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【PK戦①】
カタールでワールドカップが始まり、世界中が盛り上がりつつある中、テレビでは高校サッカーの県大会決勝戦を中継していた。
試合は延長戦でも決着がつかず〈1―1〉のスコアのまま PK戦に突入した。
PK戦というのは非常に面白いのだが、見ているこっちの方まで物凄く緊張するものである。
蹴ったボールを止められたりしたひにゃぁ大変だし、キーパーはキーパーで止められなかった時は悲惨だし・・・団体競技の恐ろしさを感じる訳なのだ。
・・・・・・・
さて、暫くの休憩のあと、ピッチではいよいよ〈PK戦〉が始まろうとしていた。
Aチーム1人目のキッカーがボールを蹴ろうとスタンバイしている。相手チームのキーパーはゴールネットの真ん中で大きく両手を拡げて仁王立ちした。
・・・・・・・
「ピッ❗️」
審判の笛がなった・・・キッカーは少し焦らす仕草をしたあと、左ゴールポスト近くを目掛けてボールを蹴った。瞬間、キーパーは両手を伸ばしてボール方向へ横っ飛びする!
「パ~~ン❗️」
見事に止めたのである。
観ている家内と息子も思わず声をあげた。
「わっ❗️止めたぁ~っ❗️」
「スゲ~~っ❗️」
場内もどよめいている。キッカーはうなだれキーパーはガッツポーズだ。
・・・さぁ、今度は、Bチームのキーパーに替わって、Aチームのキーパーがゴールポストの中央に立ち、Bチームのキッカーが定位置に着いた。
・・・・・・・
「・・・ピッ❗️」
少し助走したあとキッカーが蹴った❗️先程と同じようなコースに飛んでいったが、Aチームのキーパーも横っ飛びしてボールを弾き返した。
「うぉ~~っ❗️」
スタジアムが再びどよめく。
そうして、1回目は両チームが無得点に終り、手に汗握るPK戦は2回目へと進んでいった・・・
ところが❗️・・なんと2回目も、両キーパーがスーパープレイをしてボールを止めたのだ。
場内は異様な興奮に包まれ始めた。
結果・・・
1回目〈A❌B❌〉
2回目〈A❌B❌〉
となって、PKは3回目に突入していくのである。
・・・・・・・
「・・ピッ❗️」
3人目のAチームのキッカーは、今度は右ポスト方向に蹴った❗️キーパーは出遅れてボールに追い着いていない。点が入るぞっ❗️と思った瞬間ゴールポストに当たったボールはゴールの外に弾かれていったのだ。またもや点が入らなかったのである。
Aチームから落胆の声があがった。
・・・・・・・
さぁその裏である。
「・・ピッ❗️」
ホイッスルが鳴ったあと、Bチームのキッカーがボールを蹴った。速いボールは、キーパーの左側をすり抜けてゴールネットを揺らしたのだ。先制点を取ったBチームは歓喜し、Aチームはガックリしている。
Aチームは敵に先行された形で、4回目のキックに臨まなければならなくなってしまったのだ。
スコアは〈 0―1〉となった。
1回目〈A❌B❌〉
2回目〈A❌B❌〉
3回目〈A❌B⭕️〉
・・・・・・・
4回目のAチームの攻撃が始まった。
「ピッ❗️」
・・・キッカーがボールを蹴った。瞬間、相手キーパーがボールとは逆の方向に動き、ボールはネット内に吸い込まれていったのだった。
Aチームは念願の1点をもぎ取ったのである。
こうして、スコアは〈1―1〉と並んだ。
1回目〈A❌B❌〉
2回目〈A❌B❌〉
3回目〈A❌B⭕️〉
4回目〈A⭕️B 〉
さぁ、Bチームの裏の攻撃である。
・・・・・・・
「ピッ❗️」
キッカーがボールを蹴った。
「パ~~ン❗️」
ボールはゴールネットの左上ギリギリのところに一直線に飛んでいってネットの奥に突き刺さった。キーパーは殆んど反応が出来なかったのである。
Bチームは最高に盛り上がっている。
1回目〈A❌B❌〉
2回目〈A❌B❌〉
3回目〈A❌B⭕️〉
4回目〈A⭕️B⭕️〉
・・・・・・・
緊迫した空気の中で5回目、最後のAチームの攻撃が始まる。
「・・・ピッ❗️」
ここで外すと敗けてしまうのだ。
深呼吸をし、2・3回足踏みをしたあと、Aチームのキッカーが蹴った。ボールはゴールキーパーの真正面に弱々しく飛んでいくと、キーパーは難なく止めてしまったのだった。瞬間、勝負が決したのである。
Bチームが抱き合って喜ぶ・・・
1回目〈A❌B❌〉
2回目〈A❌B❌〉
3回目〈A❌B⭕️〉
4回目〈A⭕️B⭕️〉
5回目〈A❌B ― 〉
最後のキッカーは自責の念に駆られながらも、更に見えない重圧に耐えなければならなかった。
・・・・・・・
思えば、PK戦は選手に対する惨い仕打ちなのかもしれない。
観ているほうですら心臓に悪いし、胃が痛くなるような思いをしなければならない。
もしも僕が選手だったら、ボールを蹴る役には絶対に選ばれたくはないし、キーパーなんてもっての他、まっぴら御免蒙りたいのである。
さて、ここで筆を置く予定だったのだが、なんと❗️ワールドカップの初戦で、たった今、日本がドイツに〈2―1〉で逆転勝利をしたので、心からの祝福を述べて終りにしたいと思う。
「Bravo~~~❗️」
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