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うつ短歌 最終回

久々に母と話した陽だまりの朝 ぼくの居場所はここであると知る 「早起きは三文の徳」「ぼくは一文でいいです」踊る朝顔 世界一でかいわたあめの上にいて わざわざ苦いコーヒーを飲む 人生はなるべくしてなる 閉業の通天閣の下に咲く花 大阪を去る ぼくを東南アジア系と決めつけたこの大阪を 雨風に打たれながらも動じない 下を向いても動じぬ稲穂 余裕なき時こそ丁寧さを意識する サンダルを脱ぎ捨てる夏

    • うつ短歌5

      病休の間すっかり枯れた花 師は問う「君はどう生きたい?」かと 結婚式 人生で一番の花火が上がる感謝の祭典 故郷の音頭に揺れる 夜も爽やかに輝く太陽を知る 墓石に水を掛け流し祈りつつ 僕が入ったらファンタをかけて 1ヶ月前に頼んだものが今届く プラスの感情の方がギリ勝つ 2歳児に本当の優しさを見る シナモンの青い絆創膏 誰が遅いだの早いだの決めたのだ 私は今を凛と咲く薔薇 新作のフラペチーノより鮮やかに彩られる 彼らとの思い出

      • うつ短歌4

        きりりと太陽に向かう向日葵よ 日陰の道をうつむいて歩く いっそ消えてしまいたいと思った日 翌朝にはただ歯を磨いている 太陽にこうべを垂れる向日葵とぼく 落ち込んではいないのだけど 夏を無視しながら眠るボンとミン ゲンキも不安を無視できたなら 「してあげる」より「させていただく」淡々と揉ませていただく下痢気味の猫 5錠でも溺れる僕を掬うは 向日葵の黄とあの人の声 ジグソーパズルごときにも爪を噛む どうか心にもOS-1を

        • うつ短歌3

          黄昏の湯けむりに今日も救われて 効能にそっと「愛」と書き足す るるぶの中の太陽の塔に会うまでは 太陽を嫌わないでおく 灼熱の中で生死を繰り返す 知らない町の知らない古墳 なにしてる 入道雲よ ここでミミズとぼくが干からびているのに 不安の誤魔化し方を教えて 夏を切り裂くトンビのようでありたい 不安なんてなくて ほんとは生ぬるい風が運んで消えていくだけ 結局どうすればいいの?啓発本のあまたの付箋に問うわたし

        うつ短歌 最終回

          うつ短歌2

          「君たちはどう生きるか」「『ありがとう』と言うように、言われるように」かな スマホ越しの人はせわしなく動く 雨の田の道で見えてくる音 「これあげる」散財男を見上げる天使 ちいさな手いっぱいのダイヤ 猛暑を置き去りにする涼はここに 鍾乳洞に 時刻む風 眠いときは寝るのが一番 僕だけのハンムラビ法典「寝には寝を」 本を売るならBOOK・OFF 誰かの生き様を読むならBOOK・OFF 久々に見た仕事の夢 鍵盤の指が戸惑う ただ寄り添う犬

          うつ短歌2

          うつ短歌1

          短冊の 思いはきっと届く 『なれますように』の『よ』が 鏡文字でも 「昨日洗車したばかりだよ」けど少し愉しい 車の中で聴く雨 いつもより後引く深いコーヒーの苦味に遠のく初かき氷 New免許の前髪にすべて侵されたみんなの脳みそ 虚無の講習 宇宙船の中のぼくだけが息できる エアコンを26℃に上げる 師、曰く「欲求が生命力」UFOキャッチャー2度やり2度外すなり 止まぬ貧乏ゆすりと掃除機の音 七月の風にただ溶ける猫

          うつ短歌1

          心の目

          心の目を開くとき 日常を味わう感覚が戻ってくる 心の目を開くとき 失われた爽やかな一陣の風を知る 心の目を開くとき 人々のせわしい営みに虐げられたものたちの声を聞く 心の目を開くとき 静かでやさしい自然がもののことわりを説く 心の目を開くとき 長く長く許してきたものへの憎悪を生への充実をもって補う 心の目を開くとき 年老いても咲きたての薔薇の柔らかさを見る 心の目を開くとき 心の底にしいんとしずかな湖が在ったことを知る 心の目を開くとき 暗澹とした世の中にもまっ

          カエルの嘔吐法

          「夕空に 愛猫(あいびょう)色の なんとかかんとか」 中川翔子ことしょこたんが、プレバトで発表した、句。へぇー、愛猫色なんてあるのね、と思ってたら審査員のばあさんが「夕空に、ときたら、オレンジ色などを思い浮かべることが多いけれど、そこでこのオリジナルの色を出したのは~」と、抜かしていた。 え、愛猫色(あいびょういろ)とは中川翔子ことしょこたんがオリジナルで作りたもうた色!?と思って、胃ごと吐き出して1回洗って、拭いて、戻した。カエルの嘔吐の方法と完全に一緒で、ウチはうれし

