アレルギーの治療もリウマチ・膠原病のようになっていくのでしょうか。
新たな抗体医薬が出ると、その効果の有無から逆に病態の推察が深まりますね。
<抗体医薬>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34625142/
JAK阻害薬は関節リウマチやアトピー性皮膚炎などの疾患で臨床効果が確認された。喘息では前臨床試験で気道炎症や過敏症が改善されるというデータがあり、JAK阻害薬が喘息の抗炎症治療の新たな時代を切り開く可能性がある
J Allergy Clin Immunol. 2021 Oct
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34667050/
53歳女性。非喫煙者。気管支壁にIgG4陽性の形質細胞と好酸球の著しい浸潤をがあり好酸球性気管支炎と診断。ベンラリズマブが劇的に著効(坪井病院)
BMJ Case Rep. 2021 Oct 19
<食物アレルギー>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34655480/
魚介類アレルギーは米国で成人の食物アレルギーの25%、小児の食物アレルギーの20%を占め、中でもエビが多い。小児での魚介類アレルギーの有病率は1.3%であり高く、自然治癒率が低いため、成人における有病率は3%程度と推計される
Pediatr Allergy Immunol. 2021 Oct 16
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33675817/
ピーナッツ感作があるが耐性のある人(PS)とピーナッツアレルギーのある人(PA)のsIgEの質的結合力(アビディティ)の評価:ピーナッツの各アレルゲンコンポーネント特異的IgEのアビディティはPSよりPAのほうが高かった(英国)
J Allergy Clin Immunol. 2021 Aug
<薬物アレルギー・過敏症>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34153517/
SARS-CoV-2ワクチンによるアナフィラキシーについての複数研究統合データ:発生率は100万人あたり7.91例,ポリエチレングリコール皮膚テストの感度は低いが特異性は高い。
J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Oct
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34622875/
難治性NSAIDs不耐症へのアスピリン減感作とデュピルマブ:31人を平均20か月追跡。全患者がアスピリン減感作を受けた。21人が平均6か月後に無効または副作用で治療を中止した。減感作を継続した10人は抗喘息薬の併用率が高かった。一方、17人にデュピルマブの全身投与を行ったところ6ヶ月後に症状や内視鏡所見・嗅覚機能が改善した(ドイツ)
Medicine (Baltimore). 2021 Oct 8
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34144108/
NSAIDs不耐症の管理についての提言:標準的な減感作プロトコルと高用量アスピリン投与継続によりPGD2の産生やシグナル伝達を選択的に抑制することは有益であると考えられるが、副作用のために中止する患者もいる。PGE2シグナルの消失によりマスト細胞の活性化やシステイニルロイコトリエンの生成が増加するため、マスト細胞が活性化していることが考えられる。そのため、肥満細胞を直接阻害することで臨床効果が得られるのではないかと推察される。
J Allergy Clin Immunol. 2021 Aug
<気管支喘息>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34432620/
喘息ガイドライン(GINA2021)を踏まえた米国家庭医向けの解釈・解説(p19-28が喘息)
J Fam Pract. 2021
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34656285/
英国の喘息ガイドラインの見通し:5つの治療可能な特性に着目。①気流制限 ②2型炎症 ③喫煙 ④肥満 ⑤アドヒアランス不良
Lancet. 2021 Oct 14
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34658302/
GINA 2021の主な推奨事項と、最近の変更点のまとめ
・低用量ICSホルモテロールをすべてのステップでリリーバーとして使用するのもあり。
・軽症喘息:短時間作用型β刺激薬(SABA)のみで治療すべきではない。必要時の吸入ステロイドとホルモテロールの合剤吸入はSABA単独よりも増悪を60%以上減少させ、ICSの連日投与+SABA頓用と同様の効果がある
・中等症喘息では長時間作用型抗コリン薬とアジスロマイシンの追加を推奨
・重症喘息には生物学的療法の追加を推奨
・喘息の転帰を最適化するためには、定期的な個別評価、変更可能な危険因子の治療、自己管理教育、技能訓練、適切な投薬調整が不可欠。
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Oct 18
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33921169/
真菌感作喘息についてのレビュー:マウスモデルや好酸球をターゲットとした抗体医薬の有用性など。
Cells. 2021 Apr 15
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34669568/
喘息の重症化はCOVID-19の転帰の重症化と関連していたが、2型炎症は関連せず。COVID-19による入院のリスクは、インフルエンザや肺炎によるリスクと同様
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Oct 20
<その他・基礎研究>
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33965232/
フィンランドで2008年から2018年にかけて行われたアレルギー疾患と喘息の予防と管理を改善するための国家プログラム:376回の教育セッションが行われ、24,000人の医療関係者が参加した。一般市民を対象とした情報キャンペーンや、ソーシャルメディアを利用したコンタクトも行われた。10年間でアレルギー疾患と喘息の有病率は横ばいになり、喘息の入院日数は50%減少した。保育園や学校での食物アレルギーの原因食の提供は半減した。職業性アレルギーは45%減少するなど、アレルギー疾患の公衆衛生上の負担が減少した
J Allergy Clin Immunol. 2021 Aug
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33098856/
1日1回服用経口血漿カリクレイン阻害剤(berotralstat:BCX7353)の遺伝性血管性浮腫(HAE)増悪予防検証第3相試験(APeX-2):C1インヒビター欠損症によるHAEを有する12歳以上の患者121名の患者を対象に無作為比較対照試験を行ったところ、月当たりのHAE発作率はberotralstat 110mg / 150mgでは1.65回, 1.31回、プラセボでは2.35回であり介入群で有意に発作率が減少した。安全性、忍容性は良好であった
J Allergy Clin Immunol. 2021 Jul
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34658046/
CD103+ FoxP3+ 制御性T細胞はTh2反応やアレルギー性炎症を抑制し、呼吸器系のホメオスタシスを維持する役割を担う
Allergy. 2021 Oct 17
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?