【本の紹介】石牟礼道子『苦海浄土 わが水俣病』(講談社)
□難度【★★★★☆】
郷土の言葉が飛び交い、また、記録文・報告文なども挿入され、さらに、一読では文の構造をなかなかに掴ませない石牟礼の文体も相俟って、決して、読みやすい文章とは言えない。しかしそこには、「読みやすい、消費されるような文章で描いていいテーマではない」という、強烈なメッセージを読み取ることもできる。
□内容、感想など
暴走する資本主義の象徴とも言える水俣病を主題とした作品。以下の引用の「独占資本のあくなき搾取のひとつの形態」とは、もちろん、人々の尊厳を奪った「近