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【目玉】

〈YouTube〉には、外国人旅行者に色々な日本料理を振る舞いながら、日本の文化や料理に関する感想を訊くというチャンネルが複数あって、結構なチャンネル登録者数を獲得している。

世界各国から来た、政治的な意味合いを持たない普通の外国人旅行者は、兼ねてから日本文化に憧れを抱いている人達ばかりなのだが、来日してみると、想像以上にアメージングな国だったと感嘆するのである。唯一無二の国だと言うのだ。

いにしえの伝統ある建物と大都会のビルが調和した街並が美しい。食べ物が美味しい。〈コンビニ〉の商品がレベチ、日本人は優し過ぎる。ゴミが落ちていない。店員の接客が素晴らしい。駅のホームではキチンと整列して待っている。電車の中が静か、等々・・日本を称賛する声が後を断たない。

そんな観光客だが、日本語が解らないことから、食べる物が〈ラーメン〉や〈回転寿司〉や〈ファストフード〉に偏っている場合が多くて、〈居酒屋〉や〈すき焼・しゃぶしゃぶ店〉〈鉄板焼店〉〈本格的な天麩羅店〉〈江戸前寿司店〉などには怖くて入れないんだというのだ。

そんな中で、英語に堪能な〈日本人YouTuber〉から偶然に声を掛けられた外国人旅行者はラッキーなのかもしれない。高級店で本来の日本料理を食べられるのだから・・

そして国籍を問わず、殆んどの外国人が日本料理を絶賛するのだが、その中に只1つ、全員が例外無く拒絶反応を示す料理があるのだ。〈梅干〉や〈納豆〉ではない。

それは・・・

「目玉」が付いた魚料理なのである。

〈鯛鮪の兜焼き・煮物〉や〈お頭付きの魚の煮付け〉や〈丸ごとの焼き魚〉〈イカの姿刺し〉等々、それらの「目」に恐怖を感じるらしいのだ。煮付けの目玉なんて最高に美味うまいのになぁ・・・

世界には「目玉」が食卓に上がる料理が無いのかも知れない。日本人には何でもない普通のことなのに、国が違えばそうではないのである。

因みに随分むかしの話にはなるのだけれども、日中国交正常化の晩餐会で、周恩来が田中角栄に振る舞った「あたま付き猿の脳味噌料理」に較べれば、〈鯛の兜煮〉なんて問題ではないのである。


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