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【年末のご挨拶】 区切り、区切られ、“私たち”が生まれる

劇団いちいちは、「今度の春に一つのお芝居をする」、そのことだけを決め、動き始めた団体です。前も後ろも何もなく、ただそれだけを目的に集まりました。それがどんな意味を持つのかを決めず、酷く幼い子どものように、日々を過ごしていました。

すると、どうでしょう。もう、今年が終わってしまいそうです。11月にもぞもぞと活動を開始し、12月にこねこねと舞台のイメージを練っていたら、除夜の鐘が聞こえる季節になっていました。この早さで時が過ぎるなら、本番まであっという間だな、とちょっぴり不安になります。

年の終わり

ところで、ずっと妙だなー、と思っていたことがあります。年の終わりというものはどうしてこうも、特別なのでしょうか?12月31日の24時間と、1月1日の24時間は何ら変わらないのに。人間が決めた“年”という概念によって、こうも時間が分断されていくのが不思議でなりません。

この“年”というのは、物事を分かりやすくするための、いわゆる「区切り」というものでしょう。人はこの世のあらゆる物を区切って理解する生き物ですから。

そしてこの年による区切りが、私たち学生に与える意味はただ一つ。同じ年に生まれる、ということです。4月2日から4月1日までの一年間に、この日本に生まれ落ちた。たったそれだけの偶然で、私は彼に、彼女に、君に、貴方に、出会ったのです。

運命と偶然

こういったことをよく「運命」という言葉で表現します。でも、それは運命ではないんです。やっぱり偶然なんです。偶然に「区切られた」私たちは、死ぬまで偶然の言いなりになって、生まれ年を共有しなければならないのです。嫌いなアイツも、憎いアノ子も、みんな死ぬまで同級生。

でも、優しい彼女も、素敵な彼も、死ぬまで私と生まれ年を共有してくれるのは、ラッキーかもしれない。この状況にこそ、私は「運命」という言葉を使いたい。大好きなあの人たちと“年”という見えない横糸で繋がっている、この状況にこそ。

何かの終わりは物悲しい気持ちになるもので、一年の終わりとなったら、そりゃあもう…こんな感傷的なことが頭に浮かんできてしまいます。というか、歳の数だけ年を越しているはずなのに、毎年毎年新鮮に感傷に浸れるの、凄い。それだけ「区切り力」が強いんですね、年って。

新年、2022年

もうすぐ2022年が始まります。今年あった嫌なことも、悲しいことも一旦「区切り」を入れて、晴れやかな気持ちで新年を迎えたいですね。そして寒さが和らぎ、春が麗らかになったら、芝居かなんかを観に行きたくなるかもしれません。

その“なんか”の選択肢のひとつに、劇団いちいちの公演『吐息のおもかげ』が入っていたら私はとても嬉しいです。

最期に、写真を一枚
今度の公演で役者を務めてくれる、心強い4人の仲間たちです。
彼らの身体を通して描かれる物語を是非。

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それでは、よいお年をお迎えください。

公演/劇団情報

劇団いちいち
Twitter:https://twitter.com/gekidan_11
Mail:theater111999@gmail.com
※お問い合わせやご依頼は各SNSのDMまたはメールまでお願い致します。

劇団いちいち 春ごもり公演
『吐息のおもかげ』
脚本・演出:豊田莉子
【日時】2022年
    3月5日(土)14:00 / 18:00
       6日(日)12:00
    ※開場は開演の30分前です。
    ※上演時間は80分を予定しております。
【場所】東山青少年活動センター 創造活動室
【料金】※当日券は各+300円です。
    学生前売:1000円(要証明)
    一般前売:1500円
【予約】カルテットオンライン


編集後記

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この文章は帰省の為の新幹線の中で書いていました。ふと外に目をやると、一面が雪景色。太平洋側の、雪に無縁の土地で育った私にとって、その光景は神々しいほど美しかったです。人っ子一人いないその白い街に住む誰かに、このnoteが届けばいいなぁと思います。
『吐息のおもかげ』、きっと素敵な舞台にしてみせます。


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