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そこにいてくれるだけでよかった【前編】

明日、元家族が引っ越しをして、この家を出て行きます。
おれはさびしすぎて不安定になって、たくさん記事を書くかもしれません。
もしよければお付き合いください。

いままで元妻に過剰な期待をしていたおれ。
子供たちにも、口うるさくはしなかったと思うけど、
でも心の中で「こうであってほしい」という期待をしていました。

元妻も子供たちも、おれの期待に応えてくれない。

おれは奥さんとはいつまでもラブラブでいたかった。
でも元妻はおれにベタベタするタイプの人じゃなくて、
どちらかというとかなりドライな感じの人だった。

性格もあるだろうし、おれがベタベタするに値しない男だった、気持ち悪い男だった、生理的に無理だった、とっくにそういう時期は過ぎた、そういうこともあるのかもしれない。彼女はやさしいから、そういうことを言ったことはないけど。

おれは
「すごいね」
「かっこいいね」
「よくそんなこと思いつくね」
「尊敬する」
「あなたの書く文章いいね」
「大好き」
そういうことを言って欲しかった。

おれはバカだから、そうやって褒められたり、
男としてのプライドをくすぐられることがすごくすごくしあわせだった。
でも元奥さんは、そういう感じのセリフを一切言わない人だった。

おれのことをまず褒めない。
おれは承認欲求のかたまりで、褒められたくて褒められたくて仕方ないのに、彼女がおれを褒めることはなかった。おれはそれがすごく寂しかった。

彼女は生活面でだらしないところが多くて、部屋を片付けなかったり、掃除機をかけなかったり、洗濯物をためこんだり、モノを捨てられなかったり、整理整頓できなかったりした。

おおらかで細かいことを気にしないのは彼女のいいところでもあるし、おれはいちいちそういうことを指摘して彼女に窮屈な思いをさせたくなかったから、多少のことには目を瞑っていた。

1月に仕事を辞めて、この家に引っ越してきてから、ほとんどおれが料理をしていたのだけれども、キッチンに不要品が多すぎて、本当に料理がしにくい。片づけたいのに不用品があふれているせいで、どうにもならない。

だからおれは「今度一緒にいらないものを整理しようね」と言ったけど、でも彼女は気が進まないらしく、ハッキリと返事をしない。

そういうところは子供たちにも引き継がれているようで、子供たちも部屋が散らかっていてもなんとも思っていないし、リビングの床が髪の毛だらけでも気にしない。そこらへんにゴミを放置するし、自分が使った食器もあらえない。流しに放置。ずっと放置。

子供のそういうところを見て、おれは「元妻がちゃんとしつけないからだ」「子供たちがお母さんのマネをしてる」って思った。

長男は高校を卒業して働いているのだけれども、下の子2人は今中学生だ。そしてつい最近まで、2人は学校に行かず引きこもりをしていた。

時間は腐るほどあるのに、家のことをしない。
お母さんに甘えっぱなしの2人。

1回袖を通しただけで、全く汚れていない、汗もついていない服を、ポイポイ洗濯かごに放り投げる。子供たちみんながそうしているから、ウチの洗濯かごにはいつも大量の洗濯物が積み重なってあふれていた。

下着は毎日変えていいけど、
全然汚れてない服は、着るたびに洗濯しなくていいんだよ。

そういうことも、教えていない。
だから洗濯物があふれる。
そして元妻本人はシングルマザーで忙しいから、洗濯をしない。

おれはそれを見かねて、毎日毎日洗濯をしていた。
みんなのため、というか、
ただ単純に、洗濯物があふれているのがイヤだったし、
脱衣所をきれいにしたかった。整理整頓したかった。
ほったらかしにしたくなかった。

だから毎日毎日、元妻と子供たちの洗濯物を洗っていた。
おれ自分は洗濯物はほとんど出さなかった。せいぜい下着くらい。

そうやって毎日毎日洗濯を頑張り、みんなのごはんも作っていたのだけれども、元妻はそれが当たり前とでも思っていたのだろうか。
それに対する「ありがとう」も全く言わなくなった。

そんな小さな小さなことが積み重なり、
徐々に徐々におれはメンタルをやられ、
ガマンの限界がきて、言ってしまった。

もうこの家を出て行け、と。


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