【レビュー】経験学習を通して洗練されていくプレイが楽しい!『Slay the Spire』というゲームの持つ魅力
【はじめに】
──深夜3時。
暗い部屋の片隅に隠れるようにして、黙々と寄生虫やスライムと格闘し、得体の知れない塔を登る日々に没頭し始めて早一ヶ月が経った。
かつての筆者の面影はそこにない。画面を見つめる血走った眼、髪はまばらに抜け落ち、顔は窶れ、息も絶え絶えである。彼もまた塔の犠牲者の一人になってしまったのだ。
このゲームは危険だ。数々のゲームをプレイしてきた筆者を唸らせるだけの蠱惑的な魅力がある。社会的生活を営む行為に支障を来す人もいるだろう。
少しでも興味を持っているようなら、今すぐにでもスマホを叩き割って山奥に籠もりヴィパッサナー瞑想などすることを勧めたい。一度立ち止まり、考え直すのが賢明である。
これらの忠告に耳を傾けるだけの正気を失ってしまっている読者に向けて、本記事では、名作カードゲーム「Slay the Spire」を拙筆ながら紹介する。とやかく言わずに買いなさい。
※ 本記事の主旨は、読者に「Slay the Spire」の購入およびプレイを促すものである。
【Slay the Spireとは】
本タイトル「Slay the Spire」は「ローグライクカードゲーム」である。「ドミニオン」のようなデッキ構築をしていくゲーム性、プレイする度に自動生成されるダンジョン、ゲーム内の死によって積み上げてきたものを全て失うような体験、これらの要素が複雑に絡み合いSlay the Spireというゲームを形作っている。
"ローグライク"と"ローグライト"という言葉の差異については触れないものとする
【Slay the Spire とは - 戦闘システム】
戦闘はターン制となっており、限られたリソースを用いて戦うオーソドックスなデッキ構築型のカードゲームだ。本ゲームでは「アタック」「スキル」「パワー」と呼ばれる3種類のカードを組み合わせてデッキを構築していく。これらのカードは戦闘の報酬や、ゲーム内通貨によって獲得することが出来る。
【Slay the Spire とは - レリック】
このオーソドックスなデッキ構築型のカードゲームに、本作ならではの彩りを与えているのが「レリック」と呼ばれる特殊アイテムの存在だ。
獲得時に永続効果を発動したり、所持時にだけ特殊な効果を発動するアイテムなど、178種類ものレリックが1回ごとのゲーム体験を特別なものにしてくれる。
「取得時に最大HPを増やす」といったシンプルなレリックや、「パワーカード使用時にランダムな手札カードのコストを0にする」といった強力なレリック、「混乱状態になりドローする度にカードのコストがランダムになる」といったピーキーなレリックなど、実に様々なレリックが存在しており、これらの組み合わせによって無限の可能性が生まれるのである。
【配信プラットフォーム】
Slay the Spireの配信プラットフォームは多岐にわたる。PC、PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox One、iOSと、ほぼ全ての環境においてプレイすることが可能だ。
【公式トレイラーの紹介】
御託を並べても仕方がないので、実際のプレイ動画を見てもらいたい。Nintendo Switchに配信された際のトレイラーだ(正直、あまりゲームの内容や雰囲気は伝わらない気がする)
【Slay the Spireの魅力】
本記事の趣旨は読者の購買を促すことであるので、いよいよ本作の魅力を紹介していきたい。
1. 手探りでゲームに慣れていく過程が楽しい!
