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【特別連載】noteと共に振り返るマイスター合格への道2021 -Ⅷ-
ヘッダーのカウントダウン/航(書道アーティスト)
Instagram→@kou1.japan
おはようございます、副音声note8日目です。あっという間に8日目、あっという間にクリスマスが来てあっという間に新年を迎えそうですね。
第8回目となる今日は10月17日公開の「才能なんかいらない」を振り返ります。つい最近の事のようでもう2カ月も前の記事です。あっという間ですね。
この回は最後の経営学の試験を迎えた時の話です。この試験を迎えるまでに部屋探しであったり引越しであったり住所変更手続きであったりと案外バタバタとしていましたが、そんな事は言い訳にならないと居を移して以降ラストスパートを掛けました。
試験を翌日に控えた日曜日の夕方頃になって、突如気持ちが猛烈に不安定になった。…数字も単語もその一切が私の目に映りながら遂には角膜を通過せず、その非常事態への焦りが苛立ちに変わり、今こうして沈着に言葉を並べている私とはまるで別人格たる私が暴れ始めた。
この症状はつい先日受けた追試前にも少し現れ、正体がプレッシャーだと判明しましたが、この時は言葉で言い表せていないのでイライラしていたのでしょう。
やらなきゃいけないという気持ちに焦る気持ちが勝っちゃうと混乱して泣きそうになりますよね、それです。夏休み最後の宿題のアレです。
八月末から教わって来た内容を先週まで意地になって総復習していた際に、重要点と思われる単語や説明書を選り分けてまとめておいた紙があったので、それを端から暗記していく事にした。…
四四頁に渡る紙の束を手に持ち、要点を諳んじながら持て余している借室の広間を行ったり来たりしていた。
ここまできたら試験前日にひたすら暗唱して、試験当日も早朝2時に起きて暗唱するしかありませんでした。「付け焼刃でも突貫工事でもやる他に仕様が無かった」んですね。その様子を挿絵に描いたものがこちらです。
![](https://assets.st-note.com/img/1640020619881-NsAZDVDGYR.jpg?width=1200)
変な服装!!
半袖半ズボン、長い靴下、長尺の上着、こんなに忠実に再現しなくても良かったんじゃと発表後に気付きました。余談でした(どこかで1度ツッコんでおきたかった)。
ちなみにこの時暗唱していた手書きの44ページのまとめですが、追試の可能性をすっかり忘れていた試験後に捨てていました。めちゃくちゃ後悔しました。
遂に試験が始まった。八月末から学んできた経営学の試験でありながら、三月末から続いて来た製パンマイスター挑戦の集大成たる試験でもあった。
気合が入っています。
記述問題の殆どがこれまで学んできた事の応用であり、より実用的な出題のされ方であったので、例えば私が頭に叩き込んできた単語を只書き並べれば良いという問題であれば手応えの有無も明確なのだが、その単語を通じた知識を活かしての記述は最後まで手応えを得られなかった。
「手応えを得られなかった」っていうのが結構精神的ダメージに繋がってました。良い手応えも悪い手応えも無いというのが。
それでも十五分の休憩の間、第二部の試験に向けた復習に徹したが第一部同様に手応えを得られないまま帰路に着いた。
この経営学の試験も4部構成になっていたのですが、幸いな事に1部2部が初日、3部4部は次の日という日程だったので、ダメージ回復の時間が確保出来て助かりました。
前日に一部二部を経験しているだけあって前日程の緊張や興奮も無く比較的鼓動は穏やかであった。
落ち着いています。肩に力が入り過ぎるのも良くないですから。
ところが昨日までは有るとは言えないまでも無いと言う程でもなかった筈の手応えが、この第三部においては無いと断言せざるを得ない程暗礁に乗り上げてしまっていた。
この時は完全にダメでした。前日に「出題方法は応用であると判明」していたとはいえ、思っていた以上に応用力が必要でした。こういう所で付け焼刃や突貫工事のボロが出るんですね。
この第3部こそが追試を受けた部分なんですけど、追試に向けた時の勉強をして筆記に臨んでいたら…というタラレバを考えてしまいます。「本当であれば全てを深く理解しながら試験へ向かう事が理想であったが、そうはいかずに前日まで来てしまった」っていうのが全てですね。力不足!
多少強引でも空欄には文字を書けるだけ書き込み、全くもって解き方の浮かばない計算式も提示されている数字をどうにか繋ぎ合わせて最後の一秒まで頭を捻ひねり上げた。
こうやって書くと聞こえは良いですが、本当にめちゃくちゃな計算をしていたので書きながら破り捨てたくなっていました。
逃げも隠れも出来ない代わりに羞も恥も用紙の上に書き残して来た。
ちなみに試験回はいつも挿絵を2枚挟んできたのですが、2枚目はこちらです。
![](https://assets.st-note.com/img/1640022446950-CgtmrTWW36.jpg?width=1200)
そうです。1枚目を「暗唱」、2枚目を「暗礁(に乗り上げている)」という題を付けてドヤ顔です。
流石に憔悴しながら迎えた第四部はこの全四部の内最も点を稼げたかもしれない。確信は無いが手応えはあった。コミュニケーション等にまつわる計算問題の無い内容であったのもあり、第三部の鬱憤を晴らすが如く書き込んだ。
合格点スレッスレでした。
こうして私の製パンマイスター資格への挑戦は一度幕を閉じた。三月末から続いていた挑戦を最後まで走り切る事が出来たという事実は、屹度もう二度と私の人生で味わう事が出来ない程貴重な経験であったに違いない。…
しかし今私の中に生まれた感情は結果に左右されるような軽薄な物ではなく、未来の私の自信を形成していくその礎たる重厚な物であるように思う。猫背で歩く私の背筋を後から蹴り上げるような熱烈な物であるように思う。
この時の感情/達成感はやっぱり過去に経験のないものでした。その理由としては、時間的に、また内容的に凝縮されていたからだろうと思います。濃度が高かったんですね。働いていても、3年間の職業訓練時代も達成感って言うのは日常的に転がっていますけど、だいたい時間的に長期スパンで比較的”遊び”があったりするので、こうして短期間で勢いよく走り抜けるっていう経験は本当に先にも後にも数少ない貴重な経験だったなと思います。結果が付いて来たので尚更嬉しいですが、そうでなくとも良い経験になりました。
ここで学生生活は幕を閉じます。翌週から働き始めます。1つの区切りでしたので本編中で読者の皆様へ向けたあいさつをしたためました。長くなるのでここでの引用はしませんが、そのあいさつで書いた事が挑戦を終えた後の最も純度の高い気持ちだったな、と思いますのでもしよかったらまた覗いてみて下さい。
そしてこの回で初めてタイトルを拝借しました。オリジナルタイトルじゃないんですね。本編中でも紹介していますが、志磨遼平(ドレスコーズ)の楽曲「才能なんかいらない」から拝借しています。
過去の記事の中でこんな部分があります。
そういった刺戟の類は自発的な物だけではない。例えば私には心から敬愛する文豪と、ロックンローラーがいる。その名を軽々しく公にする事は控えさせて頂くが、彼らの文章や音楽は確かに私の弱い部分を救い、時に私の肩を支えているのである。
挑戦中もずっと肩を支えられてきました。
【クリスマスの物語、小説作品特別公開まであと3日】
クリスマスイブの夜に1人の青年を巻き込んだ異様な出来事は、サンタクロースが繋ぐ家族の奇跡だった。
ファンタジーな日常、日常の中のファンタジーを書いた心温まる感動のヒューマンドラマ。想像力を豊かにしてお楽しみください。
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