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【お宮参り】

初めて来た仙台護國神社は生憎あいにくの雨だった。正式には宮城縣護國神社というらしい。

仙台護國神社は、小高い青葉山の上にある、親しんで〈青葉城〉と呼ばれている〈仙台城跡〉の敷地内にある。 

今日は生後4ヶ月の孫娘、Eちゃんのお宮参りなのだ。娘夫婦とEちゃん、娘婿君の御両親、我々夫婦の総勢7名での参拝である。

11時30分の予約だったのが、30分早まって11時から始まることになった。

ミニバンの中で孫娘のEちゃんにお宮参り用の〈掛着かけぎ〉を着せて準備が整った。

白衣に薄い青緑色の袴をまとった神職に案内された控室は、畏れ多くも天皇陛下が御休息されたという部屋であった。皆んなが驚いた。壁には、昭和天皇や美智子妃殿下や今上天皇がここを訪れられた時の写真が掲げられている。

館内にある〈英霊顕彰館〉の資料を見たりしながら待っていると、先程の神職が〈かんむりひとえほう奴袴ぬばかま浅沓あさぐつ〉の正装で現れ、我々を拝殿へと案内した。神職のうしろには、白衣に鮮やかな朱色の袴姿の美しい巫女さんが従っている。

神職と巫女さんの後に付いて、我々は本殿の手前にある拝殿へと移動した。

拝殿に入ると、本殿の方角を左側に、前列と後列の2列に並べられた〈胡床こしょう〉と呼ばれる、戦国武将が腰掛けたような椅子に座るように促される。真向かいには神職と巫女さんが立っている格好になった。

そして、まず神職が、本殿側の方に向けて御供えされた、三方さんぼうが乗った八足はっそくの前に進み出ると〈祓詞はらいことば〉を奏上する。

〈祓詞〉に続いて、孫娘や両親や家族の安寧を祈る〈祝詞のりと〉の奏上である。

神道の〈祝詞〉では、解り易い文章の中に両親の名前と孫娘の名前を述べるので、参列者にも〈祝詞〉の意味をある程度は理解できるのが嬉しい。

さて、皆んな低頭して拝聴している〈祝詞〉の声が、両親の名前からちょうど孫娘Eちゃんの名前を読んだその時である。拝殿の中にEちゃんの声が響いた。

「エ~・・」

それが丸で返事をしたかのような声だったので、一瞬その場は和んだ空気に包まれたのだった。

続いて、大きな御幣で参列者の頭上を祓う〈大麻行事おおぬさぎょうじ〉を終えると、今度は美しい巫女さんの舞いが始まった。

鈴を手にした巫女さんの舞いは、それはそれは厳かであり、何度か鳴らした「シャンシャン❗️」という巫女鈴の音は心を洗われるような美しさであった。

・・・・・・・

こうしてEちゃんのお宮参りが無事に終了したのである。


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