ボクが守りたいもの(絵本原作)
ボクの弟は、宇宙からやってきたのかもしれない。つまり不思議な子。
ボクはそんな宇宙人の兄貴というワケで……。
ボクは登校するとき
誰にも見えない軍服を着て
ランドセルと一緒に
見えない武器を背負う
弟が学校で何かやらかすと
クラスメートが
喜んで報告してくる。
親切心なんだろうけど、
ボクは別に頼んでいないから。
朝礼で校長先生が話をしている時
弟が大声を出した。
みんなは弟ではなく
ボクの方を一斉に見た。
すごいね、みんな。
息がピッタリだったよ。
この時のために、わざわざ練習をしたのかい?
誰かのお母さん2人が
学校の廊下で
弟のことを話しているのを
偶然聞いた。
どうやらボクが兄貴だということを
この人たちは知らないらしい。
そうだ! 校長先生が朝礼で『あいさつは大事』って言ってたっけ。
「どうも ソイツはボクの弟です!! いつもお世話になっています!!」
弟よ。
お前のことをバカと言うヤツもいるけれど
ボクはそうは思わないぞ。
だってお前は
あのオバサンたちではなく
ウチのかーちゃんの所へ
間違えずにやって来ることが出来たのだから。
だけど
ある日……
ボクはとうとうカンニンブクロの緒が切れた。
「お前らなんかに、弟のことをわかってもらわなくて構わない!!」
だけど……
「だけど、ボクの家族を笑うな!!!!」
クラスは大さわぎ。
先生は、次の授業を
算数から話し合いの時間に変えた。
先生は言う。
「家族って不思議なんだよ。別々の人間なのに、ほめられると自分のことのように嬉しいし、けなされると、自分がバカにされるより悲しい」
そして先生は続ける。
「ところで、弟くんのことをからかった君たちは、お兄ちゃんである彼に、どんな反応を期待していたんだい?」
その質問に誰も答えることはできなかった。
ふぅ、今日もつかれた。
「ただいまー!」
「おかえりなさい!」
お前がいるから大変なのに
疲れをいやしてくれるのは
やっぱりお前の笑顔。
おい、弟よ。
お前、いい兄貴持ったなぁ。
《終わり》
📍あとがきみたいなもの📍
このストーリーは友人ママから聞いた実際の出来事をヒントに創作しました。弟くんのモデルである友人息子くんは現在20歳。漢字が得意で家族が(読めるけど)書けない漢字をスラスラ書けるそうです。そして施設には、毎日《笑顔で》通っているとのこと😊
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