【下駄】
家内が倉庫の整理をしている。ここのところ断捨離魔になっているのだ。日曜日くらいゆっくりしときゃ~いいものを、少しもジッとしてはいられない性格なのである。
倉庫の中で独り言をいいながら、何やらゴソゴソとやっていた家内が、1つの箱を持ち出してきた。そして、箱の蓋を開けてこう言った。
「父さん、これ捨てるよ。履くことないでしょ❓️」
見ればそれは〈下駄〉だった。小粋な物が出てきたものだ。黒い鼻緒の男物が1足、朱色や赤い鼻緒の女物が3足入っている。
「おっ❗️下駄かぁ~もぉ何年も見てなかったなぁ」
「捨てるよ❗️履くことないでしょ❓️」」
「まてまて、捨てるなよ❗️結構キレイじゃないか。まだまだ履けるぞ。下駄は日本の伝統文化だぞ」
「だって履かないでしょ❓️」
「だからって捨てなくてもいいだろ。いま買えば安くはないど」
「そ~ぉ❓️」
「子供の頃はさぁ、夏祭りやら花火大会とかさぁ、家族で揃って浴衣に下駄履いて出掛けたもんじゃ」
「でも、もぉ履くことないでしょ」
尚も食い下がってくる。
「いやいや、捨てるの勿体ないど❗️日本の伝統文化は大切にしたほうがええ」
「ん~~・・じゃ、捨てるの止める」
際どいところで断捨離から逃れた下駄たちであった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?