見出し画像

【本の紹介】森達也『ぼくらの時代の罪と罰 増補新版 きみが選んだ死刑のスイッチ』(ミツイパブリッシング)

□難度【★☆☆☆☆】
もともと中高生に向けて書かれた本の増補新版なので、難度という点では極めてわかりやすく明瞭な書き方になっている。小学生でも、高学年である程度の読解力のある子であれば十分に読み込むことができるだろう。大人の補助付き、あるいは断片を拾い読みする程度であれば、読解力に自信のない子でも挑戦してみる価値はある。

□内容、感想など
上に書いたように書き方は極めてわかりやすいが、ただ、だからといって内容が幼稚であるというわけではまったくない。むしろ「死刑」という非常に難解なテーマを、その難解さをごまかすことなく、懇切丁寧に、そして具体的に論じている。本書の対象読者は中高生であると思われるが、大学生や大人が読むにふさわしい内容であることは間違いない。
素晴らしいのは、安易な"両論併記"などに逃げず、筆者が自らの死刑観をはっきりと明言すること。そして、そうであるにも関わらず、決してそれを読者に押しつけようとはしないこと。
筆者はただただ、死刑というものについて考え、論じるためには、まずは何より、死刑について知ることが大切なのだと訴えるのである。

□こんな人にオススメ
・先進国のなかで数少ない、死刑という制度を存続させているこの国に生きる、すべての人々。
・生徒のディスカッションの素材選びに迷っている先生方。
・裁判員制度によって、いつ人を裁く立場に置かれることになるかもしれぬ、すべての人々。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?