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【隣の患者】

カーテン越しに、隣のベッドの年配男性の患者さんと女性看護師の会話が聞こえてきた。

「●●さん、今日も浣腸されたんですよね」

「はい・・・」

「吐き気はありますか?」

「チョッと吐きましたよ」

「そりゃぁ、シンドかったですねぇ」

この男性患者さんも、どうやら〈腸閉塞〉っぽいのだ。単なる便秘とは思えない。話の内容から、腸に詰まった便を下から浣腸で溶かし出すという治療をしているようだ。要するにかなり重傷の閉塞ということなのだろう。

同じ〈腸閉塞〉なのに、数時間でお通じがあった僕とは大違いなのだ。

隣では嘔吐しながら〈腸閉塞〉と闘っている患者さんがいるというに、順調に回復している僕は、嬉しさの余り浮かれた声で看護師さんにこう経過報告をした。

「10回以上はトイレに行きました。もぉ、お腹の中は空っぽですよ❗️」

言ってしまってから気が付いても後の祭りだった。申し訳ないことをしたと思う。

因みに、この話は家内には言わないでおこうと思う。何故なら、聞けばこう言うに決まっているからだ。

「父さん❗️あんまりお酒飲んじゃダメよ❗️」

そんなことを思っていたら家内からメールが来た。それは〈腸閉塞〉とアルコールの関係をググったもので、「腸閉塞の退院後は、極力アルコールを控えましょう」という内容だった。

先手を打たれた・・万事休す❗️


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