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【着陸】

仙台空港を飛び立った飛行機は、1時間20分程の航行を経て、広島空港に着陸しようとしていた。

高度が下がっていくに連れて、窓の外に見える山々が段々と近づいてくる。

やがて機体が滑走路のコースに入っていくと、徐々に高度を下げていった。地上の景色が大きくなってきて、窓の外の景色が飛んでいく速度が増していく。

流れる滑走路が窓の高さまできた時に、軽いショックと共に車輪が路面に触れる音がした。飛行機は、無事、着陸に成功したのだ。

暫くの間タキシングした後、機体は静かに停止した。

さあ、降りる準備をしなければならない。目の前の背もたれのネットにはペットボトルのお茶が差し込んであった。まだ少しだけお茶が残っている。バッグに入れようと手に取ると、ボトルが大きく凹んでいるのに気が付いた。膝が当たって押し潰した訳でもない。

上空と地上との気圧の差は一目瞭然であった。頭では理解していても、凹んだペットボトルを目の当たりにして、改めて気圧というものを認識させられた一瞬なのであった。


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