(脱感作)療法など。

          最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。 今回は抗体医薬3報、アレルゲン免疫療法4報、食物アレルギー3報、薬物アレルギー・過敏症4報、気管支喘息7報、アレルギー性鼻炎3報、アトピー性皮膚炎3報、その他・基礎研究4報です。 <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34530020/ 鼻ポリープ合併慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)に対するオマリズマブの第3相無作為化プラセボ対照比較試験(POLYP 1、POLYP

          アスピリン減感作(脱感作)療法など。

          臨床の疑問に答える研究がしたいですね、、

          今回は抗体医薬1報、アレルゲン免疫療法2報、食物アレルギー1報、薬物アレルギー・過敏症1報、気管支喘息7報、副鼻腔炎1報、蕁麻疹1報、その他・基礎研究9報です。 <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34038773/ メポリズマブの重症喘息に対するリアルワールドでの有効性検証:639名の患者を7つの併存疾患のサブグループごとに解析し、全グループで入院を要する増悪が6-8割減少。半数近くの患者が50%以上の経口ステロイド投与量減量を

          臨床の疑問に答える研究がしたいですね、、

          アレルギーとコロナ関連の報告も増えていますね

          今回は抗体医薬3報、アレルゲン免疫療法4報、食物アレルギー2報、薬物アレルギー・過敏症1報、気管支喘息9報、アトピー性皮膚炎2報、その他・基礎研究4報です。コロナ関連の報告はたくさん出ていますね。 <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33589471/ 重症小児喘息患児への抗体医薬在宅投与と在宅スパイロメトリー:23人のうち16名が在宅投与に同意。14人は両親・患児が、2人は地域看護チームが投与。75回中2回で不正確な投薬が行わ

          アレルギーとコロナ関連の報告も増えていますね

          喘息、アレルゲン免疫療法、抗体医薬など

          今回は抗体医薬2報、アレルゲン免疫療法3報、気管支喘息5報、薬物アレルギー・過敏症1報、アトピー性皮膚炎2報、その他3報です。 <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34447843/ 54歳女性。デュピルマブの投与により全身性ステロイド依存から離脱できたアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の症例(三重中央医療センター) World J Clin Cases. 2021 Aug 16 https://pubmed.ncbi.nlm

          喘息、アレルゲン免疫療法、抗体医薬など

          抗体医薬、喘息、基礎研究など

          今回は抗体医薬9報、アレルゲン免疫療法1報、アナフィラキシー1報、気管支喘息10報、食物アレルギー2報、薬物アレルギー・過敏症2報、アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎2報、EGPA 1報、その他・基礎研究7報です。 初めの2報は症例報告ですが私たちからのものです。 <抗体医薬> pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34386404/ 56歳の女性。口唇と顔面の腫脹を繰り返し、ステロイドを減らすと再燃。喘息と副鼻腔炎あり。好酸球数632、ANCA陰性。好酸球性環状紅斑

          抗体医薬、喘息、基礎研究など

          気管支喘息患者さんへの吸入支援

          今回は吸入支援のエビデンスをまとめました。 個人的には軽症・中等症の喘息患者の管理の8割は吸入支援にかかっていると考えています。 外用薬、点眼薬、鼻噴霧薬などの局所への薬剤もキードラッグですが、内服薬と比較するとアドヒアランスが低いかと思われます。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27060726/ 吸入手技の誤操作は許容しがたいほど頻繁に起こるにもかかわらず,過去40年間ほとんど改善されていない. Chest. 2016 Aug;150(2

          気管支喘息患者さんへの吸入支援

          コロナワクチンへのアレルギー、気管支喘息、食物アレルギーなど

          最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。 今回は気管支喘息9本、食物アレルギー3本、薬物アレルギー9本(うちコロナワクチン関連4本)、EGPA・好酸球増多症5本です。 <気管支喘息> KACJ-60a:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32442646/ IL33のSNPと喘息表現型、ヒト気管支上皮細胞(HBEC):IL33領域の161のSNPが関連し、rs992969、rs4008366は好酸球性喘息と関連。両シグ

          コロナワクチンへのアレルギー、気管支喘息、食物アレルギーなど

          抗体医薬、アレルゲン免疫療法、アレルギー性鼻結膜炎など

          分野・疾患を問わずに最近の報告などを羅列しています ^^; <抗体医薬> https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34256031/ TSLP阻害薬であるTezepelumabの成人・中等症・重症喘息への作用機序の検討:tezepelumab群がプラセボ群に比べて気道粘膜下好酸球のベースラインから治療終了までの減少量やマンニトールへの気道過敏性の低下幅はテゼペルマブの方が大きかった Lancet Respir Med 2021 July 10 h

          抗体医薬、アレルゲン免疫療法、アレルギー性鼻結膜炎など