プレイデータを作成すると、キャラクター選択画面に遷移する。この時点では実装されているキャラクターの1人しか選択することが出来ない。まずはアイアンクラッドを選択し、塔への侵攻を開始することとなる。
どんなカードが存在しているのか、どんなレリックが存在しているのか、そもそも何故この塔にいるかすら分からないまま、プレイヤーは塔を進んで行くことになる。
塔を登り進めて行く内に、様々な敵に出会うだろう。
攻撃力を下げてくるスライム、所持ゴールドを盗んでくる泥棒、倒すと被ダメージアップの状態異常を撒いてくるキノコ、毎ターン攻撃力がアップしていく狂信者、3ターン目から超火力の攻撃をしてくるゴブリン──。いわゆる「第1ステージ」だけでも実に多様なエネミーが存在している。
敵の行動パターンを観察し、相性の良いカードを考えるような「手探りで攻略法を探っていく楽しさ」は本作の魅力のひとつである。これからプレイを始めようと思っている方々には、ぜひ攻略サイト等を見ずに一度クリアするところまで進めてもらいたい。
2. カードやレリックのコンボを試行錯誤するのが楽しい!
先述の通り、Slay the Spireでは、カードやレリックの組み合わせることによって、様々なコンボを生み出すことが可能であり、ゲームの大きな魅力のひとつとなっている。
「オレの考えた最強のコンボ」が炸裂している瞬間が、Slay the Spireをプレイしている瞬間で一番楽しいと言ってしまっても過言ではないだろう。
この動画では、本来「2コストで4×5ダメージのカード」を「一撃120ダメージ」という"ロマン砲"として中ボスに炸裂させた一例を紹介している。
「戦闘中最初のアタックは追加で8ダメージを与える」というレリックと「アタックの使用10回ごとにダメージが2倍になる」というレリックと「4ダメージを5回与える」というカードが驚異的に組み合わさった瞬間だ。
【ダメージ計算式】
(4+8)ダメージ × 5回 × 2倍 = 120ダメージ
「前回あのカード使ったけど、このカードを組み合わせると強いよな......」といったようにカード同士のシナジーを試行錯誤するも良し、レリック同士のシナジーを試行錯誤するも良しだ。カードやレリックの取得状況に応じてコンボを考え出すのは、高難易度モードの攻略に大いに役に立つ。
3. プレイごとに変わる状況に対応するのが楽しい!
このゲームはクリアするか死亡する度に、初めからやり直しとなる。今まで手に入れたカードやレリックは無くなるし、もちろん倒したボスにも挑戦しなければならない。同じマップを再びプレイすることは通常プレイではほぼあり得ないし、同じレリックや同じカードを全く同じタイミングで取得することは二度と無いだろう。
しかし、プレイヤーの中に蓄積された経験値は失われない。敵の行動パターンやカードのシナジーなど、幾度となく積み重なった自らの屍が、己の血肉となっているのである。ゲームプレイを通じた経験学習によって、プレイが洗練されていく体験はフロム・ソフトウェアのアクションゲームを彷彿とさせる。
ある程度、このゲームをプレイしたプレイヤーなら理解していると思うが、いわゆる「テンプレデッキ」を目指すだけでは勝てないのだ(もちろん「強いデッキ構成」が存在すること自体は否定しない)
なんといっても、Slay the Spireは適者生存のゲームである。それぞれのシチュエーションに応じた最適解を積み重ねていった者だけが、ゲームクリアに到達し得る。このタフな楽しさこそが、本タイトルの真骨頂なのであると筆者は考える。
(序盤に強いレリックを引いて勝利を確信しイキる筆者)
4. ランダム要素による高いリプレイ性が楽しい!
