気管支喘息患者さんへの吸入支援

今回は吸入支援のエビデンスをまとめました。
個人的には軽症・中等症の喘息患者の管理の8割は吸入支援にかかっていると考えています。
外用薬、点眼薬、鼻噴霧薬などの局所への薬剤もキードラッグですが、内服薬と比較するとアドヒアランスが低いかと思われます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27060726/
吸入手技の誤操作は許容しがたいほど頻繁に起こるにもかかわらず,過去40年間ほとんど改善されていない.
Chest. 2016 Aug;150(2):394-406

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26810934/
喘息コンロトール不良の患者においては,たとえ誤操作を起こしにくいと言われるデバイスを使用していても,吸入手技を見直すべき.
J Asthma 53(3):321. 2016

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28137486/
吸入指導は少なくとも3回繰り返す必要がある.
Respir Med 123:110. 2017

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28286157/
吸入手技の致命的なエラーと喘息コントロールとが関連する.
J Allergy Clin Immunol Pract. Jul-Aug 2017

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27587321/
適切な薬剤選択と吸入指導を行なってもコントロールがつかない本当の重症喘息患者は成人喘息患者の3.6%しかいない。定期的に正しい時間に吸入している患者さんは20%しかいない。
J Allergy Clin Immunol Pract. Sep-Oct 2016;4(5):900-909.e2.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28053517/
複数の吸入器を使用しているときはデバイスの種類をpMDI (SMI含む),DPI同士で統一することでCOPDの治療アウトカムが改善する.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016 Dec 21;12:59-71

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32411584/
地域中核病院で周辺院外調剤薬局と吸入指導連携システムを確立。手技が改善したものものも多かったが、4割の方では指導をしても手技が改善しなかった。吸入手技の改善・維持には指導間隔を空けすぎないことが重要であることが示唆された(済生会宇都宮病院)
Asia Pac Allergy. 2020 Apr 27

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32563226/
喘息患者の吸入薬アドヒアランスとその障害をASK-20を用いて調査。アドヒアランス不良な集団の特徴として「小児発症」という因子が炙り出された。他疾患と同様、喘息でも思春期における治療主体変化(親・医療者→本人)によるアドヒアランス低下がある?(慶応大学呼吸器内科)
Asian Pac J Allergy Immunol. 2020 Jun 21

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34362761/
薬局での閉塞性肺疾患患者を対象とした吸入アドヒアランスと手技の評価:半数の患者が少なくとも1つの吸入器の使用において重大な誤りがあった。複数のデバイスの使用(OR 11.68)、喘息とCOPDの合併(OR 7.06)が吸入エラーと関連。アドヒアランス不良は3分の1以上の患者で発生し、使いすぎも考慮すると最大で2分の1の患者で発生していた。現喫煙が服薬アドヒアランスの低下と関連し(OR 0.15)、現喫煙者と高学歴の患者は、吸入器の過剰使用のリスクが高かった(ベルギー)
BMJ Open Respir Res. 2021 Aug

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34111571/

喘息等の患者の服薬アドヒアランス不良への介入には、リマインダー、教育的介入、動機付け戦略、服薬に関するフィードバック、意思決定の共有、服薬方法の簡略化、複数要素の介入という 7つの効果的なカテゴリがある(オランダ)

J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jun 7

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