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【深夜のトイレ】

出張先で寝泊まりしている建物は、鉄筋コンクリート3階建ての大きなものである。建物の中心には、端から端までが50mはあろうかと思われる、直線の長い廊下が走っている。

僕の部屋は2階の真ん中あたりにあるのだが、トイレが長い廊下の端と端にあるので、どちらのトイレを使うにも25mくらいは歩かなければならないのだった。

ところが2階の廊下の左右にある沢山の部屋には誰も入っていなくて、夜、長い廊下をひとり歩いてトイレに行くのがなんだか怖いのだ。

どちらのトイレに行っても歩く距離は変わらないので、その時の気分次第で右に行ったり左に行ったりしている。

ところが昨夜のことである。過ぎた寝酒が祟ったのか、はたまた大腸癌あがりの癖が出たのか、例の下痢になってしまったのだ。

10分から20分置きに襲ってくる便意に勝てる筈もなく、僕は薄暗い深夜の廊下を5往復しなければならなかった。

回が重なる毎に、流石に気味悪さが増してきて、5回目は行くのを止めようかと思ったくらいであった。

〈後ろから誰かが着いて来てないだろうなぁ・・あっ❗️今、声がしなかったか❗️❓️〉

心霊動画や心霊写真が大好きな僕でさえ、5回もトイレに通ったら流石にビビってしまったのだ。

やっとお腹が落ち着いた頃には、時計の針が4時を回っていた。


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