          カエルの嘔吐法

          am5:30

          「これまでに死にたいと思った若者は全体の半分弱、これってまずいことだよね、なあ、聞いてるかよ、おい、なあって」という記事を見て、むしろ少なくないスか?と完全に論破したけれど、本当にみなさんは死にたいという思いを抱いたことはないのでしょうか?と聞いたところで、やはりほとんどの方の回答はNOで、「NOて」と思ったし、なんなら言ったし、やはり、思った。 「死にたい」と思うのは、それほど生に執着していることだからどーてらこーてらとおっしゃる書籍に出会ったけれど、だからなんだと思いな

          すき家レディオ

          ビタミンK。すき家のなんたらサラダに含まれているビタミン。「あまりにもビタミンの三軍すぎる」と言いながら食べたわさび山かけ牛丼はあまりにも切ない味がして、鼻に、しみた。 三軍がいるから二軍や一軍がいる。世の中には、これはいらなすぎますよねというものが多すぎる。 先日はTwitterで「J3(サッカー)のキャラクターを書いて応援しようbot」というものを発見した。いらなすぎる。botにしては投稿頻度が低すぎていた。いらなすぎる。クオリティも美術2の出来であった。いらなすぎる

          すき家レディオ

          ドッジボール論争への考察

          死のうとした。というよりもう二度と起きないよう願った。「死のうとするということは生きるに執着している証拠なのです。ですから~」ですからじゃあないよって思った。真面目に色々な人に迷惑をかけて、生きた。生きてるだけで丸儲け。なんだそれ。それ由来で命名されたIMALU。もう日本は終わっています。嘘です。IMALUさん、素敵ですよね。 完全に腐れてしまったから、「ゴーゴー月と言えよう」という大傑作を書いたけれど、3いいねだった。「鼻くそうまかった」とツイートした方がよかった。5いい

          ドッジボール論争への考察

          「ゴーゴー月」といえよう

          4月はあまりにも激しすぎて、切なすぎて、哀しすぎる。それでいて人々は笑顔である。卑しいくらいに明るい笑顔である。先日行った旅館の料亭に「人が見てろうが見ていまいが花は咲く也(なり)」という絵が飾ってあった。也(なり)にかなり腹がたったが、詩の内容が嬉しくて、やはり嬉しかった。 「五月病」の存在を甘く見てはいけない。社会的に大きく取り上げられてほしい。大きく取り上げられたい。頭の良いひとの文章には、この「~たい」がたくさん登場してきて、キモい。何はともあれ、4月は人は無理をし

          「ゴーゴー月」といえよう

          Hachi-Bey

          例年より頻繁に出現するカメムシを見つけるたびに頭によぎる「カメムシが多い年は豪雪」仮説を無視し続けていたものの、そうはいってもやはり身体は正直であり、一晩にしてバカ雪が積もった日の翌朝、路肩の雪壁に「クッ」つって擦ったと思ったその瞬間に私のノート・イー・パワーのハンドルはただの飾りとなってしまい、キュルキュルとアイスバーンの上で滑りながら「死んでしまう!」とハンドルを右に左に切りまくって「対向車がいたら逝ってた!」と、奇跡的に無傷な車の中で胸を撫で下ろしたところ、その日の昼過

          ヘラクレスを名乗るには小さすぎる

          その1「≒猿」学校や会社を休むことに抵抗がある。人には誰しも「認められたい」だの「相手にされたい」だのいう欲求があって、欠席をすることでその機会が失われる、というか、とにかくみんなと同じことをしてないと気が済まないという感じなのである。 大昔(ここでいう大昔とは、6000万年前のこと)に読んだ本の中に、猿たちの帰属意識だか集団心理だかに関する内容があった。平の猿たちはボスの猿に媚びへつらうことに全神経を使い、とにかくその集団の一員でありたいという欲求でいっぱいだそう。でない

          ヘラクレスを名乗るには小さすぎる

          世界からタコが消えたなら

          人情その1「マラソン大会あるあるを言う人」あるある、今から言いたい。マラソン大会で、「一緒に走ろう」と言った人って、途中で抜け駆けして先に行きがち、って言いがち。 「マラソン大会あるあるを言う人」ないないも、今から言いたい。マラソン大会で、「一緒に走ろう」と提案はするものの、ついつい途中で抜け駆けして先に行っちゃう、って言う。 何が言いたいのでしょうか。少しは自分で考えてみてください。何が言いたいのかというと、「この世の中には、マラソン大会で置いていかれた人しかい

          世界からタコが消えたなら

          ゴジラの夢

          台風がきて、去っていった。それが奪ったものはあまりにも多すぎて、でも、翌日にはラグビー日本代表の勝利に湧き、PUNPEEは星野源の曲をフューチャリング、寒すぎて明るすぎる太陽がまた昇ってきて、そして沈んだと思えば、また昇ってくる。そして沈んだ。台風がきて、去っていった。 人生は納得のいかない散髪だと思うし、納得のいかない散髪は人生だと思う、という話。先日、フィリピン人に1,260円で髪を切ってもらったところ、やはりフィリピン人になってしまった。悶々と退店してから次の日友

          ゴジラの夢