ローグライクゲームのご多分に漏れず、本タイトルでも「不確実性による厳しいシチュエーション」が発生しうる。
デッキのシャッフルが偏って敵の攻撃を防げなかったり、HPの少ない中で、中ボスやエネミートの連戦を強いられるようなシチュエーションがイメージしやすいだろうか。
イベントフロアで発生する「ショップ」でカードやレリックを購入しようと思い、ゴールドを集めていた結果、ショップに巡り会えないこともザラである。
このランダム要素こそ、ローグライクゲームの醍醐味である。
ローグライクゲームの代表格である「風来のシレン」でも、万全を期して次フロアに進んだ瞬間に「モンスターハウスだ!!」と、ミノタウロスやマスターチキンに囲まれた経験がある読者もいるのではないだろうか。
「モンスターハウス」とは、大量にモンスターによって埋め尽くされた部屋のことをいい、トラップが仕掛けられているなどプレイヤーにとって不都合なものであることが多い。
戦略だけはなく運によって展開が左右されるようなランダム要素が「あともう1回だけプレイしよう......」といったリプレイ性の高さに貢献しているのだ。強烈な死の存在こそが生を彩るのである。
【プラットフォームごとの販売価格】
下記に各プラットフォームでの販売リンクと価格を一覧にした。実装されているカードの名前がプラットフォームによって違うので、攻略ページや個人ブログ等でデッキ構築の情報を参照する際には注意が必要である。
・PlayStation4版: 2,618円
・Nintendo Switch版: 2,570円
・Steam版: 2,570円
・Xbox One版: 2,900円
iOS版: 1,220円
【iOS版 Slay the Spireがオススメ】
筆者はiOS版を購入した。
iPhoneかiPadを持っているなら、いますぐApp Storeを開いてSlay the Spireを購入してみよう。きっと悩む値段ではないはずだ。
他のプラットフォームを触っているわけではないので、単純な比較は出来ないが、iOS版はかなりオススメである。下記にメリットとデメリットを列記しておくので、参考にして欲しい。
【iOS版のメリット】
1. 安い
2. プレイするハードルが低く、スキマ時間に遊びやすい
3. プレイミスをした際にタスクキルをすることでリプレイが可能(非推奨)
【iOS版のデメリット】
1.メジャーなプラットフォームであるSteam版とカードの名前が違う
2.誤タッチによる操作ミスが発生する(レビューに散見されるが気になったことはない)
3."Mod"という「有志による拡張版」をプレイすることが出来ない
【そして沼へ】
初プレイから100時間に至るまでは、さほど日数がかからなかった。寝食を忘れプレイに勤しんでいたのである。
【やりこみ要素】
本タイトルはクリアする度に「アセンション」や「登塔」と呼ばれる高難易度モードが解放される(いずれも同一のモードでプラットフォーム間によって名前が違う)
通常モードでクリアすると「アセンション1」が解放され、アセンション1をクリアすると「アセンション2」が解放されるといった具合だ。多くのプレイヤーはこの「アセンション最上階」を目指すのである。
これらは、いわゆる「縛りプレイ」と呼ばれるもので、アセンションを進める度、累積的に制約を受けることになる。(e.g.エリートと呼ばれる中ボスが増えたり、エネミーのHPや攻撃力が上がったりする)
アセンションが進む度に制約は厳しくなり、最高難易度であるアセンション20とまでなると、安定して第1ステージを突破することですら難しくなる。
「Slay the Spire攻略 Wiki」による各アセンションの制約
【一部ネタバレあり】
また、特殊な条件を達成すると挑戦できる「裏ボス」が存在する。
第1ステージ、第2ステージ、第3ステージを越えた先の「最終ステージ」に待ち受けており、裏ボスの前に鎮座している中ボスもなかなかの強さである。ぜひ挑戦して欲しい。
最高難易度である「アセンション20」において、裏ボス「堕落の心臓」を撃破できたときの達成感は筆舌に尽くしがたい。
(アイアンクラッドで初めて心臓を撃破した筆者)
【おわりに】
先述の通り、本記事の目的は、Slay the Spireという名作カードゲームのプレイヤーを増やすことにある。興味が湧いたプレイヤーは、ぜひ手にとってプレイしてみて欲しい。
また、今後アセンション20を突破する上での指南書のような記事の執筆を予定しているので、攻略に立ち悩んだプレイヤーはぜひ参照されたい。
筆者はSlay the Spireの1フォロワーに過ぎないが、本記事を読んで購入に至った人がいれば、実際にプレイしてみた感想や、心臓撃破時のコメントをTwitterやnoteのコメント欄から貰えると嬉しい。
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