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【除夜の鐘の音】
僕がまだ小さい頃の話である。
当時は、子供は早く寝なさいというのが親の口癖だったが、大晦日の夜に限って12時過ぎまで起きていることが許されていた。子供にとっては年に1度の一大イベントであった。
だから大晦日の夜は嬉しくて堪らなかったのである。除夜の鐘の音を聴きながら、未知の世界に足を踏み入れるみたいで、ワクワクしながらカウントダウンを迎えていた。
「ピッ・ピッ・ピッ・ピ~~ッ❗️」
零時を回るとそこは異世界の空間・・大人の仲間入りをしたような不思議な気分になったものである。
・・・・・・・
そして年が明けた元旦の朝・・・
僕はお母さんを見て驚くのである。そこには着物を着て化粧もした別人のようなお母さんがいるのだ。
普段とは違う綺麗なお母さんを見て、チョッとなんだか恥ずかしいような、嬉しいような、そんな気持ちになったことを懐かしく思い出す・・・
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