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ボクが守りたいもの(絵本原作)

#創作大賞2023
#オールカテゴリ部門

ボクの弟は、宇宙からやってきたのかもしれない。つまり不思議な子。

ボクはそんな宇宙人の兄貴というワケで……。

ボク🙋(小学校高学年)
弟🙆(小学1年生)

ボクは登校するとき

誰にも見えない軍服を着て

ランドセルと一緒に

見えない武器を背負う

登校直前の『ボク』、武装した『ボク』と二重写し。

弟が学校で何かやらかすと

クラスメートが

喜んで報告してくる。

親切心なんだろうけど、

ボクは別に頼んでいないから。

『ボク』の机までやって来て、ペラペラ喋るクラスメート。『ボク』はもちろん仏頂面

朝礼で校長先生が話をしている時

弟が大声を出した。

みんなは弟ではなく

ボクの方を一斉に見た。

すごいね、みんな。

息がピッタリだったよ。

この時のために、わざわざ練習をしたのかい?

朝礼の風景。周りから好奇の視線を浴びる『ボク』。

誰かのお母さん2人が

学校の廊下で

弟のことを話しているのを

偶然聞いた。

どうやらボクが兄貴だということを

この人たちは知らないらしい。

学校の廊下。あまり品の良くない噂話をヒソヒソ話している保護者2人。そこを通りかかる『ボク』

そうだ! 校長先生が朝礼で『あいさつは大事』って言ってたっけ。


「どうも ソイツはボクの弟です!! いつもお世話になっています!!」

わざとらしい笑顔で、わざとらしい大声の挨拶をする『ボク』

オバサン2人、バツが悪そうにそそくさと退散。そしてコッソリあっかんべー😛をする『ボク』。

弟よ。

お前のことをバカと言うヤツもいるけれど

ボクはそうは思わないぞ。

だってお前は

あのオバサンたちではなく

ウチのかーちゃんの所へ

間違えずにやって来ることが出来たのだから。

2人の母親の笑顔

だけど

ある日……

しつこく『ボク』をからかうクラスメート

ボクはとうとうカンニンブクロの緒が切れた。

『ボク』、机をバンッと叩く

「お前らなんかに、弟のことをわかってもらわなくて構わない!!」

『ボク』クラスメートに向かって声を張り上げる

だけど……


「だけど、ボクの家族を笑うな!!!!」

心の底から叫ぶ『ボク』の顔のアップ

クラスは大さわぎ。

先生は、次の授業を

算数から話し合いの時間に変えた。

先生は言う。

「家族って不思議なんだよ。別々の人間なのに、ほめられると自分のことのように嬉しいし、けなされると、自分がバカにされるより悲しい」

そして先生は続ける。

「ところで、弟くんのことをからかった君たちは、お兄ちゃんである彼に、どんな反応を期待していたんだい?」

その質問に誰も答えることはできなかった。

午後の晴れた空の下にある学校の外観。

ふぅ、今日もつかれた。


「ただいまー!」

『ボク』帰宅。まだ私服と軍服の二重写し

「おかえりなさい!」

満面の笑みの弟。

お前がいるから大変なのに

疲れをいやしてくれるのは

やっぱりお前の笑顔。

『ボク』も笑顔。いつの間にか本来の姿に戻っている。

おい、弟よ。

弟にもたれかかる『ボク』。弟も嬉しそう。

お前、いい兄貴持ったなぁ。


《終わり》


📍あとがきみたいなもの📍

このストーリーは友人ママから聞いた実際の出来事をヒントに創作しました。弟くんのモデルである友人息子くんは現在20歳。漢字が得意で家族が(読めるけど)書けない漢字をスラスラ書けるそうです。そして施設には、毎日《笑顔で》通っているとのこと😊

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